辺りは寝静まり、空は薄らと 月の影が残っている
空は透き通る水色と紫の グラデーションで、まるで 水の髪色のようだった
時刻は早朝 道路には車も通らず、人気も無い中 誰かが神社の階段を駆け上がる
昨日も見た、赤髪の少年、赤だ
彼の髪は向かい風で 完全オールバック状態
そんな事も気にせず、 赤は切羽詰まった様子で 神社の階段を上っている
一方、水は深い眠りについており いい夢を見ているのか、 笑みを浮かべている
水の寝ている部屋には 何も物音がせず、置いてある時計の 秒針だけが鳴り響いた
@ 赤
@ 赤
赤は鳥居を潜ると直ぐに水を呼ぶ 彼の声は乾燥しているのか とても弱く、掠れていた
@ 赤
水の獣耳がピクリと動く 何時もは無い状況に、水の頭は 徐々に現実に向く
@ 赤
@ 水
掠れた赤の声で水の頭は 完全に覚醒した
『非常事態だ』
慌てて縁側に駆け寄る そこには涙を溜めて荒い息を吐く 赤の姿があった
@ 水
大声で声をあげたかったが、 赤が怖がらないよう、なるべく 優しく、落ち着いて話しかける
@ 赤
赤は言葉に詰まり、 思うように声が喉に通らない
その様子に更に水の 鼓動が早まるのが分かる
@ 水
@ 水
@ 赤
@ 赤
目に溜めていた涙を零し、 水を見つめる赤
@ 赤
@ 水
@ 赤
@ 赤
@ 赤
@ 水
赤の体はブルブル震え、 水に体を委ねていた
そんな赤の体を支えながら ふと水は思い出す
@ 水
赤は顔を水に埋めながら 静かに首を振る
「ダメだった」 そう、微かに赤は呟いた
@ 水
@ 赤
赤は短いズボンのポケットから 鈴を取り出した
赤が手にしていた鈴は、 粉々に亀裂が入っていて、 少し触れただけで 壊れてしまいそうだった
@ 赤
@ 赤
@ 赤
荒い呼吸の間で ゆっくりと話す赤
赤の瞳は震え、立つことも 間にならない状態
@ 水
@ 水
@ 赤
@ 水
過呼吸気味の赤の背中を擦りながら 水は赤の手を握る
水の手より二回りは小さい、赤の手
彼の手はとても冷たく、痛々しい
水は小さく冷たい赤の手を握り ゆーくんの元へ走り出す
彼らの背中を、白狐が 静かに見守った
コメント
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ごめんみんな! 更新通知来たか教えて!! 僕の方には来てなくて… 無理な人は今の僕のコメントに いいね押すだけでいいから!