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咲野藍
連れてこられたのは、生徒会室だった。
私は言われた席に足を組んで座る。
何の話をするのか分からないのだが、なんとなく嫌な予感がする。
?
こいつは生徒会室に慣れているのか、手際よく紅茶を注いだ。
咲野藍
?
黒瀬大和
妙に慣れているなと思ったら、生徒会長だったのか。
黒瀬大和
黒瀬大和
っち。
こいつと話すとイラッとする。
黒瀬大和
黒瀬大和
「前みたいに」?なんでこいつ私の前のことを知っているんだ。
咲野藍
咲野藍
こんなくだらないことに時間を使いたくない。
黒瀬大和
黒瀬大和
咲野藍
ここからが本題...?
黒瀬大和
黒瀬大和
咲野藍
私は思わず耳を疑った。
こいつの発した言葉に、声に鼓動が速くなった。
それはあいつと一緒にいる時のような鼓動の速さとは違う。
咲野藍
黒瀬大和
黒瀬大和
黒瀬大和
黒瀬大和
咲野藍
黒瀬大和
黒瀬大和
咲野藍
咲野藍
実際、焦っていないと言えば嘘になる。
「私の過去を知られた」というだけで、結構ストレスなのだ。
手からは汗が出て、震える。
必然的に過去のことを思い出して吐き気がする。
咲野藍
咲野藍
黒瀬大和
黒瀬大和
なんだこいつ。
黒瀬大和
黒瀬大和
咲野藍
睨みつけて言った。
咲野藍
黒瀬大和
咲野藍
咲野藍
生徒会室の扉に手をかけ開けようとした。
黒瀬大和
咲野藍
黒瀬大和
そんなことどうでもいい。
あいつのことなんてもうどうでもいいのだ。
私は、生徒会室の扉を開いた。
...!なんでお前がここに
成瀬春樹
...全部聞いていたのか。
なにか言いたそうにしている。
そりゃそうだろう。
こいつに、私の過去なんて話したことがないんだから。
私は、こいつを見て何も言えなかった。
私の過去を言ってしまったら、嫌われてしまいそうで。
今までやっとこいつといて幸せになれたのにそれが崩れてしまいそうで。
嫌われるのはもうごめんなのだ。
咲野藍
成瀬春樹
私はあいつの言葉に従うことが出来ないまま廊下を駆け抜けた。
盗み聞くのは良くないと思った。
だけど、つい出来心で聞いてしまったんだ。
成瀬春樹
この時本当は色々聞きたかった。
過去ってなんですか?
去年、先輩に何があったんですか?
どうして僕に相談してくれなかったんですか?
今、先輩はどういう気持ちなんですか?
咲野藍
先輩は何も言わなかった。
いや、言えなかったんだろう。
成瀬春樹
僕の小さな声が先輩に届くはずもなく先輩は廊下を駆け抜けて行った。
黒瀬大和
僕は頭で考えることもなく、こいつの胸ぐらを掴んだ。
成瀬春樹
黒瀬大和
黒瀬大和
っ...確かにそうだ。
僕は考えながら掴む手を緩めた。
こいつの口からじゃなくて先輩の口から聞きたい。
先輩の口から、本人の口から真実を聞きたい。
そして僕は先輩が駆け抜けた廊下を歩いて帰った。
あれから2週間たったが、先輩とは1回も話せていない。
というのも、いつもの保健室に行ったりしているのだが、僕が行く時間には先輩はもう居ないのだ。
保健室のドアをノックする。
成瀬春樹
成瀬春樹
藤岡知子
成瀬春樹
今日もダメだったか...
いつも全速力で来ているのだが会えないのだ。
先輩と会えなくなって分かったことがある。
それは、僕は先輩に依存していたということだ。
このたったの2週間、先輩に会えなかっただけで僕は胸が苦しい。
先輩も同じだといいんだけど...
藤岡知子
成瀬春樹
喧嘩と言えば喧嘩だ。
成瀬春樹
藤岡知子
成瀬春樹
先輩は去年の冬からは保健室登校になっていた。
ならば、先生は知っているだろう。
藤岡知子
やっぱり。
藤岡知子
ここで、「はい」と答えたら先生は簡単に教えてくれるだろう。
でも、今はそれじゃだめなんだ。
成瀬春樹
成瀬春樹
藤岡知子
成瀬春樹
藤岡知子
そう言われて少し照れる。
藤岡知子
成瀬春樹
そこに行けば先輩に会えると思うと胸が高鳴る。
僕は急いで屋上に向かおうとした。
藤岡知子
名前を呼ばれ振り返る。
藤岡知子
藤岡知子
成瀬春樹
そんな先生の声に背を向け僕は屋上に向かった。
屋上。それは僕が先輩に告白した場所だ。
あの日は盛大に振られたなぁと思いつつ先輩を探す。
いた。仰向けで寝ている。
久々に見た先輩の顔は寝顔だった。
先輩のことを久々に見て手が震える。
成瀬春樹
僕は今までと同じようなテンションで言った。
先輩の目が開いた。可愛い。
咲野藍
成瀬春樹
成瀬春樹
咲野藍
意外にも先輩は落ち着いていた。
咲野藍
成瀬春樹
咲野藍
僕が先輩に最初で最後の説教をする。
成瀬春樹
成瀬春樹
成瀬春樹
成瀬春樹
先輩のことだから過去を知ったら僕が嫌いになるとでも思ったんだろう。
成瀬春樹
成瀬春樹
成瀬春樹
成瀬春樹
成瀬春樹
咲野藍
僕の説教で固まってた先輩がようやく言葉を発した。
咲野藍
咲野藍
成瀬春樹
成瀬春樹
心配しているその目は明らかにヤンキーの目ではなかった。
1人の可愛い女子の目だった。
咲野藍
咲野藍
先輩、僕は先輩がどんな過去を歩んだとしてもずっと好きです。
先輩、大好きです。