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馬場
おい、2人とも
馬場
誰にも言ってないだろうな
加地
う、うん…
健人
お母さんにも秘密にしてる
馬場
それじゃ、今日も秘密基地に向かうぞ！
加地
でも大丈夫かなぁ…
馬場
誰も喋ってないなら大丈夫だろ
馬場
ほら、早く行こうぜ
健人
うん、こっそり行かなきゃね
健人
（何しろ、僕達の基地がある場所は）
健人
（入っちゃ駄目だと言われてる森の中にある）
健人
（でも、そう言われている場所だからこそ）
健人
（スリルがあって、冒険心がくすぐられる）
馬場
それじゃそろそろ探検に向かうか！
加地
うん！今日こそ宝が見つかる気がする！
健人
（加地もようやく吹っ切れたみたいだ）
健人
まったく…調子がいいんだから
馬場
なんか言ったか？健人
健人
いやなんにも
健人
それじゃ行こう
昼 森の中
馬場
もう何回目の探検だっけ
健人
5、6回目くらいだよね確か
加地
もう、ここら辺は全部見ちゃったよね
馬場
大人たちが子供は入っちゃダメ！
馬場
なんていうから期待してたのになぁ
健人
遭難したら困るからじゃない？
馬場
んなのビビってるやつの言うことだろ
馬場
あーあ、なんかないかなぁ…
加地
そしたらさ、あっちの方に行ってみない？
馬場
あ、あっちか…
珍しく加地が提案する
健人
でもあっちは危なそうだよ？
健人
（加地が指さす方は…）
健人
（昼間でも暗い場所だしな）
健人
そっちは行かないって決めたじゃん
加地
でもこの辺は全部探検し終わったし…
馬場
まあな
馬場
危なそうならすぐ戻ればいいんだし
馬場
…行ってみてもいいかもな
健人
で、でもさ…
馬場
大丈夫だって
健人
そう…かなぁ
加地
じゃあ健人は待ってたら？
健人
そんな、僕だけなんて…
健人
…分かった。行くよ
昼 森の奥
馬場
分かってはいたけど、暗いな…
健人
2人とも気を付けてね
健人
（暗くて手探りで進むしかない…）
加地
うん、分かってるって…っ
加地
うわぁぁぁぁ！
健人
加地！？
一番前を歩いていた加地の姿が突然消える
急いで駆け寄ると
加地がいた場所には大きな穴が空いていた
馬場
おい！加地、大丈夫か！？
健人
（穴からは何も聞こえない…）
健人
ど、どうしよう
健人
大人を呼んだ方が…
馬場
そんなことしたら怒られちゃうだろ！
健人
で、でも…
馬場
…おい、健人。見てみろ！
健人
なんだよ…
健人
──っ！！
馬場
すげぇ！お菓子がこんなにたくさん…
馬場
このゲームソフトも欲しかったんだよ！
健人
（他にもお金やおもちゃが置いてある…？）
健人
待てよ馬場、おかしいぞ
健人
何でこんなところにこんなもんがあるんだ？
馬場
もしかしたら…
馬場が穴に小石を投げ入れる
その瞬間、近くに何かが落ちてきた
健人
これって…
健人
（プラモデルの半端なパーツ…）
健人
（これは確か、馬場が欲しがっていたものだ）
馬場
分かったぞ！
馬場
この穴は欲しいものと入れたものを
馬場
交換してくれる穴なんだよ！すげーや！
健人
今はそれより加地のことだろ！？
馬場
いいじゃん！この穴にお願いすれば！
馬場
加地だって返ってくるんじゃね？
そう語る馬場の目はおかしかった
それが怖くなった僕は
馬場を置いて逃げ出した
健人
…加地が心配だ
健人
家からロープも持ってきた
健人
馬場はあてにならないし…
健人
僕が加地を助けなきゃ
健人
確かこの辺に…あれ？
健人
（記憶に残っている場所についたのに…）
健人
（加地が落ちてしまった穴が──）
健人
無くなってる…
そんな穴は、どこにもなかった
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