主の部屋
コンコンコン
ふいに部屋に響いたノックの音に わたしははっと我に返った。
主
静かに開いた扉から
いつもの穏やかな笑顔がのぞいた。
ベリアン
ミヤジ
主
わたしはベットから出て2人を迎えた。
ベリアン
そう言ったベリアンは優雅な足取りで わたしのそばまで寄り
ブランケットを肩にかけてくれた。
主
主
ベリアン
フワッと笑う彼とともに 柔らかそうな髪が揺れた。
ミヤジ
ラト
少し離れたところでミヤジが、 軽くラトの頭を撫でている。
ラトの後ろ姿からは、あの優しい眼差しの下でどんな顔をしているのか
分からなかった。
主
長い時間をここで過ごして、 見慣れた光景。
これが、あるべき「日常」だ。
主
ベリアン
ベリアン
ミヤジ
主
ベリアン
頷いたベリアンは、
ラトの方を向いた。
ラト
ベリアン
ベリアン
ラト
主
ベリアンのその言葉にラトは こちらを振り返った
主
わたしの考えは当たっていたらしく、 ベリアンは小さくうなずいた
ベリアン
ベリアン
ベリアン
主
グロバナー家には数回しか 行ったことがないけれど、
悪魔執事に対する軽蔑の眼差しは 嫌というほど感じた。
主
主
ミヤジ
じんわりと、頭に温もりが広がる。
ミヤジの大きな手が 今度はわたしの頭を撫でていた。
ミヤジ
主
ミヤジ
ミヤジ
ベリアン
ベリアン
ベリアン
主
主
主
主
青いビー玉がきらめいたように見えた。
ラト
今度はしっかりと 視線を交わらせることができた。
主
ラト
そう言うけど
グロバナー家の命令に逆らうことは 許されないことを わたしも分かっている。
だから、せめて
主
ラト
そう言ったラトは
まっすぐこちらに歩いてきて
うやうやしく跪き、私の手を取った。
そして
そのまま私の手の甲に 自分の額を押しつけた。
主
ピリッとした小さな痛みが走る。
ラト
ラト
手を解いて立ち上がった彼は
ベリアンにそう言い残して、ミヤジと部屋を出ていった。
主
混乱する思考の中で
ラトの髪のやわらかさと 額の温度がやけに鮮明に思い出される。
ベリアン
すると
今度はベリアンがその手を取る。
主
ベリアン
主
主
また、じわりと手の傷が痛む。
主
主
主
主
だからこそ
あの日ラトにつけられた傷が痛んだ。
主
主
ベリアン
ベリアンの声で 巡る思考がプツリと切れた。
主
主
ベリアン
ベリアン
ベリアンは優しく微笑んだ。
ベリアン
ベリアン
主
主
ベリアン
わたしはそのときになって
ずっと彼がわたしの手を 握っていたことに気がついた。
主
ベリアン
ベリアン
いつもどおりの笑顔で
優しい手つきで作業をする 彼の手から伝わる体温が
ラトの残していった痛みさえも 上書きしていってしまうように感じた。
コメント
5件
続きってありますか、、、?
スゴくいいです…まさかラトが呼び出されるなんて…本当にグロバナー家に行っても…大丈夫なのかな…?…何か嫌な予感が…。続き楽しみにしてます…