月が綺麗ですね
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俺が上京してからはや4年
大学の友達とも、もう連絡はとっていない
現在19時55分
あと5分だ
今日は何をつぶやこう.....
そんな事ばかり考えていても
誰にも文句を言われずに、許されるこの夜が好きだ
早く『特等席』に行かなくては
始まってしまう
屋上へ続く外階段を登る
怖がっていた頃が懐かしい
あの時は、先生の服を必死に掴んでたっけ
..............
ふと、先生のことを思い出す
身内の都合で、中学2年生から卒業するまで、東京に来ていた
先生は、国語を教えてくれた
ある日のことだった
その日は、夏目漱石の『こころ』を読んでいた
漱石の話になると、先生は
I love you
の
漱石の、『アイラブユー』以外の訳し方を聞いてきた
先生いわく、とても独特な表現らしい
俺は、一日中考えたが、わからなかった
早く答えが聞きたかった
でも
その日の夜、急に違う区に引っ越すことになった
結局答えが分からないまま、時間だけが過ぎた
2週間くらいたった頃、用事があったので、渋谷に行った
そこで偶然、先生と会った
夜だった
俺は、先生のことを気に入っていた
だから、その時は時間なんか忘れて、色々なことを話した
突然、先生がこんな事を聞いてきた
『この街の夜に、1番美しいものって見たことある?』
俺は首を横に振った
『じゃあ、おいで』
『見せてあげる』
俺は先生についていった
少し歩いた頃、とある建物に入った
その建物の屋上へ向かっている途中、ゾッとする道があった
でも、先生はお構い無しに、慣れた身振りで登っていく
俺は、怖かったから先生の服を掴んで進んだ
『...着いたよ』
そこから見る街は、いつもの渋谷と変わらなかった
『...時間だな』
そういうと先生は、何かのスイッチをおした
その途端、俺の視界に信じられないほど美しいものが広がった
『......綺麗でしょ?』
先生は、"それ"について説明してくれた
しばらく眺めていると、電話がかかってきた
そろそろ先生ともお別れみたいだ
俺は電話を切った後、先生に別れの言葉を告げ、そこから去った
それっきり、先生とは会えてない
それどころか、連絡もとっていない
それから、高校と大学は地元にいた
俺の夢のために、大学を卒業してからまた来たけど(笑)
.......ついた
相変わらずここは暗い
今は............
19時58分
見渡しても、先生らしき人はいない
.....今日もダメ、か
その代わりに他の人がいる
いつもと同じ人だ
俺はいつもの席に座り、オーパスをひらいた
つぶやく準備だ
今日は、夜布にどんなつぶやきが流れるだろう
...........パンッ
始まった
俺はあえて、最初の方には発言しない
いつもは最初の方に発言してた
でも、今日は見つけてもらう必要がある
.....だいぶ落ち着いてきた
そろそろ、か
俺は文字を打った
そして、ちょうどいいタイミングを探していた
...流れが止まった
その瞬間に、俺は投稿した
先生に向けて、また、"あの人"に向けて。
《月が 綺麗ですね》
...届いているといいな
そう思いながら見ていると、
信じられない事が起こった
《そうですね。》
俺は、慌ててその発言元を確かめた
...........
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何度も何度も確認した
rbr
よかった......
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そんな事、ある訳ないけど
もう1度、つぶやいてみた
《月が 綺麗ですね》
......まさかね
諦めかけていた
でも、そのまさかだった
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《....そうやな》
発言元は........
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rbr
.............
会いに行こう、
メッセージを送って、会おう
先生にも、
.........ゾムにも
zm
zm
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先生
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rbr
zm
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会えてよかった
end
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