じいちゃんのタイムマシーン

どうしても気になって来てしまった

成績のこともそうだけど

父ちゃんとのことも聞きたかった

未来では聞くことができないから

自慢するわけじゃないけど

俺は今まで一度も0点を取ったことはない

どんなに悪くても30点以上は取れていたと思う

母ちゃんがそう言って笑う

この褒め方

父ちゃんに少し似てるかもしれない

小さい頃からずっと

父ちゃんはテストの答案を見せると褒めてくれた

俺が漢字テストで40点しか取れなかった時でも

そう言って頭を撫でてくれた

だからもっと褒めてもらいたくて

頑張って勉強をするようになった

徐々に成績は上がっていき

漢字テストで100点を取れた時

父ちゃんはまた頭を撫でてくれた

父ちゃんはいつも優しいけど

いつも寂しそうだった

そんな父ちゃんを笑顔にしたくて

俺はずっと勉強を頑張っていた

少しでもいい点を取れば

父ちゃんが笑ってくれるかもしれないと思った

でも何度、頑張っても

父ちゃんが笑うことはなかった

喜んでくれるし褒めてくれる

でもその表情はどこか寂しそうで

見ているのが辛かった

やっぱり父ちゃんの言う通り

理数系が得意なのは母ちゃん譲りなんだ

だからって文系が苦手と言うわけではないけど

俺もどちらかと言えば理数系の方が好きだった

母ちゃんが嬉しそうにスマホの画面を見せてきた

恭也さんと別れた直後は凄く悲しそうな顔をしていた

波瑠さんとのこともあったから余計に落ち込んでいたけど

父ちゃんと再会して

今は凄く幸せそうな顔をしている

俺がずっと見たかった最高の笑顔

やっぱり父ちゃんは凄い

一度、会っただけで母ちゃんを笑顔にできるんだから

きっとこれから

母ちゃんの笑顔は増えていく

父ちゃんと恋をして

父ちゃんの隣で……

そう言って笑う母ちゃんの顔が

ほんの少し赤くなっていた