デビルズパレス 庭園
ラトたちがグロバナー家へ旅立って数日
わたしは不安を隠すように 雑務の仕事を片付け続けた
そして気分転換もかねて 庭園を散歩している
主
主
わたしは大きく伸びをして
気ままに咲き誇る庭の花々を 眺めながら歩いた。
すると
ラムリ
ラムリ
少し離れたところに大きく手を 振るラムリの姿を見つけた。
主
主
主
わたしはその瞬間凍りついた。
近づいてきたラムリの左手には
???
主
鮮やかな黄緑色のカエルが のっていたのだ。
ラムリ
後ずさるわたしに気づかず、 ラムリは嬉しそうに走ってくる。
主
主
ラムリ
ラムリ
主
ラムリ
笑顔のラムリとともに
カエル
カエルの鳴き声も近づいてくる
主
主
わたしは耐えきれずに その場から駆け出した
ラムリ
主
主
その手に持っている生き物は わたしにはどうしても受け入れられない
ラムリ
ラムリ
カエル
主
ラムリ
ラムリ
カエル
主
主
主
ラムリ
カエル
主
主
足の速いラムリの圧を感じながら必死で走っていると、
主
ある人の後ろ姿を見つけた
主
わたしは無我夢中で
薔薇が咲き乱れた彼の ベストの裾を掴んだ
アモン
アモン
アモン
主
主
アモン
アモン
ラムリ
アモン
カエル
アモン
アモン
ラムリ
主
ラムリ
主
主
主
ラムリ
ラムリ
ラムリ
アモン
カエル
主
主
わたしはアモンの背中に隠れながら
やけになって大きな声で言った
主
主
主
カエル
カエルは落ち込んだような声で鳴いた
主
ラムリ
ラムリ
ラムリ
ラムリの涙混じりの声が聞こえる。
主
ラムリ
主
主
その言葉に安堵したのか、ラムリはいつもような元気な笑顔になった
ラムリ
主
アモン
主
アモン
主
アモン
主
アモン
主
アモン
主
主
アモン
ラムリ
主
主
カエル
主
アモン
ラムリ
アモン
アモン
主
アモン
ラムリ
アモンに連れられたラムリはしぶしぶ歩いていった
主
主
主
主
足がもつれて、転びそうになったそのとき
なにかが、わたしの体を支えてくれた。
主
主
お礼を言いながら、 その支えてくれた人を見上げ
ラト
わたしは固まった
主
ラトは優しい手つきで、 わたしを立たせてくれた。
主
主
主
主
主
主
ラト
ラトの声で意識が戻る
主
ラト
主
ラト
主
主
そして
混乱する私をさらにかき乱すように
ラト
ラトは私の手を引いて
その長いまつ毛が私に影をつくるような
私の騒がしい鼓動が 伝わってしまいそうな
あと少しで
唇が触れてしまいそうな
そんな距離まで近づいた
主
主
ラト
ラト
主
いつもの落ち着いた声の中に
なんだか今にも壊れてしまいそうな 危うさを滲ませて
ラト
吸い込まれてしまいそうな澄んだ瞳には
底の見えないなにかが溢れている
主
主
主
主
彼のまっすぐな視線が
わたしに目をそらすことを許さない
ラト
ラト
主
ラト
ラト
主
主
ラト
主
主
わたしは安心させるように笑ってみせる
わたしが転ばないように支えてくれた 彼の手には
いつの間にか痛いくらいの強い力が 込められていた
主
主
主
主
主
ラト
主
ラト
ラト
主
心地の良い声が
私の耳元を撫でていく
ラト
ラト
ラト
わたしがずっと
ずっと隠していて
ずっとずっと欲しかった言葉を
ラト
落としていく
主
思わずこぼれてしまったその言葉に
ラトは優しく微笑んだ
ラト
ラト
主
ラト
ラト
ラト
心地の良い声が耳元を撫でていく
はずなのに
ラト
その笑顔がうれしい
はずなのに
ラト
急に何も聞こえなくて
急になにも見えないような
感じがする
ラト
主
主
はやく
主
ちゃんと
ラト
主
わたしも
ラト
笑わなくちゃ
ラト
また
ラトが辛い顔をする前に
???
ぼんやりとした意識の中で
なにかが聞こえた
主
???
主
主
???
主
主
主
私は手を伸ばした
主
主
主
わたしはその声の先に
もう一度触れようと
主
主
ラト
手を伸ばした
主
主
デビルズパレス
主の部屋
???
また誰かの声が聞こえた
???
それはひどく必死な声で
わたしにまとわりつくまどろみを 引き剥がすには
十分だった
???
主
ハッと目を覚ますと
ベリアン
心配そうにこちらをのぞき込む
ベリアンの姿があった
主
ベリアン
ベリアン
ベリアン
ほっと安堵する彼は
弱々しい微笑みを浮かべた
主
主
主
主
ベリアン
主
主
主
主
わたしは彼の健気さに思わず笑みを こぼしながら
ベットの傍らに立つ彼を見上げた
ベリアン
すると
彼は片手をベットの縁につき、
もう一度覗き込むように
顔を近づけてきた
主
まだ頭が回りきっていないため
なんて言葉をかけていいのかが まとまらない
主
主
ベリアン
ベリアン
ベリアンはそのまま手を伸ばし
ベリアン
ベリアン
主
私の目元にそっと
長い指先で触れた
ベリアン
ベリアン
主
その指先はわずかに濡れていた
主
主
わたしは思わず
涙を拭ってくれた彼の手をとった
ベリアン
ベリアン
ベリアン
ベリアン
ベリアンはわたしの手を握り返し
そのまま額をあてた
ベリアン
主
主
主
わたしは彼を安心させるように笑った
主
主
主
主
夢を見ていたことは何となく覚えては いるものの
それを鮮明に思い出そうとすると
頭にモヤがかかったように 途端に不鮮明になった
主
主
すると
彼はやっと安堵するように
いつもの笑顔を見せてくれた
主
ベリアン
ベリアン
そしてわたしの手を握っていたのに 気がついて
みるみるうちに顔を赤く染めた
ベリアン
ベリアン
いつもの彼に戻ったように感じて
わたしも思わず笑みをこぼした
主
主
主
主
ベリアン
ベリアン
ベリアンは慌てて手を離し、 身なりを整えて
丁寧にお辞儀をした
主
ベリアン
そう言って
部屋の扉へ向かう彼の背を 見送っていると
ベリアン
ベリアン
主
ふりかえった彼は優しく微笑んでいた
ベリアン
ベリアン
その笑顔が
誰かの笑顔に重なる
ベリアン
ベリアン
パタンと
扉が静かに閉まる音がした
コメント
4件
ラムリとカエルから逃げるところが面白かったです…、やっぱり主様は悪魔執事の皆から好かれているんですね…。嫉妬深くて…少しヤンデレになっているところもスゴくいいと思います…。主様が転びそうになった時…ラトが出てきた瞬間ドキッとしました…、本当に良かったです…。