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花菜(はな)

…もう、雪くん。

雪(ゆき)

……ん、花菜、

雪(ゆき)

なに?

花菜(はな)

何って…

溜息を吐く。

花菜(はな)

授業サボらないでよ…。

雪(ゆき)

あ〜、

雪(ゆき)

「学級委員なんだから呼んでこい」って?w

花菜(はな)

分かってるじゃない

雪(ゆき)

そんな事だろうと思った

花菜(はな)

(…ただでさえ、最近授業についていけてないのに、)

花菜(はな)

(今回はそれも途中で抜け出して、私が呼びに行く羽目に…)

雪(ゆき)

雪(ゆき)

はぁ〜、

雪(ゆき)

別に成績悪いわけじゃないし、放っておいてくれたらいーのに。

花菜(はな)

………、

花菜(はな)

花菜(はな)

(……悪いどころか、)

授業をサボりがちな彼の成績は、何故か学年トップだ。

花菜(はな)

(………)

…なんで彼は、

花菜(はな)

花菜(はな)

…そんな訳にもいかないでしょ

こんな風に生きているのに、上手くいくんだろう。

花菜(はな)

確かに成績は大事だけど、ルールを守ることも大切だよ…。

雪(ゆき)

………

雪(ゆき)

雪(ゆき)

…んで、ルール守った結果は?

雪(ゆき)

…花菜はそれで上手くいってんの?

花菜(はな)

花菜(はな)

…っっ、なんで君にそんなこと言われなくちゃ…

雪(ゆき)

…ほら、図星。

花菜(はな)

花菜(はな)

…っっ、なんなの、

…なんで私が悩んでる時に限って、そんな馬鹿にするようなことばっかり、

花菜(はな)

っいい加減に──!!

雪(ゆき)

雪(ゆき)

─あのさ、花菜、

花菜(はな)

思わず振り上げかけていた手を、掴まれる。

雪(ゆき)

…着いてきてくれない?

花菜(はな)

……は?

花菜(はな)

どこに…

問い返す前に、手を引かれる。

花菜(はな)

っ、ちょっと!!!

雪(ゆき)

こっから非常階段使えば、バレずに外に出られるよ?

花菜(はな)

待ってよ、何言って…

花菜(はな)

…え、外に出るつもりなの?!?!

雪(ゆき)

…あっはは、カンペキに校区外w

花菜(はな)

…………

雪(ゆき)

雪(ゆき)

雪(ゆき)

…綺麗でしょ?

花菜(はな)

花菜(はな)

…別に、ちょっと周りを見てただけ。

雪(ゆき)

ははっ、そっかw

海沿いの柵の上に、彼が腰を預ける。

雪(ゆき)

…なぁ、

花菜(はな)

…?

…私も、隣の柵に軽く凭れた。

花菜(はな)

…なに、

雪(ゆき)

さっきの話の続き。

花菜(はな)

花菜(はな)

…もう、話すことなんて、

雪(ゆき)

─示された通りにしたって、必ず上手くいく訳じゃないこと。

花菜(はな)

………、
どうしてそう言えるの。

雪(ゆき)

うーん…例えば、俺の成績がいい理由とか。

花菜(はな)

自分で言うんだ…

雪(ゆき)

事実だからな〜w

雪(ゆき)

雪(ゆき)

…俺、人が多いとこニガテでさ、

雪(ゆき)

教室程度の人数ですら、

雪(ゆき)

そっちに意識がいくから、気が散って授業が受けられなくて。

花菜(はな)

…、

雪(ゆき)

…だから、1人の時に勉強してるんだ。

雪(ゆき)

家帰ったあととか、屋上いる時とか。

花菜(はな)

…でも、常識的にアレじゃない?

雪(ゆき)

まあな

雪(ゆき)

雪(ゆき)

でもさ、

雪(ゆき)

─俺にはこっちの方が合ってるんだ。

花菜(はな)

…、

雪(ゆき)

手段と目的が入れ替わるの、俺はあんまり好きじゃないから。

雪(ゆき)

普通に考えたら、「授業を受ける」は、「賢くなる」目的の手段だろ?

雪(ゆき)

なら、「賢くなる」目的を満たせたら、手段に固執する必要は無い。

花菜(はな)

…国語の説明文みたいなこと言うね。

雪(ゆき)

あっはは、面白い感想だな。

雪(ゆき)

雪(ゆき)

…まあ、勉強に限った話じゃないけどな。

花菜(はな)

…と、急に頬に冷たい感触。

雪(ゆき)

飲む?さっき買った。

差し出されたのは、 オレンジジュースの缶だった。

花菜(はな)

い、いつの間に…

花菜(はな)

あ、りがとう…

ひんやりとしたソレを、両手で包むように受け取る。

雪(ゆき)

雪(ゆき)

…あ、俺の飲みかけだけど良かった?

花菜(はな)

───っっ!!!

花菜(はな)

花菜(はな)

ゲホッ、ゲホッ…

花菜(はな)

──っちょっと雪くん!!

雪(ゆき)

っはは、冗談ww

花菜(はな)

なっ…、もう…

雪(ゆき)

雪(ゆき)

……息抜きになった?

花菜(はな)

花菜(はな)

……気づいてたの?

雪(ゆき)

もちろん。

…意外だった。

花菜(はな)

…なんというか、

花菜(はな)

……、
…雪くんも人間なんだね。

雪(ゆき)

なんだそれw

花菜(はな)

他人気遣ったり、陰で努力してたり、

花菜(はな)

…「手段」と「目的」だっけ?

花菜(はな)

…つまり、
息抜きさせる目的のために、私を連れ出す手段を取ったの?

雪(ゆき)

…まあ、だいたいそうかな。

花菜(はな)

…なるほど、

知らないうちに私を使って実践されてたとは…

花菜(はな)

…勉強になったよ。

雪(ゆき)

雪(ゆき)

…その様子だと、もう大丈夫か。

花菜(はな)

──うん。

花菜(はな)

花菜(はな)

ありがとう。

雪(ゆき)

…よかった。

…と、彼が私の頭にポンと手を置く。

花菜(はな)

花菜(はな)

花菜(はな)

……?!?

雪(ゆき)

そろそろ戻ろうか。

雪(ゆき)

…センセーになんか言われたら、俺に脅されたって言いな。

花菜(はな)

……っえ、

花菜(はな)

花菜(はな)

そ、そんなこと出来るわけないでしょ!

雪(ゆき)

…もー、真面目だなぁ

雪(ゆき)

俺の評価なんて今更どれだけ下がっても一緒だよ。

雪(ゆき)

でも、君は違うでしょ?

花菜(はな)

………それは…、

雪(ゆき)

…っはは、

雪(ゆき)

雪(ゆき)

…君みたいな真っ直ぐな子だから、俺は連れ出したんだ。

雪(ゆき)

ほっとくと一人で潰れてそうだったしね。

花菜(はな)

…バカにして、

雪(ゆき)

してないよ。

雪(ゆき)

だから余計に、君に悪い噂が立って欲しくない。

花菜(はな)

………、

…でも、

私だってそれは同じ気持ちで、

花菜(はな)

花菜(はな)

(…か、考えろ、)

花菜(はな)

(何か…)

花菜(はな)

花菜(はな)

花菜(はな)

──っっそうだよ、「手段」と「目的」!

雪(ゆき)

雪(ゆき)

そ、そんなおっきい声出せたの…w

花菜(はな)

「目的」は私の評価を落としたくないことでしょ、

花菜(はな)

…なら、雪くんの体調が悪かったから、家の途中まで私が送ったって言えば、

彼へのあらぬウワサも抑えられるのでは…

雪(ゆき)

……学級委員長にウソなんて付けるの?w

花菜(はな)

なっ、舐めないでよ!

雪(ゆき)

…ははっ、

雪(ゆき)

雪(ゆき)

…でも、それなら、今すぐ戻る必要は無いね。

花菜(はな)

え、

花菜(はな)

…いやそういう意味で言ったんじゃ、

雪(ゆき)

ねぇ、

雪(ゆき)

──もうちょい一緒に逃げよ?

…実は、あの時の目的が「君と仲良くなりたいから」だったって言ったら、

…君は怒るかな。

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