VRが俺たちの日常になってから ずいぶんと時代が流れた
もうVRなんて誰でも使える 当たり前のツールとなっている
どこかの企業がノリで始めたおかげでVRの中ですらVRが楽しめる世の中なのだ
俺たちのようなVRのコアなオタクたちの間では、「ダイビング」というゲームが流行っている
それはまるで海の深層へダイブするかのように VR世界の中のそのまたさらに VR世界の中へと層を重ねて 潜り続けるゲームだった
しかし
晴翔
晴翔
俺は初めての凡ミスに気がついた
ログ、つまり自分がどれだけVRの層を重ねて潜っているかの記録をつけ忘れていたのだ
晴翔
晴翔
早速ギブアップの報告をグループに投げる
晴翔
chat: ハルト、戻る
chat: 了解
晴翔
周囲を見回すと別段日常と変わらない光景が続いている
これがダイビングの面白いところだ
深く潜っても自分にとっての現実感は全く薄れることがない
唯一現実と違うのが、VR世界への 入口と出口だ
ある階層では、特定のエレベーターに 乗ることで次の階層に行けるし 別の階層では特殊な食べ物を食べることが入り口だったりする
そしてまた、帰り方もバラバラなのだ
だからコアなオタクでなければ 5階層とダイブしないうちに進み方も帰り方も分からなくなって 怖気付いてしまうだろう
晴翔
晴翔
晴翔
晴翔
順調に戻り続ける俺
ときには…
晴翔
晴翔
自殺が出口になる層もある
だから素人にはほとほと向かない 遊びなのだ
だが、、
晴翔
最後の階層まで戻ってきて、 帰り方が分からなくなってしまった
晴翔
基本的に、現実から一回層目の ダイブには一般人と同様のありふれたヘッドギアを用いるのが通例だ
晴翔
頭をわしゃわしゃするがなんの感覚もない
晴翔
ヘッドギアを使う他に、 あとひとつだけ 現実からダイブする方法があった
それは薬を飲んで瞑想状態に入ること
脳波を電波に変換して 装置に取り込むことで 意識だけでのダイブが出来る
晴翔
晴翔
晴翔
晴翔
瞑想モードから帰るためには 夢の中で死ぬ必要がある
それが現実での目覚めに つながるからだ
晴翔
晴翔
晴翔
晴翔
一向に戻れる気配はなかった
それどころか、 どんどん意識が薄らいでいくのが 分かった
晴翔
周囲の人々がワーワーと 叫びながら集まってくる
人々
人々
人々
人々
人々
人々
人々
人々
遠のく意識の中で
俺は自分が一つ分階層を 数え間違えていたことに気がついた
コメント
3件
作品の発想が面白いなと思います。続きがあれば読みたいです