短編集

彼の口から出るとは思わなかった言葉に動揺する いつも推理で犯人を追い詰めても絶対に自殺させなかった。 けして人殺しを許さなかったのに突然自分を殺せというのだから＿

俺をお前が大嫌いな殺人犯にするのかと思うと腹が立った

そう言うと君は笑うんだ。 今すぐにでも殺して欲しいはずなのにそうには見えなかった 俺の真剣な表情を見てクスクスと笑う

最初とは雰囲気が違い言い方を変える しかし言い方が変わっても理解できない発言に俺は戸惑う

そう言われて何となく理解が追いつく 始めの怒りなんて無駄なことだと思った。 良く考えればこいつが死ぬはずがない…… いや、いつかは死ぬんだろうけど……。 少なくとも他人に殺せとは言わないだろう

嬉しいはずなのにどこか悲しい表情をする その顔を見つめていると彼は口を開いた

始めの言葉が理解出来た気がする…… 俺はただひたすら黙って話を最後まで聞いた こんなことを話してくれるのは俺くらいだから…… 少しでも彼(江戸川コナン)が救われるように俺は彼の話を真剣に受け入れた

彼の目は青く決心したかのように真っ直ぐ俺を見つめていた。 俺に向かって拳を開いて見せる そこには”例”の薬があった

もう答えは決まっていた 俺は薬を彼から取り上げて自分の口へと放り込む 彼の頭の後ろに手を回し顔を上げる 自分の口に入った薬を見せながら言う

”さよなら小さな名探偵”

そう言うと俺は彼に優しくキスをした。 彼が安らかに眠れるように＿。

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