恋人の拓巳が死んだ
事故だった
彼が死んで3年…
私はまだ…諦めていない
美優
暑いなぁ…
美優
お盆の時期って
本当に暑い…
本当に暑い…
美優
…あ
美優
…ここ…だ
私は拓巳が死んでから
毎日 オカルトの資料を読み漁り
彼を生き返らす方法を
探していた
そして見つけたのだ…
ある霊能者を…
霊能者
…美優さんですね
美優
は、はい!
霊能者
お入りなさい…
美優
あなたは『本物』だって
色んな本に書いてありました
色んな本に書いてありました
美優
だから…
美優
あなたにしか
頼めない…!
頼めない…!
美優
彼を黄泉の国から
美優
現世に返して下さい…!!
霊能者
…
霊能者
美優さん…
この花瓶を見て下さい
この花瓶を見て下さい
美優
…え?
バシャッ
霊能者
ほら…
逆さにしたら
逆さにしたら
霊能者
水が零れました
美優
?…はい
霊能者
零れた水は戻りません
霊能者
拓巳さんと一緒です
美優
でもっ!!
美優
どうしても会いたい!!
彼はまだ23歳ですよ!?
彼はまだ23歳ですよ!?
美優
死ぬには早すぎる…!!
霊能者
…
美優
何でもします!!
美優
彼が現世に戻るなら…
美優
この身を捧げても
かまいません!!
かまいません!!
霊能者
…
霊能者
…分かりました
霊能者
本日の夜…
またお会いしましょう
またお会いしましょう
日が暮れてから
案内された場所は
不気味な洞窟だった
美優
あの…ここは?
霊能者
お盆には霊が現世に
帰ってきます…
帰ってきます…
霊能者
ここはその
入り口と呼ばれる場所…
入り口と呼ばれる場所…
美優
…現世の入り口
霊能者
私達にとっては…
黄泉の入り口です
黄泉の入り口です
美優
…っ!
霊能者
あなたの思いが強ければ
霊能者
きっと拓巳さんに
お会いできる…
お会いできる…
美優
!!本当ですか!?
霊能者
…この階段を上ると
霊能者
古い鳥居があります
霊能者
その場所で待っていれば
現れるやも…
現れるやも…
美優
…わかりました
霊能者
ですが美優さん…
霊能者
会うだけ…ですよ?
美優
え?
霊能者
連れて来てはいけません
美優
…
美優
…はい
そして…
私は一人で
洞窟の奥へ…奥へ
洞窟の中は
ヒンヤリしていて
体温が下がっていくのを 感じた
暗い
怖い
私の足音と
水が滴る音しか聞こえない
気が狂いそうだ
美優
古い…鳥居?
美優
っ…ここだ!
美優
拓巳!どこ!?
美優
私だよ!
美優だよ!!
美優だよ!!
美優
…
美優
…いない
美優
美優
何よ!!
美優
あの、嘘つき霊能者!!
拓巳
美優…
美優
…拓巳?
拓巳
俺の為に
拓巳
こんな場所まで来て…
美優
拓巳っ!拓巳っ!
拓巳
美優…
会いたかった…!!
会いたかった…!!
美優
うっうぅ…ぐすっ
拓巳
泣かないで美優…
拓巳
笑顔を見せて?
美優
…
美優
拓巳…帰ろう?
拓巳
…
拓巳
…できない
美優
…なんで?
拓巳
身体が無い…
美優
そんなの…
いらないよ…
いらないよ…
美優
私の側にいて?
美優
それだけで良いの!
拓巳
…
拓巳
…君が
拓巳
そう言うなら…
私は拓巳の手を引いて
来た道を戻った…
暗くて周りが見えない
ただひたすら
まっすぐ歩いた…
美優
拓巳…いる?
拓巳
…いるよ
指先の感覚が薄れていく…
拓巳が消えるのが怖い
美優
…拓巳?
美優
…いる?
美優
拓巳?
拓巳
あぁぉおこいぃうぅぅ
ごじすさざずせぜぇぇ
そぞちづてでにぬねぉね
ふぶへべぺほゃやゅゆょ
ねむるゐゑをぉぉぉおおぉ
ごじすさざずせぜぇぇ
そぞちづてでにぬねぉね
ふぶへべぺほゃやゅゆょ
ねむるゐゑをぉぉぉおおぉ
美優
っ!え!?
聞いた事も無い声と言葉…
私は咄嗟に振り返った
美優
ひっ!!
拓巳
拓巳
ぇ…ぁぃ
拓巳
ぅ…ぁぇ
拓巳
ぇ…ぇ…ぇぁ
人間の姿では無かった
暗闇の中で
『何か』が
蠢いていた
そして
私…は
霊能者
やはり…
帰って来ないか…
帰って来ないか…
霊能者
あれほど
霊能者
現世に連れて来ては
いけないと言ったのに…
いけないと言ったのに…
霊能者
霊能者
一度零れた水は
霊能者
戻らない…
霊能者
絶対にね







