桜
桜
蘇枋
蘇枋
スルりと桜君に 腕を伸ばすと、 猫の様にシャッと威嚇された。 やはりそう簡単には 触らせてくれないかと、 肩を落とす。
桜
恐る恐ると行った 桜君の回答に、 俺はきっと目を丸くしていただろう。 俺の視線に耐えられなかったのか、 桜君はモジモジとし初め、 目線を下に下ろした。
蘇枋
きっと恋人同士だった時の癖が 出ていたのだろう。 自分でも、こんなに触れたい欲が あるだなんて、信じられなかった。 無意識な俺の行動は、 きっと彼を困らせていただろう。
これからは、無闇に触れない様に 気をつけなければ。 そう気を引き締め、 彼に向かって笑顔を向けた。
蘇枋
桜
プンスカ怒る彼に ヘラヘラとした笑いを返した。 ちゃんと今俺は、 彼を安心させられる程 笑えているだろうか。
桜
蘇枋
蘇枋
桜
図星を付かれたのか、 唸り声を上げる桜君。 上手いこと誤魔化して、 ここに縋る様に いようとする俺は、 ずるい奴なのだろうか。
まだこの場所の思い出に 浸っていたい。 記憶がなかろうと、 君といたいと思うのは、 俺のエゴなのだろうか。
蘇枋
俺の記憶が無くなってから 少しした所。 最近こいつは毎日どこかへ 連れ出そうとしてくる。 話しかけてくる声は、 どこか弾んでおり、 とても楽しそうだった。
桜
蘇枋
桜
きっと何気なく 放たれた言葉なのだろう。 それでも俺は、深く考えた。 自分の行きたい所について 唸りながらも考えてみた。
それでも特に思いはつかず、 横でニコニコ笑っている 男を見た。 「どうしたの?」 と、優しく目で訴えられた様な 気がする。
そこでフと思いついた。 あいつは俺の事を知っているのに 俺はあいつの事、全く知らないと そりゃ、何聞いても話してはくれないので、 知らないのも当然だが。
桜
蘇枋
桜
額から汗が滑り落ちる。 言葉が少し詰まる感じがした。
桜
その時の蘇枋の顔は、 笑顔が滑り落ちて、 ぽかんとした顔だけが浮かび上がっていた。
蘇枋
桜
知らない場所に ドキドキしながらも 威勢を繰り出し声をはりあげた。 脱いだ靴は揃えた方がいいのか それともそのままの放置が いいのか迷いが混じった瞳で 蘇枋を見上げた。
蘇枋
桜
脱いだ靴は 少し雑に置きっぱなしにして、 蘇枋の後ろを大人しくついて行った。
桜
蘇枋
蘇枋
蘇枋
ふふっと笑って見せた 蘇枋の顔は、 品があってとても美しい様だ。
いざ部屋に足を踏み入れてみると、 蘇枋らしいな。 という感想しか出てこなかった。 無駄に小綺麗だし、 壁や天井は白1色で染まっており 清潔感があった。
蘇枋
桜
蘇枋
蘇枋
不安げな瞳は、 俺の返答でほっとしている様に 見えた。 向けられた柔らかい笑みに、 少しムズムズした。
蘇枋
桜
蘇枋
蘇枋
この聞き方が、 少しずるいと思った。 分かっている癖に、 不安げな表情で こてんと首を傾けた。
桜
蘇枋
蘇枋
差し出されたマグカップは、 白黒の猫が描かれていた。 蘇枋が手に持っていた ティーセットとは、 とてもじゃないが、雰囲気が 合わない。
桜
只々疑問で聞いてみれば 蘇枋は微笑む一方で、 口を開こうとはしなかった。 悪魔で黙っているつもりなのだろうか。
桜
そこからはしばらく無言が続いた。 この無言の間は、 少しだけ居心地が悪かった。
2人で来た ちょっと大きめなショッピングモール。 恋人同士での 初のデート場所は こことなった。
大きな場所に来たのは 初めてなのだろうか。 桜君はキョロキョロと 周りを見回しては、 大きな音にビクリと肩を震わせる ばかりだった。
まるで、猫みたいだなと、 自然と笑みが溢れ出るのが分かった。
蘇枋
桜
桜君の大声は、 直ぐに周りの音へとかき消された。 真っ赤になってブルブル震えている 様子が、とても可愛らしく思えた。
蘇枋
蘇枋
本心を口から出して しまえば、 全身真っ赤にさせて、 さらにブルブルと 震え出した桜君。 手を繋ぐだけで、この様子ならば、 次のステップに進むのに、 何年かかるのだろうか。 桜君との未来のことを考えて、 また1つ笑みが零れた。
桜
ぎこちなく繋いでくれた 手からは、 桜君の暖かい体温を感じた。 口をとんがらせながら 話しかけてくれる姿に、 やっぱり可愛いという表現しか 出てこない。
蘇枋
桜
蘇枋
蘇枋
桜
渋々といった感じで、 俺たちは歩き出した。 向かった先は コップ等が売っている ショップ。 店内は、カラフルなコップや、 お皿等で埋められていた。
桜
ショップで どんなものを買おうかと 当たりを見回している時、 不意に袖をそっと引っ張られた。
蘇枋
聞こえてきた言葉にびっくりして、 思わず間抜けな声が 出てしまったと思う。 本当にらしくないな、 と、心の中で少し反省した。
俺からの返答が、 間抜けな声しかなかったからか、 桜君が不安げに俺の顔を覗き込んだ。
蘇枋
蘇枋
蘇枋
慌てて笑顔を取り繕い、 彼を安心させる言葉を投げかけた。 俺の返答を聞き、ほっとしたのか、 その後は何も追求される事は なかった。
蘇枋
桜
俺が取りだしたのは、 白黒の猫が書かれたカップだった。 人目見た時、 つい手を伸ばしてしまったそれは、 彼によく似たマグカップだった。
蘇枋
桜
不思議と言った顔で 俺をじっと見つめてくる桜君。 4つもいるのかと、 キョドりとした顔をした。
蘇枋
桜
蘇枋
蘇枋
桜
ちらりと髪から覗かせた桜君の 顔は、薄く赤らいでいた。
蘇枋
桜
桜
桜
蘇枋
かっこよくて、 可愛い君が、 俺は愛したくて、 もっともっと抱きしめたくて 仕方がない。
でもきっと、君は 恥ずかしがって、 俺の事を弾き飛ばしちゃう だろうなぁ、 頭の中で想像してみた。
触れられなくてもいい。 君に嫌いと言われてもいい。 だからただ、 ずっと一緒に居られたらいいな。 そう考えながら、 彼の手を固く握り返した。
コメント
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見るの遅れたぁぁぁ😭😭 心拍数ハンパないくらい感情おかしくなる(いろんな意味で)
お久しぶりです~..!!! 作品を見失ってしまってて見るの遅れちゃいました.... 記憶喪失系の物語すごくすきです...💕 お揃いマグカップとか..手を繋いでくれるとか...桜くん尊過ぎます...( ; ; )
早く思い出してぇぇ桜〜😭