ハル
起点作りは私に任せな!
墓場の王
(この娘…槍斧の扱いに長けてる)
墓場の王
(本職は魔法使いってのが怪しい程にな)
自身と同等のサイズの槍斧を巧みに操り、墓場の王の大剣とやり合う
ハル
力は拮抗してるが……
ハル
技量じゃあ……
墓場の王
蒼炎の大剣にノーマルの槍斧で対応する貴様も中々化け物だがな?
シュナ
介入の隙がないよ…
フィン
でも、僕らも警戒しないとその【隙】を見逃すから…
シュナ
あんまり余計な手出しは出来ないか…
ハル
なら、連携ってやつをしようじゃないか!
墓場の王
!?
墓場の王
(我の大剣を弾いた!?)
ハル
さぁ!シュナ【才能開花】見せてやりな!
シュナ
いきなりだな!?
フィン
よし!見せたれ!
シュナ
お前もか!?
シュナ
まぁ、振られたらやりますけど!
シュナ
墓場の王
(瞬間で我の懐に間合いを詰めたか)
シュナ
はぁ!!
墓場の王
ウグッ!?
フィン
よし!あの薄汚れた鎧に深い傷をつけた!
ハル
(年数が経っているのに切り傷ができる程度!?)
ハル
(あの鎧何でできてるのよ…)
ハル
(確かにシュナの剣も安物ではあるがそれにしてもだ…)
シュナ
あっ!
シュナ
刃が身体に達してない!
墓場の王
……良い太刀筋だ
墓場の王
我は貴様も気に入った
墓場の王
その剣で我に一太刀入れたことを誇るといい
墓場の王
だが、次はもうない!
墓場の王
次はこうはいかん
ハル
…もう油断はなし、か
シュナ
アレで決めきれないのはもう無理よ?
シュナ
私の取っておきであるこの抜刀がアレなんだもん
ハル
抽象的すぎるがまぁそうね
フィン
軽装を活かした俊敏さで距離を詰めて
フィン
才能開花によって引き上げられた抜刀も彼の鎧を傷つける程度…
フィン
ハルの槍斧ですら力は拮抗してても技量に差があり返される率が高い…
フィン
あれ?もしかして詰みでは?
ハル
何言ってんの?
ハル
まだアンタっていうリーサルウェポン出してないわ
フィン
いやいや僕が介入することはないって
ハル
アンタの異能開花で大剣壊せばこっちのもんよ
墓場の王
ほぉ?
墓場の王
【異能開花】とな?
墓場の王
貴様らの言う【才能開花】とはまた別物か?
フィン
言っちまえば才能開花の残りカスみたいなもんだよ
墓場の王
……ならば恐るるに足らんな
墓場の王
と、先程までの我は言っていたが
墓場の王
今は違う
墓場の王
その異能開花とやらを我にみせてみよ!
フィン
タイマンだと勝てるか怪しいし
フィン
本来は連携を主とした時の僕の立ち回りは囮だからな
フィン
真っ向からやるのはアホらしいけど
フィン
やってもやらなくても詰みなので
フィン
やるか…仕方なし
フィン
『【異能開花 身体能力強化】』
墓場の王
(ほぉ?自身が強くなると?)
フィン
僕これキツイから嫌なんだけど…
フィン
まだそれほど上手く扱えないし
フィン
ま、カエデに治してもらえばいっか
フィン
んじゃ…行くよ
フィンが地を蹴る。瞬間突風が巻き起こり蹴り出したその一歩目は強い衝撃を受けたかの如くえぐれている
束の間、フィンは墓場の王の元に現れその拳で頭部に狙い定め繰り出す
が、歴ある屍だからか反応こそ遅れたが大剣で頭部を守ることに成功はした
しかし、フィンの繰り出したその拳の威力は彼が予想するより遥かに高く
後方に大きく吹き飛ばすだけでなく、あの大剣に拳の跡を残す
墓場の王
……ほぉ
墓場の王
これが異能開花
フィン
フィン
……痛ったぁ
フィン
フィンガーガードを付けてなお自傷ダメージ負うのか
墓場の王
(身体能力の強化というのは伊達では無い。)
墓場の王
(が、やはりデメリットは存在してるようだな)
墓場の王
(この大剣を凹ますほどの威力を出せるが本人が無事でないところを見ると)
墓場の王
(あくまで『身体能力』だけ上げるもので、本人の耐久性は変わらないのか)
墓場の王
(恐らくより有効に使うなら自身に防御魔法を付けて反動に耐えれるようにする)
墓場の王
(そういった補助を付けないと上手くは扱えないか)
墓場の王
(だが、あの男……。魂の色を見ると自己犠牲も厭わない人物だ)
墓場の王
(余程の窮地に追いやられた時彼は自身を引き換えに仲間を護る)
墓場の王
(そしてその瞬間爆発的な力も発揮するだろう)
墓場の王
(これは仲間をやるよりも先にこちらを片付けないとか)
フィン
さぁて……
フィン
クソ痛いけど大剣を凹ませたとこ見ると
フィン
多分壊せるなアレ
ハル
そんじゃああの大剣何とかぶち壊して
フィン
その前に僕が壊れたらごめん
シュナ
そんときゃ笑ってあげる
フィン
助けろよそこは…
墓場の王
…いい能力だ
墓場の王
貴様名は?
フィン
僕?
墓場の王
そうだ
墓場の王
貴様に興味が湧いた
フィン
僕はフィン
フィン
怠惰な男だ!
墓場の王
フィン、か
墓場の王
貴様を我は好敵手と認めよう
墓場の王
故に加減はなしだ
墓場の王
『死』という恐怖を貴様に見せてやろう
フィン
なっ!?
墓場の王
これ以上の攻撃は大剣が持たないだろう
墓場の王
ならば、もう捨て去り我も同じ立場で戦ってやろう。
ハル
相手も本気よ!
ハル
フィンも出し惜しみなしにね!
フィン
出し惜しみなしって僕常に本気なんだけど!?
シュナ
大丈夫!
シュナ
この戦闘の目的は連携の意識
シュナ
何もあんた一人で何とかしろなんて言ってないから!
フィン
それでも危険な役なのは変わらないんですが!?
ハル
ウダウダ言ってないでやるよ!
墓場の王
さぁいくぞ!
フィン
問答無用ってか…
フィン
ならもうやったりますよ!
フィン
【異能開花 『身体強化』】
フィン
脚力と腕力に全てをシフトし
フィン
守りを捨てる!
距離を詰めて連撃を喰らわすが、その拳一つ一つに対し相手も合わせて殴り来る
炎を纏った拳といえど、殴る時には風によって火力は弱まり
その効力は微々たるものにとなるため臆することなくフィンは殴り続ける
墓場の王
(身体強化によって威力、速さ共に進化してるが)
墓場の王
(それ以上に恐ろしいのはその異能開花の効果をフルで使用してる事だ)
墓場の王
(異能開花については我も分からないが我の生きた時代に似たような技を使うものは何人も見た)
墓場の王
(だが、彼らはその技を活かしきれていなかった)
墓場の王
(理由は単純。威力速さを上げれば身体にかかる負荷も増量する)
墓場の王
(つまり、100%を出せば身体を壊し自害することとなる)
墓場の王
(だからこそ出力を恐らく60%ほどに抑えていたはずだ)
墓場の王
(しかしこの男は違う…己の肉体の心配はせず)
墓場の王
(ただ目の前の『敵』を倒す為だけに全力なのだ)
墓場の王
(その証拠に初めに我に打撃を与えた時と比べ明らかに威力速さが違う)
墓場の王
(大剣を装備していれば壊れたのは確実だろう)
墓場の王
(だが、もう彼の身体は限界のはずだ。)
墓場の王
(そろそろ攻撃が緩む瞬間が生まれる)
墓場の王
(そこを我は…)
フィン
今だ!
墓場の王
なっ!?
瞬間フィンの後ろから居合の構えをしたシュナが現れフィンを踏み台にし墓場の王を斬り伏せる
墓場の王
ば、馬鹿な…
ハル
これでもまだあんたはくたばらないなら
ハル
ダメ押しさせてもらう!
ハル
【才能開花『蒼炎』】
墓場の王
(蒼き炎……)
墓場の王
(なるほど…これは我も……)
ハル
苦しめられたけどこれで終わり!
墓場の王
フッフッフっ…
墓場の王
ハッハッハ!
墓場の王
今人たちよ!
墓場の王
死んだ身の我にまだ可能性を見せてくれるのか!
墓場の王
我は天から見ておこう!
墓場の王
お主らの成長を!
墓場の王
今人の可能性を!!
ハルの放つ蒼き炎で燃やされ、捨て身の一撃を放つフィンの拳によって鎧は砕かれ肉体を貫かれる
墓場の王はそうして膝を折り高らかに笑って灰に変わり風を煽られ消える
フィン
か、勝った……
シュナ
な、何なのあいつ……
ハル
はぁ…はぁ……
ハル
(この墓場については帰って調べないとね)