午前9時、わたしが出勤すると向かいの席ではもう仕事を始めている後輩。
わたし
慎太郎
すでに営業マンとして満点の笑顔で挨拶してくれる。
わたし
と謎の危機感を覚える。
一応わたしが彼の教育係をしているんだけど、正直もういらない。
だって、ほら。
慎太郎
わたし
慎太郎
それは、昨日彼に「できたら今週中に持ってきて」とお願いした資料作成。
別に明日なんて言ってない。
わたし
慎太郎
わたし
ありがとう、と受け取る。
少しめくって見るが、かなり整理されていて読みやすい。
わたし
苦笑しながら、自席で作業を開始した。
休憩時間、ラウンジに下りてコーヒーを飲むのがわたしの日課。
サーバーで一杯淹れ、ソファーに座る。
わたし
カフェラウンジでは、たくさんの従業員が談笑している。リラックスできるいい場所だ。
わたし
すると、カップを持ってこっちに来る後輩くんを見つけた。
慎太郎
わたし
慎太郎
わたし
森本くんは隣にそっと腰掛け、カフェオレをすする。
慎太郎
わたし
慎太郎
わたし
くすりと笑いながら、今までは一人で休憩していたから後輩でも話し相手が来てくれて嬉しい。
少し仕事について話し合っていると、あっという間に休憩時間は終わり。
わたし
慎太郎
オフィス階に上がるエレベーターも先にボタンを押してくれるし、「どうぞ」と通してくれる。
わたし
慎太郎
その爽快な笑みを見て、営業に連れていくのが何だか楽しみになった。
今日は後輩くんと初めての外回り営業。
社用車の運転席に乗り込もうとしたところ、
慎太郎
と呼び止められた。
慎太郎
わたし
慎太郎
どこまでも律儀な彼に、思わず笑みを漏らす。
わたし
相手の会社をナビで設定し、出発する。 彼は慣れているのか、安定感のある運転だった。
慎太郎
わたし
わたし
慎太郎
そう言いながら明るく笑った。
その爽やかな目元をルームミラー越しに見たとき、心が跳ねた。
お相手との商談を終え、会社を出る。
慎太郎
後輩くんはネクタイを緩めた。
わたし
わたし
慎太郎
わたし
と笑いかけた。
後輩くんも緊張が解けたのか、いつもの笑みに戻っている。
わたし
平静を装いながらも、少しだけドキドキしている。
慎太郎
スマホで調べると、近くにコーヒーショップがあった。
慎太郎
わたしはほっと息をついた。
そこは落ち着いた雰囲気の場所だった。 ここならスーツでも浮かないだろう。
わたし
慎太郎
会社の休憩時間の飲み物と全く同じで、ふふっと笑える。
わたし
2人分のコーヒーが運ばれてくると、森本くんは腕時計を見やった。
慎太郎
わたし
仕事とかこれからのこととか他愛もない話に花を咲かせていると、ふと静かになった後輩くんはこう言った。
慎太郎
わたし
やはり何でもない顔をしながらも、反比例して胸は高鳴る。
慎太郎
珍しくもじもじしている。 わたしは笑って、
わたし
慎太郎
慎太郎
途端に嬉しそうな顔になる。
わたしはつい口角が上がるのを隠すようにうつむいた。
慎太郎
わたし
慎太郎
などとニコニコしながら悩んでいるのも、可愛らしくて仕方がない。
この気持ちが恋だということは、薄々気づいていた。
わたし
慎太郎
さっぱりとした黒髪からのぞく耳がほんのり赤くなっているのが垣間見えて、愛おしさがさらに増した。
この可愛い後輩くんを独り占めできるのはいつかな、と一人思った。
でも意外とお喋りで、かなりボケる楽しい人だと知るのはまた後の話。
終わり
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