やっと着いた、僕の家
優利
父さん、ただいま
優利
僕だよ、優利だよ!
悪魔病治ったんだ
悪魔病治ったんだ
親
そうかそうか…
親
治っちまったか…
優利
え…?
親
せっかく奇病を口実に追い出せると思ってたのに治っちまったのか…
優利
追い出すって…父さんが僕を嫌いになったのは悪魔病だからじゃないの?
優利
悪魔病が治った今の僕なら愛してくれるんじゃないの?
親
本当は嫌いだよ
親
何せお前は母さんの命と引き換えに生まれた子供だからな
親
あの日から俺はお前のことが大嫌いだ
親
顔も見たくなかった
親
お前が奇病にかかったと知ったときは、さぞ嬉しかったさ
優利
嘘だよね…?
優利
僕は父さんのこと大好きだし、父さんに愛されるためだけに生きてきた!
親
それがどうした?
親
俺には関係ない
優利
まさか、父さんも悪魔病になったとか?
優利
そうじゃなきゃ、父さんにそんな酷いこと言えるわけない…
親
うるせぇ、いつまでここに居座ってんだ!
親
ささっと出ていけ!
優利
やだ…父さん…!
親
出ていけ!!
翼
にしても…優利くん、帰ってくるの遅くない?
翼
出ていってから6時間くらい経ったよ?
明梨
私、見に行ってくる!
翼
気をつけてね
明梨
優利くーん!
明梨
どこにいるのー?
彼は何も言わなかったけど、私にはなんとなく何しに行ったのか分かる。
家族に会いに行ったんだろうな。
明梨
あれ、泣いてる声…?
優利
ウッ…父さん…ポロポロ
明梨
優利くん、そんなとこにいたんだ
優利
明梨さん…?
明梨
辛いこと、あったんだよね?
明梨
嫌なら無理に言わなくても良いけど、聞かせてくれない?
優利
うん…
優利
僕、父さんに会いに行ったんだ
優利
それで、父さんに悪魔病が治ったことを話した
優利
悪魔病が治って暴言を吐かなくなった僕なら、父さんは愛してくれるって信じてた
優利
でも、生まれたときから父さんは僕のことが嫌いだったらしい
優利
母さんは、僕を産んだせいで亡くなったんだって
優利
これから僕、どうしたらいいんだろう…
明梨
辛かったよね…
明梨
私も似たようなことあったんだ
明梨
聞いてくれる?
優利
うん…