数週間前――。
三富
その日、三富はいつものようにふらりと出かけ、たまたま目に入った古本屋に入った。
普段から本を読むほうではないのだが、なぜか引き寄せられたというか、妙な好奇心が沸いて、入店するにいたった。
三富
引き込まれるように、本棚から絵本を手に取る。
三富
自分でも絵本を手に取ったことが不思議でならなかったが、絵本を手に入れた満足感のほうが勝った。
絵本を片手にレジカウンターへと向かう。
すると、レジカウンターには先客がおり、店員と何やら揉めているようだった。
アルバイト風の店員
アルバイト風の店員
????
女の子の返答に、ため息をつく店員。
アルバイト風の店員
アルバイト風の店員
アルバイト風の店員
アルバイト風の店員
????
????
????
アルバイト風の店員
なんだか見ていられなくなった三富は、女の子に声をかける。
三富
????
六冥。
三富
その絵本、良かったらお姉さんが買ってあげるわ。
六冥
お姉ちゃんじゃなくて、お兄ちゃんじゃ……。
三富
いいわね?
六冥
ありがとうお姉ちゃん。
三富
三富
絵本にしてはやや値が張ったが、どうしても女の子に絵本を買ってやらねばならない気がした三富は、代金を出してやる。
三富
改めて絵本……女の子が好むとは思えない、浦島太郎を渡してあげると、六冥はそれを両手に持って掲げ、目を輝かせた。
六冥
お兄……お姉ちゃん。
三富
それじゃ、気をつけてお家に帰るのよ。
三富は六冥の頭をなでると、ひと足先に本屋を後にした。
三富
ふと、本屋を出た後に振り返ると、そこにあったはずの本屋は消えていて、古そうな雑居ビルの入り口が口を開けていた。
ふと、足元を見ると、大事そうに絵本を抱えた六冥が、三富と同じように雑居ビルの入り口を見つめていた。
六冥
三富
気味の悪さを感じつつ、同じように戸惑っている六冥に声をかける。
三富
六冥
六冥
三富
六冥
六冥
六冥
三富
三富
三富
どうしたものかと考えあぐねていると、六冥のお腹の虫が鳴いた。
三富
六冥
三富
確かポケットの中に……。
三富はポケットの中に入っていたチョコレートを取り出す。
銀紙で包まれている、三富お気に入りのお菓子だった。
三富
六冥はおそるおそるといった具合でチョコレートを受け取ると、銀紙を開けて中身を頬張った。
六冥
三富
六冥
三富
六冥
六冥はそう言いつつもチョコレートを飲み込むと、なにかを訴えかけるような眼差しを向けてきた。
六冥
三富
六冥
三富
三富
三富
六冥
三富
六冥
六冥
三富
六冥
三富
三富
三富
六冥
六冥
三富
三富
六冥
三富
三富
三富
七星
七星
四ツ谷
三富
一宮
三富
三富
三富