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2,020
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みこと
リビングのソファで寝転がっていたみことが、扉の開く音に顔を上げた。
みこと
言葉が止まる。 LANの腕の中。 血塗れの少女。 黒のパーカーはほとんど赤く染まり、滴った血が床へぽたりと落ちた。
みこと
みことが勢いよく立ち上がる
その声に反応して、奥の部屋からいるまが顔を出した。
いるま
鋭い目が少女を捉える。 一瞬で空気が変わった。
いるま
らん
いるま
呆れたように返しながら、いるまはらんへ近づく。
いるま
みこと
ひょこ、と後ろから暇72が顔を覗かせる。 相変わらず軽い声。 だが目だけはしっかり少女を観察していた。
暇なつ
らん
らんは短く返し、そのままソファへ少女を横たえる。 途端、黒いパーカーから血が滲んだ。
澪
少女の指先が僅かに動く。 薄く目を開けたまま、周囲を見ようとしていた。 完全には意識を落としていない。 その様子を見て、すちが静かに近づいてくる。
すち
らん
すちはしゃがみ込み、少女の傷を見る。 その瞬間、表情が少しだけ険しくなった。
すち
暇なつ
暇72が興味深そうに覗き込む。
いるまは腕を組みながら少女を見下ろした。
いるま
その言葉に、らんが小さく目を細める。 路地裏で見たあの目。 あれは普通じゃない。 極限状態のはずなのに、最後まで警戒を解かなかった。
こさめ
そう言った瞬間。 少女の瞳が僅かに揺れた。 反応した。 みことがそれに気付き、小さく声を漏らす。
みこと
少女はぼんやり天井を見ていた。 呼吸は浅い。 顔色も悪い。 それでも涙ひとつ流さない。 苦痛で顔を歪めることすらしなかった。 ただ静かに耐えている。
こさめ
こさめが思わず呟く
普通なら泣き叫んでもおかしくない。 なのにこの少女は、感情を落としたみたいに無表情だった。 すると、すちが静かに口を開いた。
すち
消毒液を傷へ当てる。 普通なら飛び起きる痛み。 だが少女はぴくりと肩を震わせただけだった。 声も出さない。 暇72が目を細める。
暇なつ
興味を持った顔だった
暇なつ
暇72がソファの背に寄りかかりながら、興味深そうに少女を見下ろした。
暇なつ
みこと
みことが苦笑しながら言う。 少女はソファへ横になったまま、ぼんやり天井を見ていた。 黒のパーカーは血で濡れ、浅い呼吸だけが静かに上下している。 それでも泣かない。 助けも求めない。 意識がかなり曖昧なのが見ていて分かった。
こさめ
いるまが眉をひそめる
いるま
らん
LANは壁へ寄りかかったまま短く返した。
らん
みこと
みことが小さく肩を竦める。 こさめはソファの横へしゃがみ込み、じっと少女の顔を見つめていた。
こさめ
ふわりとした声
こさめ
確かにそうだった。 こんな傷を負って、知らない場所へ連れて来られて。 普通なら怯えてもおかしくない。 なのに少女は、感情を押し殺したみたいに静かだった。
みこと
みことがポツリと呟く
すち
その言葉に、LANの視線が少女へ向く。 路地裏で見た目を思い出す。 今にも倒れそうだったのに、最後まで気を失わなかった。 あの細い体のどこにそんな執念があるのか分からない。
らん
小さく呟く。 すると少女の睫毛が僅かに揺れた。
聞こえているらしい。
暇なつ
暇72が楽しそうに笑う。
いるま
少女はぼんやりと視線を動かした。 だが焦点は合っていない。 かなり限界なのが分かる。 すちは包帯を結び終えると、小さく息を吐いた。
すち
みこと
みことが聞く
すち
その言葉に、部屋の空気が少しだけ緩んだ。 すると、少女の指先が僅かに動く。 起き上がろうとしたらしい。 だが全く力が入らず、途中で止まった。
こさめ
こさめが慌ててとめる
少女はそれでも無理に起きようとしていた。 帰ろうとしているのかもしれない。
いるま
いるまが呆れたように言う
いるま
少女は数秒そのまま固まっていたが、やがて力が抜けるように再びソファへ沈んだ。 LANはその様子を静かに見下ろす。
らん
低い声。 少女の瞳がゆっくりLANへ向いた。
らん
淡々とした口調だった。 だがその声は、不思議と落ち着いて聞こえた。 少女はしばらくLANを見つめていたが、やがて静かに目を閉じる。 ほんの少しだけ。 警戒が薄れたみたいに。