転生したら猫でした

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3日目

そう言うとatは携帯を取り出して

何かを検索した

すると画面には色々な場所が出てきた

猫の手でもスクロールできる携帯

なんて感度がいいんだ

ふと検索名を見てみると

『カップルで行きたい場所』

いや、俺猫なんですけど？

ふと目に映ったのはジェットコースター

分かってくれたのかatは

ふふっと笑って頷き撫でてくれた

よく考えればこれはおかしな約束で

俺が人に戻って、その後もatと一緒に

いなきゃ成り立たない約束

なんでそんな事言ったんだろう

自分でもよくわからないけど

約束と言うものをしてみたかったし

行くならatと一緒がいいと思った

atの前なら 俺は素直に笑える気がするから

改めて見ると、 とある風景に目を奪われた

だからなんで分かるんだよ！

そう指さしたのはまぁまぁ大きいバイク

俺、飛んでくでしょコレ

開けたリュックに 顔だけぴょこっと出してみた

チャックをギリギリまで閉めて

いざ出発、した瞬間俺は後悔した

バイクの爆音と強い風に

俺の耳と首がもげそうになった

そう言ってatは堤防に座り

リュックから俺を出してくれた

目の前に広がった海はとても大きく

その波に簡単にのまれそうな気がした

ただ波音は穏やかで

尖ってたり俯いたりした感情が

浄化されていく、変な感じ

手を上げてジェスチャーで答えてみる

あんな母親を見てたせいか

女には全く興味本位がなかった

女どころか、恋愛もそう

くだらないし面倒としか思ってなかった

お前はどーなんだ、と

atの体をポンポン叩いてみる

彼女は？と聞きたくて

猫の手で♡のジェスチャーをしてみる

なんで好きな人が気になったのか

なんで名前を言われて嬉しかったのか

なんでその後の言葉にしゅんとしたのか

なんで…………なんでなんで？

わかるようで、わからない

これが、愛情？

涙が出る程嬉しかった

こんな俺を、人として見てくれた

でも同時に怖かった

もし人に戻って俺の過去を知ったら

atは いなくなってしまうんじゃないかって

軽蔑されたりするんじゃないかな

なら猫のままがいいな、なんて

ずっと隣にいれるなら…………

今度は顔までしっかりリュックに入り

帰宅中、ずっと考えていた

もしかしたら、俺はatが好きなのかも

4日目

くしゃみで目が覚めると

atはごめんと頭を撫でたけど

その顔は少し赤かった

起きないようにatの体を叩き

俺はダッシュでリビングへ

体温計はどこだ？

やたらめったら探しても無意味だから

ちょうどそこにいたピンクに聞いてみる

片手を脇に挟むジェスチャー付き

これなら分かるだろうと思ったら

何だこのポンコツ野郎、使えねぇな！

すると緑がやってきて一言

コイツは使えると緑の服を引っ張り

atの部屋につれてった

すると2人は学校に行ってしまった

もしや昨日海に行ったせいか？

だとしたら俺が悪い…………

恩返しの意味も込めて

俺が看病頑張らなきゃ！

まずは飯と薬か……

キッチンを漁るとお粥のパウチがあった

でも開けられない……不便だな

紙皿とそれを咥え、atの元へ

寝ていたのでサイドテーブルに置いて

おっと、スプーン忘れた！

次は薬を探して、片っ端から

棚や引き出しを漁ってみる

薬らしきものはあったけど

どれがいいのかわかんないから

テキトーに幾つか持っていく

あとはー……水か！

机の上に真新しいペットボトル発見

これを持って……って重いっ！！

なら転がしていくまでだ！！

部屋まで持ってきたはいいが

テーブルに上げられないので

床に立てておくことにした

頭を撫でて、ほっぺをスリスリ

気持ちよくなって俺まで寝てしまった

ふと気がつくと、時計は昼を過ぎてた

ヤバい、寝すぎた……

まぁそのおかげか体がだいぶ楽になった

一応熱を測ろうかと

サイドテーブルに目をやると

薬やお粥が沢山乗っていた

枕を見れば、俺が寝てたであろう場所の 隣にくるまって眠るmzの姿

こんな小さい体で一生懸命

こんなに準備してくれたんだなぁ

その精一杯の気持ちが嬉しくて

俺はmzのほっぺにそっとキスをした