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神様なんて絶対にいない

1人、暗い部屋で、相田 誠一は、そんなことを思っていた

相田 誠一

絶対に間に合わない・・

相田 誠一

なんて怒られるだろうなぁ・・

弱音を吐きながら、部屋で一つ光るモニターに向かい、キーボードを絶え間なく打ち込む

泣きたくなる

悪いことは、よく連鎖する

神様なんていないが、悪魔はいるようだと、そんな気持ちになる。

相田 誠一

そんな理不尽なことあって良いのか

時計の針は深夜の2時を指している

そういう時に、また嫌なことを思い出したりするものだ

相田 誠一

え?今・・なんて?

夢乃 美月

いや、だから・・別れませんか?

相田 誠一

・・へ?

相田 誠一

え?わかんない、なんで?

夢乃 美月

だってなんか

夢乃 美月

楽しくないんです

夢乃 美月

早いところ言っておかないと、引きずりそうな気がして・・

相田 誠一

・・・

相田 誠一

もっと具体的に教えてくれないと納得いかないよ

相田 誠一

何か、嫌いなところが?

夢乃 美月

嫌いなところは・・別にないんですけど

相田 誠一

じゃあ

夢乃 美月

なんというか、相田さんは優しいんですよ

夢乃 美月

そこに私も巻き込まれてしまうというか・・

相田 誠一

巻き込まれる

相田 誠一

それは、どういうこと?

夢乃 美月

うまくは言えないんです

相田 誠一

・・・

夢乃 美月

ごめんなさい

上司

おい、相田

相田 誠一

はい

上司

ここ、発注数1桁間違えてんぞ

相田 誠一

・・!

相田 誠一

すいません!今直します

上司

もう直したよ

上司

しょうもないミスするなよ

上司

最近、お前、なんか変だぞ

相田 誠一

・・すいません

相田 誠一

少し、嫌なことがありまして・・

上司

・・・

上司

何があったか知らないけど、仕事はしっかりと頼むぞ

上司

明日の書類もミスのないようにな

相田 誠一

明日の書類?

上司

上司

明後日の取引先との会議に出す書類だ

上司

お前まさか・・

相田 誠一

あぁ!ぁぁ!

相田 誠一

あ、明日のやつですね、大丈夫です!

相田 誠一

一昨日、終わらしたもんですから!

相田 誠一

そんな急に話されるとあせるじゃないですか・・!

上司

・・そうか

上司

終わってるんならいいんだ

相田 誠一

は・・はい!

上司

しょうもない誤字とかないように、もう一度チェックしとけ

相田 誠一

は、はい!任せてください・・!

相田 誠一

ーーーーー!!

相田 誠一

危ない・・ここで眠るのはまずい

相田 誠一

これ以上、迷惑はかけられない

相田 誠一

・・・

相田 誠一

ははは・・

相田 誠一

半分も終わってねえよ・・

神様なんていない

いるのは悪魔だけ

悪いことが起きると、それがずっと続いていくような気持ちになる。

急に別れを切り出されることも。

上司が様子のおかしな部下に寄り添ってくれないことも

全て自分が悪いのだろうか。

いままでのことを思い返す

もっと前から失敗してたのかも知れない

生まれ育った時から

誰かを恨むとすれば・・

??

なにやっている?

??

誠一

相田 誠一

だれ?

相田 誠一

母さん?

そうよ、誠一

相田 誠一

・・・

相田 誠一

なにやってるのって・・

相田 誠一

仕事だよ・・

あらそう

相田 誠一

邪魔だから、どっかに行っててくれ

ふーん

相田 誠一

ふーんって・・

相田 誠一

話聞いてる?

へー

相田 誠一

なんのつもり?

相田 誠一

聞いてるのかって・・!

・・・

・・・

相田 誠一

なんだよ・・

相田 誠一

そうやって、母さんが人の話を聞かないから俺は!

私のせい?

相田 誠一

え?

夢乃 美月

彼女のせいでも

上司

上司のせいでもなく

私のせいなの?

私があなたのために尽くしていれば全て救われたの?

相田 誠一

そんなこと・・

じゃあいいわよ

相田 誠一

え?

全てはあなたの思うままに過ごしてみなさい

相田 誠一

なにを言って・・

相田 誠一

ーーーーー!!

相田 誠一

って・・

相田 誠一

結局、寝てんじゃねぇか・・

相田 誠一

作業が終わってたり...

相田 誠一

するわけないよなぁ

相田 誠一

もうこんな時間か

相田 誠一

はぁはぁ

上司

もう来ないかと思ったぞ

相田 誠一

すいません・・

上司

書類は?

相田 誠一

あ・・はい・・

相田 誠一

これです

上司

ふむ

相田 誠一

その書類なんですけど、実は・・

相田 誠一

途中でデータが消えてしまったりとかで

相田 誠一

その・・

上司

さっきからなにブツブツ言ってるんだ?

相田 誠一

へ?

上司

すごいじゃないか

上司

よく出来た書類だ、誤字もない

上司

これで明日の会議に提出しよう

相田 誠一

え?何言ってるんですか!

相田 誠一

見せてください!

上司

さっきから何言ってるんだ

相田 誠一

・・これは!

相田 誠一

こんなの・・書いてない・・

上司

どうした?

相田 誠一

え?

相田 誠一

いや・・

相田 誠一

どういうことだろう・・

相田 誠一

昨日の夢と言い、なにかがおかしい・・

相田 誠一

あぁ、でも

相田 誠一

良かった・・

相田 誠一

・・・

相田 誠一

・・安心したら眠たくなってきた

??

ご機嫌よう

相田 誠一

・・!

相田 誠一

また・・

相田 誠一

お前は

相田 誠一

母さんじゃないな?

??

君がそう言うなら違うな

相田 誠一

今日の会社でのことも、お前の仕業か

??

私はなにもやっていない

??

全ては君が望んだのさ

相田 誠一

なにを言って・・

??

全ては君が望んだ通りになる

相田 誠一

・・!

??

なんだその顔は、喜べ、これから君の望みは全て叶うのだぞ

相田 誠一

何が目的で・・

??

疑い深いなぁ

??

君は、なにやら幸せを怖がっているようだね

相田 誠一

・・・

??

大丈夫、願いを叶えた代償も何もないさ

??

僕は悪魔じゃない

??

ただ、君が神様はいないなんて、恨み言吐くものだから、少し気まぐれで出てきてやったのさ

相田 誠一

お前は・・神なのか?

??

君がそう望むならそうだ

相田 誠一

さっきからなんなんだよそれ・・

??

君が次に望むことはなんだ?

相田 誠一

・・・

??

なんで黙るんだい、本当に素直じゃないな

??

人間はただで幸せになってはいけない、なんて馬鹿げたことを本気で思っているらしい。

相田 誠一

・・・

??

ふむふむ・・

相田 誠一

何をしてるんだ

??

ふーん、なるほど、意外だね

相田 誠一

え?

??

君の望みはわかったよ、明日朝起きて確認してみな。

??

全ては君の、思いのままに、だ

相田 誠一

おい!待て!

相田 誠一

ー!

相田 誠一

なんなんだよ・・

相田 誠一

・・・

相田 誠一

俺の望み・・

相田 誠一

母さん・・

もしもし

相田 誠一

父さん・・

お前がいきなり電話なんて珍しいな

これも何かの巡り合わせだかな

相田 誠一

・・なんの話?

誠一、母さんが今朝突然、目を覚ましたんだ

相田 誠一

まさか・・

相田 誠一

そんなわけ・・

本当だよ

医者も信じられないと言っててな

本当に・・どうなること・・かと

相田 誠一

・・そうかよ

お前にも心配をさせたな

俺が不甲斐ないせいで、母さんに無理をさせたんだ

相田 誠一

・・・

相田 誠一

母さんが、仕事ばっかなのは昔からだろ

相田 誠一

ろくに人の話も聞かないんだ

そうだな・・

母さんもな、目が覚めたって言ってたよ

お前とももっと色んな話をしとけば良かったとな・・

相田 誠一

・・・そうかよ

誠一、また電話しても良いか?

相田 誠一

・・

相田 誠一

別にどっちでも

そうか

相田 誠一

じゃあ、切るから

あぁ

相田 誠一

・・・

相田 誠一

望みが叶う・・

その後、誠一はその不思議な現象を徐々に受け入れた

小さないものから、大きなものまで

誠一の目の前で全ての望みが叶っていく

??

もう、随分と、使いこなしてるようだな

相田 誠一

あぁ

??

ほう・・

??

見違えるようだな

??

ずいぶんと素直だ

相田 誠一

・・こんな気持ちになったのは初めてだ

相田 誠一

世の中は全てうまくいかなくて

相田 誠一

それどころか自分が困るように動いてるのかとすら、思ってたけど

相田 誠一

こんなこともあるんだな

??

嬉しそうだな

相田 誠一

お前は名前、なんていうの?

??

私に名前なんかない

相田 誠一

それは味気ないな

相田 誠一

・・・

相田 誠一

ドリーとかは?

??

なんだそれは

相田 誠一

いや、ドリームからとって、ドリーなんだけど・・俺よくこんな夢を見たんだ

相田 誠一

話を聞いてほしいとか、遊んでほしいとか、おもちゃでもなんでも、強く望んでは夢の中で手に入れて

相田 誠一

起きたらガッカリしてた

相田 誠一

でも、今はそれが現実になったんだ

相田 誠一

夢見てるみたいだ

??

ふん、名前なんてどうでもいい

相田 誠一

なぁ、ドリー

相田 誠一

この夢はもうちょっとで終わるのか?

??

この夢っていうのはなんだよ

相田 誠一

この不思議な力のことだ

??

何を言ってるんだ

相田 誠一

え?

??

その能力はずっと終わらない

??

お前は、そういう人間になったってことだ

相田 誠一

そういう人間・・

相田 誠一

終わらない・・

??

どうした

相田 誠一

いや・・

相田 誠一

なんだろうな・・

??

何か引っかかるようだが

??

まぁ、もし、終わらしたいのなら

??

方法はひとつだな

相田 誠一

ひとつ?

相田 誠一

なんだよそれ

??

そろそろ時間だ

??

今日はどんな望みが叶うんだろうな

相田 誠一

おい!

相田 誠一

ちょっと待て!

夢乃 美月

あ、相田さん

夢乃 美月

こっちです

相田 誠一

あ、ごめんね、遅れて

夢乃 美月

いや、こちらこそ、すいません、急に呼び出して

相田 誠一

今日は奢るよ

夢乃 美月

え、そんな悪いです

相田 誠一

いいんだ、なんか宝くじ当たってさ

夢乃 美月

え!すごいですね

相田 誠一

うん・・

相田 誠一

最近、運がいいみたいだ・・

夢乃 美月

たしかに、なんか、変わりましたね

相田 誠一

それは・・

相田 誠一

いい意味で・・?

夢乃 美月

いい意味です

相田 誠一

そっか・・ありがとう・・

夢乃 美月

あの、早速、呼び出した理由から言うんですけど・・

夢乃 美月

やっぱり、相田さんと別れたくないと思いまして・・

相田 誠一

・・

夢乃 美月

こんなこと言っても、都合が良いですよね・・

夢乃 美月

もし嫌なら

相田 誠一

・・・

相田 誠一

ほんと・・都合が良いよなぁ

相田 誠一

良すぎる・・

夢乃 美月

相田さん?

相田 誠一

ごめん、こっちの話

相田 誠一

嫌なんて、とんでもない

相田 誠一

嬉しいよ

夢乃 美月

ほんとですか!

夢乃 美月

・・良かったです

相田 誠一

でも、その前に聞きたいんだ

夢乃 美月

・・はい?

相田 誠一

なんで、俺と寄りを戻そうと思ったの?

夢乃 美月

それは・・

夢乃 美月

わからないです・・

夢乃 美月

それでも、なんだか別れちゃいけないような気がして

相田 誠一

・・・

夢乃 美月

結局、私は相田さんのことが好きですから

相田 誠一

そうか・・

夢乃 美月

私の気持ち、伝わりませんか・・?

相田 誠一

・・・いや

相田 誠一

嬉しいよ、ありがとう

夢乃 美月

今日は、ありがとうございました

相田 誠一

ううん、こちらこそ

相田 誠一

じゃあ、また連絡するよ

夢乃 美月

はい・・

相田 誠一

・・・

相田 誠一

美月ちゃん?

夢乃 美月

相田さん・・

夢乃 美月

その・・

夢乃 美月

これから空いてますか?

相田 誠一

え?

夢乃 美月

私の家に寄れませんか・・?

相田 誠一

・・・

相田 誠一

そんなことまで望んでんのか俺・・

相田 誠一

そんなことまで、叶えなくて良いんだよ・・

夢乃 美月

相田さん?

相田 誠一

あー、今、すごい嫌悪感

夢乃 美月

どういうことですか・・?

相田 誠一

・・・

相田 誠一

ごめんだけど、今日は作業が残ってるから

夢乃 美月

じゃあ、相田さんの家に・・

相田 誠一

ダメだ

夢乃 美月

え?

相田 誠一

美月ちゃん

相田 誠一

また連絡するから

夢乃 美月

・・・はい

??

どうした、そんな浮かない顔で

相田 誠一

ドリー

相田 誠一

この能力を解く方法はなんだ?

??

ほう・・

??

なぜ、そんなことを聞くのかわからんが

??

それは教えられない

相田 誠一

相田 誠一

どういうことだ

??

まぁ、少し言うなら、目には目を、ってやつだな

相田 誠一

ちゃんと答えろよ!

相田 誠一

なんで教えてくれない

??

お前はそれを望んでないからだ

相田 誠一

どういうことだ

相田 誠一

今こうやって、望んでるじゃないか!

??

いいや、望んでないんだよ

相田 誠一

・・・

相田 誠一

もう、この能力には十分、助けてもらった

相田 誠一

・・・

相田 誠一

虚しくなるんだ

相田 誠一

俺が何もしなくても、全て叶ってしまうなんて・・

??

ふん・・よくわからんが

??

そんな気持ちになって今頃、その能力を無くそうったって

??

それこそ都合が良すぎる

相田 誠一

・・・

相田 誠一

都合が良すぎる・・

相田 誠一

目には目を・・

相田 誠一

ー!

相田 誠一

そういうことか・・

??

・・・

??

・・・まぁ

??

お前が本当にそれを望むかだな

相田 誠一

・・・

目を覚ます

目の前のパソコンには、作りかけの書類データが写されている

相田 誠一

・・・

相田 誠一

戻ってきてしまった・・か

相田 誠一

目には目を・・

相田 誠一

望みには望みを

相田 誠一

俺が望んだことを全て否定すればー

相田 誠一

この能力も消えるわけだ・・

上司

もう来ないかと思ったぞ

相田 誠一

課長・・

上司

書類は?

相田 誠一

すいません!

相田 誠一

実は書類のことを失念しておりまして

相田 誠一

その・・

相田 誠一

まだできておりません・・

相田 誠一

どれもこれも、プライベートのことでこのような事態を招きました...!

相田 誠一

もう少しだけ、時間をいただけないでしょうか・・?

上司

・・・

上司

・・はぁ

上司

どこまで進んでるんだ?

相田 誠一

ー!

相田 誠一

半分ほどです

上司

・・全然じゃないか

上司

・・仕方ない、手伝ってやる

相田 誠一

本当ですか

相田 誠一

すいません!

相田 誠一

ご迷惑おかけします・・

上司

社長にも謝っておけ、なんとか間に合わせるぞ

相田 誠一

はい・・

もしもし

相田 誠一

父さん

誠一、どうした珍しい

相田 誠一

母さんの様子はどう?

ん?あぁ

あまり、良くは・・ないな

少しは、話しをするんだが

感情の起伏が激しくてな・・

体以上に心が参ってしまってるみたいだ・・

相田 誠一

そっか・・

相田 誠一

父さん

なんだ?

相田 誠一

色々とごめん

・・・

なんだ、さっきから・・

変だぞ

事故でも起こしたのか?

相田 誠一

はは

相田 誠一

そんなんじゃないよ

相田 誠一

色々あってさ

相田 誠一

俺、こんな歳になっても、父さんと母さんに、ずっと甘えてたんだなって思って

・・・

何があったかは、知らないが

そういう場合は、ありがとうでいいんじゃないか?

相田 誠一

・・そうだな

相田 誠一

ありがとう

結局、俺はずっと甘えていただけだった

世界が自分のために動いてくれれば良いのに、なんて子供みたいに

何もできなかった、子供の頃のもどかしい気持ちは、燻って怒って

色んなことが出来るようになった今でも

その気持ちだけが残った

もう、そろそろ、良いんじゃないんだろうか

誰かが自分のために生きてくれることを望むんじゃなく

自分が自分のために生きれば良い

その方が、ずっと楽なように感じた

相田 誠一

美月ちゃん、こっち

相田 誠一

いきなり呼び出してごめんね

夢乃 美月

・・いえ

相田 誠一

今日は奢るよ

夢乃 美月

いえ、悪いです

夢乃 美月

もともと、何か外で食べようかと思ってましたし

相田 誠一

・・そうかい

夢乃 美月

なんでしょうか、話って

夢乃 美月

もうお付き合いは・・

相田 誠一

いや、違うんだ

相田 誠一

美月ちゃん

夢乃 美月

はい

相田 誠一

・・ごめん

夢乃 美月

相田さん?

相田 誠一

・・あの後色々、美月ちゃんの言ってたこと考えてたんだよね

相田 誠一

優しさに巻き込まれるのが嫌だって

夢乃 美月

・・はい

相田 誠一

本当に巻き込んでたなって

相田 誠一

俺は君に優しくすることで、君にも優しくしてもらおうとしてたんだなって

相田 誠一

俺が君のために動くことで
君には俺のために動いてもらおうとしてたんだなって

夢乃 美月

・・・

相田 誠一

いやぁ、本当、難しいよね・・

相田 誠一

人に優しくしてれば良いものなんだと思ってたけど

相田 誠一

それが、自分のためだったなんて思いもしなかった・・

夢乃 美月

・・相田さん

相田 誠一

ん?

夢乃 美月

ごめんなさい

相田 誠一

・・・?

夢乃 美月

それ、私のことです

相田 誠一

え?

夢乃 美月

相田さん、なんか変わりましたね

相田 誠一

それは・・

相田 誠一

いい意味で・・?

夢乃 美月

いい意味です

夢乃 美月

今ので、スッキリしました

夢乃 美月

私たちは似たもの同士だったんですね

相田 誠一

そ・・そっか

相田 誠一

同族嫌悪ってやつかな

夢乃 美月

ですね

夢乃 美月

なので、お付き合いはできませんが・・

夢乃 美月

私、自分のことを棚に上げて、すごく一方的なことを言ってたんだなって思いました

夢乃 美月

すいません・・

相田 誠一

・・・

相田 誠一

そういう時は、ありがとうでいいと思うよ

夢乃 美月

・・

夢乃 美月

そうですか?

夢乃 美月

では

夢乃 美月

ありがとうございます

相田 誠一

こちらこそ

相田 誠一

今日はありがとう

夢乃 美月

いえ、こちらこそ

相田 誠一

じゃあね

夢乃 美月

はい

そうして、2人は引き返す

本音を言えば、別れたくはなかった

でも、これでいい

うまくいかないことがあるから

望みが叶った時、たまらなく嬉しくなる

それはすごく、現実的で苦しいことでもあるけど

そういう気持ちも含めて、自分の大事な想いなんだろうなと思った

想いのままに

そうやって生きていれば、望みが叶う時もいつしかやってくる

いつか、その日が来るまで・・

相田 誠一

夢乃 美月

あの・・

夢乃 美月

・・・

相田 誠一

どうしたの?

夢乃 美月

やっぱり、もう少し続けませんか?

相田 誠一

・・なにを?

夢乃 美月

その・・お付き合いを・・

相田 誠一

え?

相田 誠一

いや・・待って

相田 誠一

・・

相田 誠一

是非とも・・だけど

相田 誠一

その・・

夢乃 美月

はい?

相田 誠一

急にそう思ったの?

夢乃 美月

いえ、ずっと話しながら悩んでました

相田 誠一

そっか・・

夢乃 美月

嫌ですか?

相田 誠一

そんなことはないんだけど・・

夢乃 美月

すいません、振り回すみたいで

相田 誠一

いや、嬉しいんだよ・・

相田 誠一

ただ・・

夢乃 美月

はい

相田 誠一

・・・

相田 誠一

・・いや、まさか

相田 誠一

なんか、こう・・

相田 誠一

私の家に寄りませんかとか言い出したりしないよね・・?

夢乃 美月

・・?

夢乃 美月

なんですかそれ

夢乃 美月

私をそんな風に思ってるんですか?

夢乃 美月

そういうとこも変わっちゃったんですか?

相田 誠一

あ・・

相田 誠一

それは・・

相田 誠一

悪い意味で?

夢乃 美月

悪い意味です

相田 誠一

すいません・・

相田 誠一

いや、そういうことじゃないんだ

相田 誠一

むしろ、そのぐらいの方がちょうどいいって言うか

夢乃 美月

ちょうどいいってなんですか

夢乃 美月

さっきからなんかサイテーです!

相田 誠一

いや、そう言う意味じゃ...

相田 誠一

うまくいかないなぁ

夢乃 美月

なんで、嬉しそうなんですか?

夢乃 美月

もしかして・・

相田 誠一

いや、だから違うって!

夢乃 美月

・・・

相田 誠一

あれ、別れたくなった感じ?

夢乃 美月

そこまで、振り回しません!

夢乃 美月

じゃぁ!私は私の家に帰りますから!

夢乃 美月

相田さんは、相田さんの家に帰ってください!

夢乃 美月

では!

相田 誠一

うん、またね・・

相田 誠一

怒らせちゃったな・・

神様も悪魔もいるのかもしれない

それぐらい人生には手の届かないところが多い、思い通りにはいかない

でも少なからず、自分は望み続け、選んだ事柄の上に立っている

どちらも事実

自分にできることは限られてるけれど

何もできないわけじゃない

だったら、もっと力強く、望みに手が届くように、生きてこうと

そう想った

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