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春美
ゆかり……どこいっちゃったんだろう？
頭の中でゆかりの顔を思い浮かべる。
昨日話した後、ゆかりは家を飛び出し、そのまま行方がわからないらしい。
春美
はあ……。
ゆかり
どうしたの？ため息なんかついて？
春美
えっ、ゆかり？
後ろから声をかけられて振り返ると、そこには笑顔のゆかりがいた。
ゆかり
どうしたの？春美。
不気味なくらい、ニコニコ笑っている。
春美
ゆ、ゆかり。
春美
だ、ダメでしょ？
ゆかり
えっ。
なにが？
なにが？
春美
勝手に家を飛び出したりしたら。
春美
みんな心配したんだよ？
ゆかり
え？
ゆかり
えー、あー、うん。
ゆかり
ごめんね。
春美
昨日はごめんね？私も言いすぎた。
ゆかり
えっ、昨日何かあったっけ？
ゆかりは言っている意味がわからないとでもいうように首を傾げた。
そして、一気に顔が引きつる。
ゆかり
も、もしかして……。
ゆかり
また、2人目の私……？
春美
え、でも、昨日はどこにいたの？
ゆかり
へ、部屋にいた……。
春美
ゆかりのご両親は部屋も確認したって言ってたのよ？
ゆかり
え、じゃあ、私は一体どこにいたの？
ゆかり
今日も、ちゃんと家から出てきたわよ？
春美
え？ど、どういうこと……？
春美
と、とにかく……。
私は携帯を取り出し、ゆかりの父親に連絡をした。
春美
もしもし？春美です。
ゆかりの父親
もしもし？どうしたんだい？今はちょっと忙しいんだけれど……。
春美
ゆかり、見つかりました。
ゆかりの父親
えっ、本当かい？
春美
はい、今変わります。
ゆかり
朝もあったけど……。
春美
いいから！
ゆかり
も、もしもし。ゆかりです。
ゆかりの父親
ゆかり……！ああ、無事だったんだな？
ゆかり
うん、無事だよ？
ゆかりの父親
いったい今までどこにいたんだ！
ゆかり
家にいたわ。朝にも2人と話してるし、もしかしたら私、またあの心霊現象に合っていたのかも……。
ゆかりの父親
そ、そうか……。
ゆかりの父親
だ、大丈夫だぞ！また、おはらい行こうな？
ゆかり
う、うん。
その会話は、なんだかぎこちなく聞こえた。
春美
とにかくよかったあ、ゆかり、みつかって。
ゆかり
ご、ごめんね？
ゆかり
よくわからないけれど、心配かけちゃったみたいで。
春美
いいのよ。それより、これからどうするかを考えましょ？
ゆかり
そうね。……なんだか別世界に飛ばされてきたみたいで、気味が悪いわ。
春美
流石にここまでなって、笑ってられないよね。
私はゆかりの方をぽん、とたたくと、教室へと向かった。
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