くじら🐋
くじら🐋
くじら🐋
Let’s go↓
ナチス
窓から差し込む日の光で、目が開く
静かな____寝息を立てて
イタ王が隣にいるのを見て、安堵する
一人すやすやと眠るイタ王に語り掛ける
ナチス
そうして自分はラフな服に着替え、
そのままイタ王を持ち上げ運ぶ
ナチス
ナチス
ナチス
ゆっくりと外へむかった
車にイタ王を乗せ、
エンジンをかける
ナチス
そう言ってイタ王の頭に手を乗せる
愛おしいその顔には、まだ隈がある
イタ王
寝ぼけ眼のままのイタ王
ハンドルを握りながら声をかける
ナチス
イタ王
震えている瞳と声
少なくともその姿は俺の代わりを務める前よりも 悪化しているように見える
イタ王
ナチス
行きたい場所があるのかも不明瞭だが…
イタ王
ナチス
イタ王
…また仕事を気にするのか
もう、気にしなくていいのにな
ナチス
ナチス
イタ王
ナチス
イタ王
その瞳が不安を宿してまた揺れる
イタ王
そして、その瞳がある一点で止まる
何か言いたげな表情
ナチス
ナチス
というか、言ってくれ
イタ王
まだ渋るのか?
まだ否定するのか?
まだそうやって抱え込むのか?
そう思うと自然と口調が荒くなる
ナチス
イタ王
それに気圧されたようにイタ王の肩が跳ねる
そして口が開かれる
イタ王
イタ王
予想通りの返答だな
ナチス
「ioなんか……」か
俺にとってはお前以上に愛しい者はいないのに…
イタ王
そう言って美しいその顔を涙で濡らすイタ王
申し訳なさからだろうか、つい本音が漏れる
ナチス
ナチス
イタ王
美しいその赤と緑の瞳が見開かれる
ナチス
イタ王
そう言いつつもその顔から涙が止まる気配はない
ナチス
ナチス
本当に、本当に優しすぎるんだよ
ナチス
イタ王
そう言いつつ、きっと嘘じゃないのは理解しているだろう
言わなきゃ、いけないよな
イタ王にも
ナチス
ナチス
イタ王
ナチス
イタ王
イタ王
そう言うと思ったよ
ナチス
イタ王
ナチス
我儘で、可能性がいかに低いかもわかってる
ナチス
イタ王
でもこの子……イタ王には
戦争や病気、そんなものに侵されず笑っていてほしい
それだけが、今の俺の願いだから
全てを話し終えて暫くしてから
イタ王
イタ王が諦めたようにそう呟いた
ナチス
イタ王
もう嘘は吐けないと悟ったのだろう
イタ王
ナチス
ナチス
ナチス
話の流れ的にも戦争についてだろう
イタ王
イタ王
ナチス
ナチス
イタ王
イタ王
ナチス
お前が言いそうなことは大体予想つくんだ
あと二つは______
イタ王
イタ王
サロ共和国……嗚呼、彼奴だな
ナチス
たとえ記憶がなかったとしても
ナチス
従兄弟だよな、イタ王の
イタ王
記憶を戻したい…そういう話だな
ナチス
イタ王
イタ王
ナチス
ナチス
それに……それに加えて運動障害も残る
イタ王
運動もできず記憶もすべて失う
ナチス
ナチス
イタ王
言ってからそれが自分の我儘で
イタ王が望んでいることならやるべきと気付いた
そう思い急いで訂正する
ナチス
イタ王
イタ王
少しだけ微笑むイタ王
ナチス
ナチス
イタ王
その顔も美しくて、少しだけ安心した
ナチス
そうこうしているうちについた目的地
ナチス
荷物をとって助手席のイタ王を促す
ナチス
イタ王
そうして車を降り、イタ王と歩き出した
車通りのない道路を、二人で歩く
イタ王
ナチス
ナチス
左側から潮の匂いと波の音が聞こえる
美しく、どこまでも続いていそうな碧の空
ナチス
そうとは思えないほど澄んでいるこの景色
どうして、こうなってしまったのだろうか
ナチス
ナチス
イタ王
イタ王
今まで聞いたことのないような、美しく明るい声
その声とともに、海のそばに座る
手を伸ばして海水に触れる
ナチス
鼻歌が漏れていく
かつて、父が俺に歌った歌
ドイツ語で「貴方が好き」を表す、最大級の愛情表現
ナチス
戦争が始まるからだろうか
叶わない願望ばかりを思う
イタ王
ふと、イタ王が聞いてきた
ナチス
ナチス
すこしだけ、返答に詰まる
ナチス
ナチス
ナチス
イタ王の美しい目がこちらを見て少し揺れる
イタ王
イタ王
少しだけ光がさしたような赤と緑
ナチス
イタ王
イタ王
そういい優しく微笑む彼
蒼い空と海が反射している目
ナチス
優しげなその顔に、自然と口角が上がる
ナチス
今まで最高の笑顔でそう返した
そうして、イタ王からも本音がこぼれる
イタ王
ナチス
勿論、駄目なわけないだろう?
イタ王
イタ王
イタ王
ナチス
白い腕に残る新しい傷と、
目の下にある隠しきれない隈と、
心に負っている回復不能な古傷
重すぎる荷を抱えたイタ王から、
ナチス
それが出てきてくれたことが最高にうれしい
ナチス
ナチス
イタ王
これは、どんな条約よりも
どんな同盟よりも強い約束
ナチス
このまま、此処で
この幸せが続けばほしいと願うばかり。
コメント
1件
うわああああああああ(語彙力消失中) もうとにかく最高でした尊タヒしてきます