TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

遠く離れた世界の君へ --

一覧ページ

「遠く離れた世界の君へ --」のメインビジュアル

遠く離れた世界の君へ --

10 - 出会いは雨の中

♥

50

2024年09月23日

シェアするシェアする
報告する

〜真冬 side〜

あれから、さらに数ヶ月後

真冬

……ご馳走様でした

彼方

……思い出すのは、変わらずこの感情だ

彼方

あ、真冬、ちょっと良い?

真冬

……? はい

いつも通り血を飲ませて貰って、 リビングから部屋に戻ろうとした時、 彼方さんに呼び止められる

彼方

活動の事でさ、ちょっとお前に相談があるんだけど

真冬

相談……ですか?

不思議に思いながらも、 彼方さんの対面の椅子に座った

彼方

お前が活動始めてから、もうそれなりに経つじゃん

真冬

そうですね。お陰で少しずつリスナーさんも増えて、結構順調です

彼方

……そこでさ。真冬……って言うより“まふまふ”に、一つ提案なんだけど

真冬

……?

普段よりやけに真面目な面持ちをする 彼に、ついこちらも身構えてしまう

彼方

俺と、ユニット組まない?

真冬

ユニット……?

それってつまり、“そらるさん”は、 ボクと2人で本格的に 音楽活動をして行きたいって事?

真冬

……天月さんとか、他にも人は沢山いると思いますよ。なのに、ボクで良いんですか?

彼方

俺はお前が良い

真冬

もし、組む事になったとして……ボク、この家出て行かなくなるかもしれないですよ?

彼方

……良いんじゃない? このままうちに居ても

真冬

えっ?

予想外の返答に、思わず固まってしまう

彼方

別に、俺もお前も困って無いし

真冬

……それ、本末転倒じゃないですか?

元はと言えばこの活動は、この家から 出る為に、お金を稼ぐ手段で始めた事

なのに、ずっとこの家に 居ても良いなら……

彼方

お前だって、この活動自体楽しんでるだろ。いっつも顔に書いてある

真冬

あはは……

音楽が楽しいのは、事実だけど

真冬

でも……本当に、良い、ですか? ボクなんかで

彼方

お前だから良いんだよ

真冬

(ボク、だから……)

真冬

…………。

真冬

……じゃあ……。

真冬

……よろしく、お願いします……?

了承の意味を込めてそう言うと、 神妙な面持ちから、途端に 嬉しそうな顔になった“そらるさん”

彼方

うん、よろしく。ありがとうな

真冬

はい。

真冬

…………

真冬

(……あんな事があったのに、あんなに忘れたがってたのに、ボクの事、遠ざけようとしたりしないんだ)

嬉しさも勿論ある、あるけど、その次に すぐ浮かんで来たのは、この考えだった

あんな事をしてきた相手に、 ユニットを組もうなんて持ち掛けて、 こんな嬉しそうな顔までして

真冬

…………勘違い、しますよ

彼方

……? 何か言った?

真冬

いえ、何でも無いです

……きっと、“そらるさん”だから、 なんだろう

真冬

(……そう解釈させて貰おう)

真冬

それより、ユニットって事は、ユニット名とか必要ですよね?

彼方

あぁ、うん。実はちょっと考えてたんだけど……

そう言いながら、“そらるさん”が 手近にあったメモ用紙とペンを 取り出して、何か文字を書いていく

真冬

……“After the Rain”?

彼方

俺達が会ったのが雨の日だったからさ。だから、それっぽく言うなら……

“今まで暗い世界を歩んでいたけど、 これからは明るく晴れた青空の世界を 一緒に歩いて行こう”

真冬

……!

彼方

……みたいな意味かな。

彼方

もしお前が良かったら、これが良いなって思うんだけど

あの大雨の日、暗闇の世界から、 ボクを救い出してくれた“彼方さん”

真冬

(これじゃあ、違うじゃん……)

“まふまふ”と“そらるさん”ではなく、 ボクと彼方さんになってしまう

真冬

……“彼方さん”が、それで良いのなら

彼方

何だよ、歯切れ悪いな。嫌なら嫌って言ってくれて良いんだけど

真冬

あぁいや、そう言う訳じゃ無くて……。

真冬

そう言ってくれて嬉しかったし、すぐ気に入りました。……でも、本当に良いんですか?

彼方

良いって……あぁ、意味の方?

彼方

良く無かったら言って無いよ。お前が頑張ってこの世界で生きようとしてるのは知ってるし、その為に俺に色々してくれてるんだろ。

彼方

俺はただそれに応えたかった。意味の真意はそれだけ

……最近、どうもわからなくなる

何でボクにそこまでしてくれるのか

何でボクにそう言ってくれるのか

……何で、ボクなのか

真冬

……分かりました

貴方の事が、何もわからない

真冬

じゃあ、それで。ありがとうございます

彼方

決まりだな。これからよろしく

真冬

はい、こちらこそ

 

 

 

真冬

…………

“吸血鬼とは” “吸血鬼について” “吸血鬼 実在”……

真冬

何も出て来ない……

思っていたより、物事は 単純には進まないもので

真冬

(調べ方が良く無い……?)

“吸血鬼 前世を知る”

真冬

……まさかね

半ばヤケになって入れたワードで、 改めて検索をかけてみる

真冬

……ん?

すると、少し気になるサイトが 一番上に出てきた

真冬

…………

カチッ

 

吸血鬼とは

基本不老不死であり、動物や人間などの生物の血を食糧とする。

人間と同じ見た目をしているが、眼色や髪色が人間のそれとは異なり、また、美しい姿をしている者が殆ど。

 

吸血鬼の多くは前世が人間で、前世の記憶を持った状態で吸血鬼へと転生する例が多い。

記憶は特定の人物(前世で自分の吸血鬼化に関わった人物)の血を摂取する事で維持されるが、長期間飲まずにいると段々薄れていく。

失った記憶は再びその人物の血を飲む事で少しずつ取り戻す事が出来る。

 

不老不死の為餓死する事は無いが、空腹感が纏わりつき、身体の機能も低下する。

血でしか空腹を満たす事は出来ない、人間の食糧も摂取する事は可能、味も感じるが、腹には溜まらず栄養も摂取出来ない。

前世の人間だった頃の味覚が反映される為、好き嫌い等は記憶が薄れても身体が本能的に覚えていたりする。

 

不老不死の吸血鬼も、唯一弱点がある。 吸血鬼化の際は、これを利用……

 

 

「記憶は特定の人物(前世で自分の吸血鬼化に関わった人物)の血を摂取する事で維持される」

「失った記憶は再びその人物の血を飲む事で少しずつ取り戻す事が出来る」

 

真冬

……いや、まさか、そんな

このサイトが信用に足る物かも 分からない、全くの出鱈目を 書いてある可能性だってある

だけど……もし、もし本当なら、 つまりそれは……

真冬

(……やめよう)

これ以上調べて、色々知って、 それが全て嘘だった時……

真冬

(……怖い……)

自分を知る事は、こんなにも怖い

知る事が出来る喜びと共に来る、 向き合いたく無い事実と直面して しまうかもしれない恐怖

……何も知らないボクには、 耐えられそうに無い

真冬

(まだ、何も知らない儘でも……)

ピロリンッ

真冬

……?

不意に、彼方さんに買ってもらった スマホの通知音が鳴る

真冬

翔太さん……?

翔太

突然すみません

翔太

ちょっと会って話したいことがあるんですけど、今から会えますか?

会って話したいこと……?

真冬

真冬

分かりました

真冬

場所はどこですか?

 

 

 

彼方さんに外出する事だけ伝えて、 翔太さんに指定された、個室のある カフェに訪れる

外は強い雨が降っていたから、 彼方さんの傘を借りて来た

真冬

こん、にちは……

翔太

あ、こんにちは。すみません、突然呼び出しちゃって

真冬

いえっ。それより、話って……?

翔太

その前に、一旦注文済ませちゃいましょう。真冬さん、何飲みます?

遠く離れた世界の君へ --

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

50

コメント

2

ユーザー

まふくんがそらるさんとユニットを! 名前は”After the Rain”いい名前だよなぁw そして吸血鬼について調べた時に出てきた あの情報……やっぱりまふくんはそらるさんと 関わりがあるのは確かで特定の人はそらるさん ”再び”って言葉が何となくひっかかるけど… もしかして…いや…まだちょっとわかんないな… そして天ちゃん、急にまふくん呼び出して? ちょっと怖い… 続き楽しみにしています!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚