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2件
チアフル
チアフル
屈託のない笑顔で、やけにのんびりした声で、挨拶をする。
イヴィ
イヴィ
デフ二ダ
チアフル
イヴィ
イヴィ
クランツ
クランツ
チアフル
チアフル
そう言うと、身につけているポーチから小さいカードを取りだした。
知識のない者には、ただの板きれに見えるだろう。
デフ二ダ
デフ二ダ
デフ二ダ
クランツ
クランツ
クランツ
イヴィ
デフ二ダ
イヴィ
イヴィ
歯切れの悪い返事だったので、嫌な予感はしていた。
俺はまだあまり、社会に出たことがない。
だが、クランツの様なくたびれたオッサン共は、口を揃えてこう言う。
「分からない」が一番困る…と。
デフ二ダ
デフ二ダ
デフ二ダ
イヴィ
デフ二ダ
デフ二ダ
デフ二ダ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
クランツ
イヴィ
クランツ
イヴィ
デフ二ダ
イヴィ
デフ二ダ
デフ二ダ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
クランツ
チアフル
チアフル
デフ二ダ
イヴィ
地下シェルター
寒々しい石壁が、悲惨な現状を物語る。
貴族階級の一つである一般騎士らが、その場に不釣り合いなワインを片手に息を潜めていた。
この城の内部には、幾つものシェルターが設置されている。
何れも外へ繋がる通路があるようだ。
……シュバルツという国王は傲慢である。
本人も、いつかはこの惨状が起こると分かっていたのか、
自身が隠れるシェルターの情報は、ごく一部しか知らない。
それほど、人を信用していないということだ。
チアフル
チアフル
クランツ
クランツ
イヴィ
イヴィ
デフ二ダ
イヴィ
彼は、メモ帳のような小さな紙切れに目を通していた。
最小限の灯りしかないため、覗き見ることは困難だろう。
クランツ
イヴィ
そのまま、クランツは門番の前へ歩いていく。
その体格の差は見るからに大きい
イヴィ
門番
門番
門番
クランツ
クランツ
門番
門番
門番
クランツ
クランツ
イヴィ
クランツはくるりとこちらを向いた。
あまりにも、呆気なく、
デフ二ダ
ガチャ
その後頭部に、
イヴィ
チアフル
いや、「俺たち」の後頭部に
冷たい銃口を、突きつけられながら。
イヴィ
イヴィ
騎士
ダンッ
イヴィ
イヴィ
イヴィ
門番
門番
門番
門番
イヴィ
クランツ
門番
門番
門番
門番はクランツの胸ぐらを掴み、目を合わせた。
すると────
門番
突如、門番の目から生気が失せる。
クランツ
力無く、胸ぐらなら手を離してしまった。
騎士
イヴィ
ドッッ
騎士
イヴィとチアフルは武器を弾き、それぞれについていた騎士を気絶させる。
チアフル
デフ二ダ
デフ二ダ
イヴィ
チアフル
クランツ
先程までの威勢が嘘のように、簡単に鍵を手放した。
その鍵がしっかりと機能することを確認してから、
クランツ
クランツ
クランツ
門番を場外へ移動させた。
クランツ
イヴィ
イヴィ
デフ二ダ
デフ二ダ
デフ二ダ
クランツ
クランツ
デフ二ダ
「洗脳」
その名の通り、対象を一時的に操る魔術。
発動条件は様々。 今回は目を合わせることだった。
戦う者は、よく目を見る。
相手の動きを見定めるためだ。
この門番は、それを利用した。
戦える者ほど、術にハマりやすくなるというわけだ。
だが、それを反射してしまえばこちらのもの。
つまり、「初見殺し」を制したクランツが勝利したのだ。
イヴィ
しばらく暗い通路を歩いていると、
その視界が急に開けた。
兵士
刺客に気づいた護衛の兵士が、鋭い矛先を彼らへ向ける。
だが、一撃は一声によって静止された。
イヴィ
イヴィ
イヴィ
シュバルツ
イヴィ
シュバルツ
クランツ
クランツ
イヴィ
クランツ
ここでようやく、全員がシュバルツへ跪いたようだ。
シュバルツ
シュバルツ
デフ二ダ
シュバルツ
シュバルツ
シュバルツ
クランツ
クランツ
シュバルツ
シュバルツ
隙あらば、高圧的な態度で見下ろしている。
話を聞いてもらえるだけで、ありがたい話なのだろう。
クランツ
クランツ
シュバルツ
クランツ
シュバルツ
デフ二ダ
シュバルツ
シュバルツ
シュバルツ
デフ二ダ
シュバルツ
シュバルツ
彼が指をさした先にいるのは、
兵士
イヴィ
血溜まりの中で、何事も無かったかのように立っている
デフ二ダ
シュバルツ
シュバルツ
チアフル
チアフル
チアフルの姿だった。
ドロシー
炎が建物を燃やし尽くした跡地で、
2つの影が目まぐるしく動いていた。
彼らは、鋭利な何かに何度も切断されている。
最初は「1度死を経験した」顔をしていたが、
今はそんなことよりも、疲労が顔に強く出ていた。
ドロシー
ディアベル
カリゴ
ディアベル
カリゴ
カリゴ
カリゴは思い通りにいかないのが不満なのか、
じっと彼らを睨みつけている。
ドロシー
ドロシー
ディアベル
ドロシー
ドロシー
カリゴ
カリゴ
カリゴ
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ディアベル
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ディアベル
カリゴ
カリゴ
パチンッ
ディアベルには、2つの音が聞こえた
1つは、指鳴らしの軽やかな音。
ドロシー
ドロシー
彼の怒号とは真反対の、静かな音。
そして、2つ目は───
ディアベル
散った鮮血が、 地面に落ちる音。
苦痛で漏れる声は、喉まで上がった血に汚される。
今まで蓄積してきた「傷」が皮膚を破り、
生命を、脅かしていた。
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
心底、この状況が愉快で堪らないようだ。
隙だらけだが、彼らの出血量ではその行動を目で追うだけで精一杯だ。
カリゴ
カリゴ
カリゴ
ドロシー
地面に膝をつき、肩で息をするドロシーを見下す。
カリゴ
カリゴ
カリゴ
ドロシー
ドロシー
ドロシー
カリゴ
カリゴ
あっけらかんと、裏のない笑顔でそう答える。
ドロシー
壊れた人形とは、まさにこのことだろう。
この男には、
倫理や道徳など、存在しない───!!
ディアベル
カリゴ
カリゴ
ドロシー
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
ドロシー
ディアベル
ディアベル
ドロシー
ドロシー
ドロシー
ドロシー
ドロシー
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ドロシー
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ドロシー
ドロシー
ドロシー
ディアベル
ディアベル
ドロシー
ドロシー
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ドロシー
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ドロシー
──僕は普通だ。
至って普通だ。
別に、魔術で虐げられたこともないし、
周りの大人も、するべきことはした。
特段不幸でもないけれど、
幸福でもなかった。
普通の学力。
普通の運動能力。
普通の社会規範、マナー。
言わば常識人だと思う。
魔術結社には、非常識な生物が沢山いる。
「非」
そう、「非」だ。
普段触れることのない、寄り道的なもの。
その感触が、 心地よかったのかもしれない。
ディアベル
ディアベル
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
ズキッ……
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
彼はパッと顔を輝かせ、振り返る。
ドロシー
ドロシー
あぁ、僕は
遊んでいたんだった。
やっぱり、「普通だ」と思った。
ドロシー
ドロシー
カリゴ
ドロシー
ドロシー
カリゴ
ドロシーの周囲に、血鎌が浮遊する。
燃え盛る炎の熱を遮断するように、
カリゴの姿も、霧に紛れた。
カリゴ
ドロシー
ドロシー
カリゴ
ドロシー
ドロシーの周囲にある血鎌が輪を作り、回転する。
草どころか幹すらも輪切りしてしまいそうな威力だ。
ドロシー
ドロシー
ドロシー
カリゴ
カリゴ
カリゴ
ドロシー
ドロシー
空気すら抉るような逆回転。
大剣を持ったまま、間一髪で回避する。
ドロシー
ドロシー
ドロシー
ドロシー
彼女の身体よりも刀身が長い大剣。
それを我が身のように操り、瞬く間に借り毎の距離を詰める。
カリゴ
カリゴもまた、瞬時に防御の魔術を展開する。
カリゴ
ドロシー
ドロシー
カリゴ
カリゴ
ドロシー
カリゴの姿が霧となり消え、
周りから血鎌が襲いかかる。
ドロシー
アイツは自身の血を浮遊させ、 鎌にしている。
水分とかで薄まったら、少しは威力落ちるのか…??
じゃあ霧の中で、 血鎌が存在できるのって……。
ドロシー
ザシュッ
カリゴ
ドロシー
ドロシー
ドロシー
ドロシー
カリゴ
カリゴ
ドロシー
あぁ、この呼吸はだめだ。
肺に、ちゃんと酸素が入っていない。
ドロシー
さっき、伝書鳩から連絡があった。
ディルは、幹部を一人倒したらしい。
「私」は知っている。
アイツは、強い。
どれだけ弱音を吐いても、
決意だけは、揺らぐことはなかった。
私は、どうだろう。
大口叩いても、
このザマだ。
気持ちと、少し力が強いだけの、凡人。
ディル
ドロシー
ディル
ディル
ディル
ディル
私が、小等部で虐めを受けた時。
相手は、お前よりも強そうなのに、
私よりも、傷ついた顔をして。
必死に、馬鹿みたいに、 情けなく叫んでくれた。
お前は強いよ。
人の為に、そこまで動けるんだよ。
ドロシー
ディル
ディル
ディル
ディル
ディル
ディル
ドロシー
そういえば、口癖だったな。
結局、それが理由で二番隊に入った。
「ヒーロー」か。
ああ、
眩しいな……。
ドロシー
カリゴ
ドロシー
カリゴ
カリゴ
カリゴ
ドロシー
カリゴ
ドロシー
ドロシー
カリゴ
カリゴ
分かったことがある。
霧自体が、コイツの血でできてるんだ。
多分、ディアベルの狼化が起こらないくらいの、ほんの少しの量。
そこから血鎌を生み出し、攻撃してる。
霧は……言わば水だ。
血鎌の威力が落ちなかったのも、 そのお陰。
ならば、どこに連れていくか?
ディアベル
ドロシー
ディアベル
水だ!!
ドロシー
ドロシーは斬撃を避けながら、必死に頭を動かした。
ドロシー
ドロシー
ドロシー
ドロシー
ドロシー
カリゴ
カリゴ
ドロシー
カリゴ
カリゴ
ドロシー
カリゴ
カリゴ
カリゴ
ドロシー
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
ドロシー
ドロシー
誘導しながら、器用に返事を返す。
ドロシー
ドロシー
ドロシー
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
確かオーダーの所には、
団長と、リエルがいたはずだ。
ドロシー
ドロシー
カリゴ
カリゴ
ドロシー
カリゴ
ドロシー
カリゴ
パッと、鮮血が散る。
血溜まりは2つ。
1つは、カリゴ。
もう1つには、誰もいない。
血の持ち主は、今まさに、
カリゴの胴を泣き別れにしていた。
カリゴ
ドロシー
ディアベル
ドロシー
カリゴ
カリゴ
見る見るうちに、カリゴの胴が繋がっていく。
ドロシー
ディアベル
ディアベル
カリゴ
カリゴ
気の昂りか、声が震え上擦っている。
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
泣いているのか、怒っているのか、兎に角感情が入混ざった顔で、
自身が散らした血から巨大な鎌を生み出した。
「ブレゼド・トート」
ディアベル
ドロシー
ディアベル
特段緊張していない返事を合図に、
彼らを激しい攻撃が襲う。
ドロシー
ドロシー
ダンッ
ドロシー
ガキィ゛ン
ディアベル
刃に負けないくらいの太い柄で、ディアベルは攻撃を受け止める。
カリゴ
カリゴ
ディアベル
目にも止まらぬ速さで、彼らの斬撃がぶつかる。
ディアベルは、リエルのように身軽ではない。
性格も、体格も、他の兵士・騎士から見たら珍しいものだろう。
だが、連続的に繰り出される暴力的な攻撃の中には、
一種「丁寧」ととれるものを感じるのだ。
そこには、確かに器用さが作用しているのだろう。
ディアベル
ディアベル
カリゴ
ザシュッ
カリゴ
ドロシー
ドロシー
カリゴ
カリゴ
カリゴは膝をざっくりと斬られ、力も入らずに、その場にへたりこんだ。
ディアベル
再生しても、また同じことの繰り返しだろう。
ドロシー
カリゴ
カリゴ
ディアベル
カリゴ
ドロシー
カリゴ
カリゴ
カリゴ
ディアベル
ディアベル
カリゴ
カリゴ
「冷たい」
そう最初に感じた。
全身に、力が入らなくなった。
出そうとしていた言葉は、水圧に押し戻される。
ここは、「湖」の中だ、と次に気づく。
揺れる視界の先には、勝ち誇った顔をしたカリゴがいた。
……
「想定内」だ。
カリゴ
だが緩んだ顔に、青筋が走る。
かと思えば、カリゴは何発もの血鎌を湖へ投げ出していた。
当然、水の中では血は溶けてしまう。
「彼」はそれを、待っていた。
ドロシー
何かを察したのか、ドロシーの顔は慌てた表情になった。
ドロシー
振動で、くぐもった声が彼の耳に届く。
ディアベル
ドロシー
そのような彼女に、ディアベルは顔を向ける。
何かを企む、いつもの顔を。
ディアベル
ファーブラ
ファーブラ
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ファーブラ
ファーブラ
ディアベル
ディアベル
ファーブラ
ディアベル
ファーブラ
ファーブラ
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ファーブラ
ファーブラ
ファーブラ
ディアベル
ディアベル
ファーブラ
ディアベル
ファーブラ
ファーブラ
ファーブラ
ファーブラ
ディアベル
ディアベル
ファーブラ
ファーブラ
ファーブラ
ファーブラ
ファーブラ
ファーブラ
ディアベル
ディアベル
ディアベル
「騎士学校:事件記録」
「呪い薬」を免許無しで制作、 売買した生徒合計12名に退学処分。
生徒らと繋がっていた秘密組織を検挙。
組織は高等部の生徒一人と衝突し、 壊滅的な被害を負う。
その場には子どもが捕らわれていたが、
その子どももまた、 大きな被害を受けることになる。
被害を受けた者の傷には共通して、
「鋭い爪」や
「牙のような噛み跡」
…のような痕があったそうだ。
ファーブラ
ファーブラ
ファーブラ
ディアベル
ディアベル
ファーブラ
ファーブラ
ファーブラ
ファーブラ
多分、この力は凶器だ。
俺ァ、これを正当化したくはない。
だが───
ディアベル
できるだけ、濃度の高い血を、
有り触れた水と共に、飲み込んだ。
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
頭が、思考が、追いついていない。
瞬く間に、何ヶ所も傷つけられた。
風の音だって聞こえなかった。
湖の深くまで沈ませた。
のに。
だのに……!!!
ドロシー
ドロシー
ドロシー
ドロシー
ドロシー
カリゴ
ドロシー
カリゴ
耳から水が抜けなくて、
音がぼけた状態でも、 アイツの悲痛な叫びはよく聞こえた。
でも、よく分かる。
ディアベル
それは、正しく獣と呼ぶのに相応しい。
ドロシー
住民を避難させていた時、イヴィ達の任務報告を聞いた。
「レーツェル」
魔術結社の幹部、 固有魔術の「ワープ」は、 概念にも通用する。
ディアベルは、体内に血を転移させられ、
一時的に狼化、暴走した。
リエルの魔術で事なきを得たが、
人伝に聞いても、アイツの姿は目に浮かぶほど印象的だった。
頭髪と同じ、金色の毛。
性格とは真反対の、澄んだ空色の瞳が、
アタシを、捉える。
ドロシー
……が、
攻撃は、来ない。
首も、腰も、まだついている。
ドロシー
彼女は驚いていた。
彼が、再びカリゴに標準を定める前、
いつものクソ生意気な顔で笑ったから。
カリゴ
カリゴ
「ブレゼド・トート」
カリゴ
半狂乱になりながら、大きな血鎌を振り回す。
瓦礫はさらに細かく寸断され、
木の幹も簡単に輪切りになった。
ドロシーは巻き込まれぬよう、避けることだけに専念していた。
ドロシー
ディアベルは猛攻を捌くなかでも、 ドロシーとアイコンタクトを取れるようだ。
ドロシー
ドロシー
カリゴ
ガキ゛ィン
ドロシー
ドロシー
カリゴ
ドロシーも負けじと、自慢の大剣でカリゴを薙ぎ払った。
ドロシー
ドロシー
「自分だけで戦う」ってのが、 役に立つことじゃねえ。
私達で、勝ってみせる。
カリゴ
それは、苛立ち。
大抵の者が匙を投げそうな場面でも、
彼らはしつこく、希望を見出し這い上がってくる。
カリゴは、まさか自分が劣勢に立つとは思いもしなかっただろう。
その焦りが、
戦場では、命取りだ。
ディアベル
ザシュッ
カリゴ
ドロシー
腹が減って仕方がねェ。
疲労で重たかった身体が嘘みたいに、
羽のように、身軽に動ける。
少しでも油断したら、呑まれる。
改めて、恐怖を覚えた。
俺ァ、この力を信じていない。
この爪のせいで、信頼すらも断ち切ってしまったんだ。
ファーブラ
ファーブラ
ファーブラ
ファーブラ
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ファーブラ
ディアベル
カリゴ
カリゴ
カリゴ
抜けない────?
ディアベル
ディアベル
彼の、腹部を貫いた血鎌。
その柄を、ディアベルは力強く掴む。
ディアベル
ディアベル
ドロシー
ドロシー
ドロシーは、ディアベルの使っていた巨大な斧を、
全力で、投げ飛ばす。
ガシッ
俺ァ、この力を信じていない。
だが、
ディアベル
カリゴ
俺自身を諦めずにいられたのは、
あんたのお陰だ、
……ファーブラさん。
片手で振った刃が、綺麗な弧を描く。
血鎌を持っていた手が、ゆっくりと重力に従っていく。
カリゴ
血が足りないのだろう。
ディアベルの身体に刺さっていた血鎌は溶け、
腕が落ち、「ゴトン」と音がした。
支えを失った上半身も、同様に地面に落ちた。
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ドロシー
ドロシー
肩で息をしながら、ディアベルは通信機を取り出す。
ディアベル
ディアベル
一通り報告を終えた後、力が抜けたように、その場に倒れ込む。
ドロシー
カリゴ
ドロシー
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
ディアベル
ディアベル
カリゴ
ドロシー
ディアベル
ディアベル
カリゴ
カリゴ
ドロシー
ドロシー
ドロシー
カリゴ
カリゴ
カリゴ
ドロシー
ドロシー
カリゴ
カリゴ
「何をご冗談を」
カリゴはそのような雰囲気で、鼻で笑った。
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
ディアベル
「あぁ」と思う。
欲望は、ここまで人を狂わせるのだと。
カリゴ
カリゴ
ジャラ……と手錠の鎖がズレる音がする。
ドロシー
ドロシー
ディアベル
斧を支えに、よろめきながらも立ち上がる。
ドロシー
カリゴ
カリゴ
カリゴ
ディアベル
ドロシー
ドロシー
ディアベル
何かを思い出したのか、彼女の目がカッと開かれる。
そのまま迫真の顔で、ディアベルとの距離をつめた。
ディアベル
ドロシー
ディアベル
ドロシー
ドロシー
ディアベル
ディアベル
ディアベル
ドロシー
ディアベル
ドロシー
ディアベル
ディアベル
ドロシー
ディアベル
ドロシー
ディアベル
ドロシー
ドロシー
ディアベル
そうして、城を見据えたのだった。
『おとぎ小話』
留置所にて
エクレール
カリゴ
カリゴ
エクレール
エクレール
エクレール
カリゴ
カリゴ
カリゴ
カリゴ
エクレール
エクレール