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……朝だ。
寧々
何だか、身体が重い。
まるで、何か乗っているような────。
寧々
思わず、大きな声を出した。
私のドッペルゲンガーの足が、私の腹に乗っていた。
寧々
寧々
寧々のドッペルゲンガー
彼女は寝ている。
寧々
寧々がとびきりの大声を出すと、バッと布団をひっくり返して起き上がった。
寧々のドッペルゲンガー
寧々のドッペルゲンガー
寧々
寧々
寧々のドッペルゲンガー
そう言い、慌てて足をどかす。
寧々のドッペルゲンガー
寧々
あの夢は、彼女の過去だろうか。
それにしてはやけに生々しく、気分が悪い。
寧々
時計を見る。
もう、着替えなければ。
鮎
寧々
鮎
鮎
寧々
鮎
鮎
寧々
寧々
寧々
寧々
あれだけ芸術一筋の鮎が、
何の嫌味もない、言葉を発したのだ。
寧々
昨日の軍団に囲まれる。
後から知ったのだが、このグループはクラスでかなり目立っている軍団だったらしい。
寧々
寧々
寧々
寧々
対応に迷っていると、鮎が横から口を出した。
鮎
鮎
鮎
鮎
鮎
寧々
鮎
彼らは不機嫌な顔をして、いそいそと机に戻っていった。
寧々
寧々
寧々
寧々
鮎
鮎
鮎
寧々
鮎
口の端を吊り上げて、
彼女らしからぬ、満面の笑みで、寧々の瞳を捉え、
彼女は言った。
鮎
寧々
…背骨を直でなぞられたような感じだった。
全身の毛が逆立つ。
まるで、出会っては行けないものに、出会ってしまったような、不快感。
寧々の「頭」が言う。
「これは、おかしい」と。
寧々
寧々
寧々
鮎
鮎
寧々
寧々
寧々
寧々
キーンコーンカーンコーン……
予鈴が鳴った。
ハッとした顔で鮎が言う。
鮎
鮎
寧々
確かな違和感を抱きながら、寧々は移動を始めた。
会議室
国際言語科 発表会
変に静かな会議室で響くのは、
2年生の淡々とした台本を読む声だ。
1年がそれぞれ各国の言語を選び、
その歴史などを調べる学習で、
先輩からの発表を聞き、参考にするといった形らしいが、
期日前、完成と言っても過言では無い「遥斗」は、3限目という睡魔と戦っていた。
遥斗
遥斗
遥斗
遥斗
遥斗
その中、やけにハッキリとした口調の少年が台に立つ。
遥斗
バスケットボール部の先輩だった。
彼は左手でマイクを掴んでいる。
遥斗
そんなことを考えている遥斗だったが、ふと、何かに気づく。
遥斗
遥斗
在り来りなメモをする手が止まってしまい、
結局、そのままその先輩の発表のメモを十分にとることが出来なかった。
全員分の発表が終わって後、遥斗は先輩に話しかける。
「きっと、気の所為だ。」
そう思いたかったのだ。
遥斗
男子バスケットボール部員
男子バスケットボール部員
男子バスケットボール部員
遥斗
男子バスケットボール部員
遥斗
遥斗
遥斗
男子バスケットボール部員
遥斗
男子バスケットボール部員
遥斗
男子バスケットボール部員
遥斗
遥斗
遥斗
遥斗
遥斗
遥斗
男子バスケットボール部員
遥斗
遥斗
遥斗
遥斗
遥斗
遥斗
男子バスケットボール部員
遥斗は先輩から離れ、荷物をまとめる。
いつも話しかけてくる軍団が来たが、
あまり、内容が頭に入っていないようだった。
その顔には、確かに困惑の色がある。
理数科「1-B」
…陽の光が頭上から降ってくる昼頃。
眼鏡をかけた少年が、スマホを見ながら昼食を食べている。
優だ。
優
優
辺りは休み時間ということで、賑わっている。
その教室に、優は独りだ。
優
丁度チラチラ見ていた生徒と目が合う。
生徒は慌てたように、目を逸らした。
優
「どうせろくでもないことだ。」と思いながら、通知の溜まっていたアプリをタップした。
優
優は通知を溜めてしまう方だ。
その通知の中で断トツに多かったのが───。
異世界研究部1年(3)
優は、既読していないところを読む。
HALT
HALT
昼前に送られてきたものだ。
確か、遥斗は今日先輩の発表を聞くと言っていたような気がする。
HALT
…何を言い出したかと思えば、
怪我をしているだけじゃないのか。
そんなことを考えていると、寧々も会話に加わる。
ねね
ねね
やっぱり、僕と同じことを思っているみたいだ。
HALT
HALT
HALT
ねね
ねね
…寧々も?
時間的に、この後授業があったのだろう。
会話はここで切れている。
優は、興味本位で会話に参加してみる。
優
あ、この聞き方はちょっとあれかな。
少し考えて、送信取り消しをする。
優が送信を取り消しました 優が送信を取り消しました 優が送信を取り消しました
…駄目だ、どう聞こうか。
その時、遥斗がメッセージを送ってきた。
HALT
HALT
優
ねね
いつの間にか寧々も既読をつけている。
優
ねね
ねね
ねね
ねね
ねね
ねね
HALT
優
ねね
ねね
ねね
ねね
HALT
HALT
HALT
HALT
優
冗談だろって思ってたことは見逃してあげよう。
優
優
ねね
HALT
優
HALT
ねね
優
HALT
優
優
───そこまで打って、優はスマホを置く。
優
黒く暗転した画面に彼の顔が映った。
優
優
そう、彼は知らない内に笑っていたのだ。
そんな自分に嫌になった優だったが───。
優
優
…早く、次の授業の予習をしよう。
放課後
購買で各々が買ったものを頬張りながら、
寧々、優、遥斗は西日の差し込む廊下を歩いている。
遥斗
遥斗
寧々
優
寧々
寧々
遥斗
寧々
そんなことを話している内に、部室の前に着く。
寧々はドアをノックし、開けた。
異世界研究部 部室
優
奥でお菓子をつまんでいた珀が振り返る。
珀
珀
遥斗
珀
寧々
優
寧々
寧々
寧々
優
遥斗
珀
珀
そう聞くとポツポツと返事があった。
寧々
寧々
隣に居た海月に声をかける。
海月
海月
寧々
海月
不機嫌そうな低い声が、入口とはまた別の部屋から聞こえてきた。
寧々
寧々
寧々
寧々
寧々のドッペルゲンガー
寧々
庵
優
庵
ビシッと指を指した先には、
キョトン顔の珀が居る。
珀
庵
庵
珀
珀
そう言ってふと、私を見る。
珀
寧々
寧々
寧々
寧々から事情を聞いた後、珀は輝いた目で身を乗り出した。
珀
珀
寧々
寧々
優
遥斗
珀
珀
遥斗
遥斗
寧々
寧々
遥斗がそう問うと、珀は不意に真顔になり、
珀
キッパリと断言した。
遥斗
遥斗
遥斗
遥斗
寧々
遥斗
ガタッ
優
寧々
遥斗
優
寧々
遥斗
海月
海月
優
庵
庵
遥斗
多くの部員が眉間に皺を寄せている中、
一人だけ、より酷く動揺している者がいる。
寧々のドッペルゲンガー
寧々のドッペルゲンガー
その声で、皆は寧々に気づく。
寧々
少し、震えているようだ。
寧々
寧々
優
寧々
寧々
寧々
遥斗
寧々
寧々
目を泳がせながら彼女は言葉を紡ぐ。
寧々
寧々のドッペルゲンガー
庵
寧々
寧々のドッペルゲンガー
寧々
寧々
寧々のドッペルゲンガー
寧々のドッペルゲンガー
寧々
海月
庵
海月
庵
庵
そう言って珀の方を見る。
それまで様子を見ていた珀はニッと笑い、
珀
珀
珀
寧々
庵
珀
珀
遥斗
海月
そんなことを話しながら、彼らは鏡の部屋へ向かった。
寧々
隙間の方が少ないこの部屋に来ると、
目がチカチカしてしょうがない。
遥斗
遥斗
珀
遥斗
優
珀
珀
珀
寧々
珀
珀
そう珀が説明すると、各々が珀、庵と手を繋ぐ。
珀
寧々
寧々
寧々
寧々
寧々
寧々
しかし、そんなことを考えている暇も無かった。
「せーのっ」と特に緊張した様子もない珀の声がした瞬間。
寧々の視界は暗転していたのだった。
鮎は、無事だろうか。
ドッペルゲンガーは、大丈夫だろうか。
……不意に意識が明瞭になる。
恐る恐る、寧々は目を開けた。