今、思えば
鳥肌が立つぐらい怖い。
あの時、ママは
何を思っていたのか、
未だに分からない。
春馬
ママ?
春馬
どこに居るの?
春馬
パパも…
春馬
お出かけしちゃったの?
春馬
一人にしないで……
春馬
怖いよ…
ガタンッ!
春馬
!
春馬
寝る部屋から音がした…
春馬
そこに居るの?
春馬
ママ?
春馬
パパ?
寝室へ行くと、
パパがママに馬乗りになっていた。
春馬
何…してるの…?
春馬
パパ?
パパ
春馬、どうしたんだい?
春馬
ママ達が戻って来ないから
春馬
怖くなって……
パパ
それはそれは。
パパ
心配させてしまったね。
パパ
怖かっただろう。
パパ
もう大丈夫だからね。
春馬
うん……
パパ
さぁ、春馬。
春馬
なに?
パパ
キッチンに行って、
パパ
ホットケーキを作ろう!
パパ
ママは今、疲れたから寝てるんだ。
パパ
ママの分も作ってあげよう!
春馬
うん!
寝ているわりには、
やけに顔が青白かったけど……
春馬
ねぇパパ。
パパ
なんだい?
春馬
ママはいつ起きるの?
パパ
それは……
パパ
まぁ……
やっぱり……!
ダッ!
パパ
春馬!?
パパ
何処へ行く気だ!?
パパは、何か隠してる…!
春馬
ママ!
春馬
……!
死んでる……!
春馬
パパ……
パパ
何をやってるんだい?
パパ
ホットケーキが焦げちゃうよ?
パパは笑ってる。
何事も無かったかのように…
春馬
パパ…
春馬
ママは死んでるよ…!
パパ
………
春馬
どういう……!
パパ
凄いじゃないか!
パパ
犯人を見つけるなんて!
春馬
ママを殺したのって…
パパ
僕だよ。
春馬
なんで…?
パパ
ママはね、
パパ
浮気をしてたんだよ。
パパ
他の男と出掛けたりして。
パパ
だから、殺したのさ。
パパ
春馬も寂しいだろ?
パパ
ママもきっと寂しいと思うよ。
パパ
後を追っかけなきゃ。
春馬
イヤだー!
パパ
泣いても無駄だよ。
パパ
じゃあね、春馬。
春馬
イヤだーー!
警察
警察だ!
警察
手を上げろ!
パパ
なっ!
パパ
警察!?
春馬
助けてー!
警察
まず、被害者を保護しろ!
パパ
離せ!
警察
おとなしくしろ!
パパ
離せ!
警察
撃てー!
バンッ!
バタッ
春馬
パパ……
そこから先は覚えていない。
ただ、
パパが死刑にかけられた、 という事だけは
覚えている。
僕がもっと早く、
異変に気付いていれば
ママを救えたかもしれないのに……
僕は今でも後悔している。
そして……
鳥肌がおさまらない、
と言う事も。