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橘靖竜
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闇の中に坂田の笑みが漏れ出す。
坂田
何も聞こえない。何も感じさえしないが、坂田は何かを感じ取ったかのごとく呟いた。
次の瞬間、そこにあったはずの坂田の気配が消える。
予備の電気まで落とされてしまったから、辺りは真っ暗だ。
地下にある施設において、停電はかなりの致命傷になり得るようだ。
本当に何も見えない。
尾崎
尾崎の声が聞こえ、そちらのほうへと返す縁。
縁
尾崎
縁
尾崎
ガサゴソと音がすると、石が打ち合わされるような音がする。
そして、辺りがぼうっと明るくなった。
尾崎
尾崎
縁
明かりになる類のものは、ことごとく没収されている。
だから、ライターも没収されてしかるべきだと思ったのだが。
尾崎
縁
尾崎
縁
縁の提案に尾崎は頷き、ライターの心許ない明かりで電気室を目指す。
途中で尾崎が足を止めた。
尾崎
そう言って尾崎が足元を照らすと、男が倒れていた。
トレードマークとも呼べる動物のラバーマスクは被っていないものの、その他の服装や、アサルトライフルから察するに、間違いなく解放軍の人間だろう。
縁
尾崎
縁
縁
尾崎
尾崎は手を伸ばし、アサルトライフルを手にする。
尾崎
ご丁寧に断りまで入れるが、その際にふっと、ライターの火が消えた。
尾崎
一瞬だけ暗くなったタイミングで、背後に強烈な気配を感じた縁は、容赦なくホルスターから銃を引き抜いて、背後に銃口を向ける。
改めてライターの火が灯ると、そこにはゴリラのラバーマスクを被った男がいた。
坂田
ラバーマスクの下から聞き慣れた声が聞こえる。
よくよく、格好も解放軍のそれとは違い、タンクトップにトライバルタトゥーと、実に分かりやすい格好だった。
縁
坂田
坂田
坂田が首根っこを掴んだまま手渡して来たのは、こうべをたれたままの桜だった。
坂田
坂田
坂田
坂田
坂田
縁
縁が引き留めたものの、坂田は再び暗闇の中に姿を消してしまった。
尾崎
尾崎
尾崎
縁
坂田は簡単には死なないかもしれないが、簡単に殺しはするだろう。
縁が恐れているのは後者のほうだった。
尾崎
縁
桜を抱える形で歩き出す尾崎に続いて、縁もゆっくりと歩き出した。
坂田のことを心配――いや、懸念しつつ。