十一月二十九日
(こんなに長引かせるつもりはなかったが、結果的にダラダラと続いたな)
十一月二十九日
(もっと簡単に終わるはずだったのによ――)
十一月二十九日
(いや、この女が意外としぶといってのが、予想外だったか)
十一月二十九日
(ゲームはもつれにもつれて、互いに2ポイント獲得の最終決戦)
十一月二十九日
(まぁ、ゲームの流れとしては自然な形になったし、結果オーライで考えてもいいだろう)
十一月二十九日
(ワンサイドゲームじゃ、さすがに気づかれそうだし)
これまで先攻と後攻が入れ替わる形で展開してきたから、互いに確認などせずに、自然と最終決戦の先攻は七星となる。
十一月二十九日
(もし、ここで俺が先攻とかだったら、ちょっとまずかったかもな)
十一月二十九日
(遊びすぎて【7】を目指そうとしたのが、そもそもの間違いだったわけだ)
十一月二十九日
(だが、心配はいらない)
十一月二十九日
(俺の勝ちはもう――決まっているようなものだからな)
七星
――セットだ。
十一月二十九日
(普通のロジックで行くなら、ここは通して、数字を絞れるところまで引っ張ってから【ノンオープン】を仕掛けるべき)
十一月二十九日
(だが、悪いが俺は自分の番まで回したくないんだわ)
十一月二十九日
(さすがにここでの【ノンオープン】は不自然に映るだろうが、決着さえついてしまえば、疑念はどうにでもなる)
十一月二十九日
(世の中ってのは、どんな手段を使っても勝ったほうが全てだ)
十一月二十九日
(しかも、これは俺の特性みたいなもので、条件としてはあっちも全く同じ)
十一月二十九日
(絵本の表紙を彩る水玉模様だって、あっちの目でも確認できるだろう)
十一月二十九日
(ただ、認識ができないだけだ)
十一月二十九日
(あれ……?)
十一月二十九日
(なんだか水玉模様が妙に薄いように見えるけど――)
十一月二十九日
(まぁ、問題はないだろう)
十一月二十九日
(だって、この状態でも、この女が出した数字は明白だからな)
十一月二十九日
(そこに伏せてある絵本――そのナンバーは)
十一月二十九日
【ノンオープン】だ。
強襲。ここで十一月二十九日は、またしても強襲する。
最終局面においての強襲は、間違いなく七星の目には不自然に映ることだろう。
しかし、ここを勝ち切ってしまえば勝利の十一月二十九日からすれば、そんなものはもはや関係ない。
十一月二十九日
ナンバーは……【0】だ。
十一月二十九日
ここで変な出し方をしてきたな。奇をてらったつもりか?
十一月二十九日
見方を変えれば、俺が初手から仕掛けてくることは、予測できていたってことだろうな。
十一月二十九日
どうした?
十一月二十九日
絵本をオープンしてくれよ。
十一月二十九日
まさか……オープンできないとか?
十一月二十九日
俺の言ってることが図星すぎるから、ビビって絵本をオープンできないのか?
七星
いいや……。
七星
あまりにも愚かだと思ってな。
十一月二十九日
(はぁ?)
十一月二十九日
(――【3】だと?)
七星
どうした?
七星
心外のようなリアクションを見せているが――。
七星
まるで、私の出した絵本が【0】だったと確信していたような素振りだな。
七星
少し怖かったが、セオリーにのっとって【3】を出しただけのことで、私は特別なことをしていないが。
十一月二十九日
(な、なぜ――。なんで【0】じゃない?)
十一月二十九日
(だって、どう見たって、さっきのは――)
七星
水玉模様の色が全て同じに見えたはずなのに、なぜ――とでも言いたそうだな。
十一月二十九日
(ま、まさかこいつ――俺の特性に気づいていた?)
十一月二十九日
(その特性を利用して、絵本のナンバーを把握していたことまで)
七星
仕掛けはいたってシンプルなんだよ。
七星
ただ、それが私には見えず、貴様には見えていただけのこと。
七星
もちろん、私はそれを理解したからと言って、判別には利用できない。
七星
全く、うまいことやってくれたものだ――。
十一月二十九日
な、なぜ……。
十一月二十九日
どうしてそのことに気づいた!?
七星
簡単だよ。
七星
つまり、貴様のファッションセンスはあてにならないってことだ。