TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

タイトル、作家名、タグで検索

テラーノベル(Teller Novel)

昔 ある所に1人の少女がいた

その少女は

小さい頃から

生まれ育った町の海を 眺めることが

好きだった

1人静かに

波の音を聞く時間が

たまらなく幸せだったそうな

「おはよう、海さん」

「今日もお日様が出ていて 気持ちが良いわね。」

ザザーッ

……

「私、この夏休みが終わったら引っ越すことになったんだ…」

「こうして海さんとお話出来る日も少なくなっていく」

ザザーッ

「いいな、貴方は」

「いつまでも変わらない姿が 羨ましいよ」

ね。と自分で相槌を打つ

海の波の音は

変わってしまった私の心を

満たしてはくれない

ある夏の日

海が、黒い波と化していた

「なに、これ…」

「酷い…」

噂によると 今年は、この【美貌の海】を求めて

多くの観光客が訪れているらしい

「よい…しょ、こっちも…」

波から押し寄せてくる 沢山の "汚物"を1つずつ拾う

「私の大好きな海さんがっ…」

私の大好きな居場所が 知らない誰かに汚されてゆく

「そんなこと… 耐えられないよ」

もし、私が

このまま引っ越してしまったら

貴方はどうなってしまうの

「私の居場所を… 大好きな貴方を」

「守りたい。」

怒りも悔しさも 必要ない

一緒にいるだけで貴方を守れるなら

私が変わらないままでいれるなら

私が…変わら、ない

「そうだね」

「最初から…こうすれば良かったんだ」

持っていた沢山の "汚物"を 砂の上に置き

1歩、1歩と 貴方に近づく

柔らかな砂の絨毯

徐々に濡れる衣服

そして

ザザーッ

「これで…貴方を」

.

昔 ある所に1人の少女がいた

その少女は

大好きな海を守るために

変わらない自分でいるために

美しく、逝ったそうな

.

この作品はいかがでしたか?

777

コメント

14

ユーザー

〜そうな って表現が綺麗すぎて…

ユーザー

大切な海を守るために... すっごく素敵です😍 波の音っていいですよね😌

ユーザー

大好きな海と一緒にいたくて…表現がとっても綺麗でした✨ 予想外の展開でとっても面白かったです!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store