かすみさんに呼ばれ
静(じん)さんはかすみさんと悟志さんの寝室へ
薄暗い寝室の奥には小さなモニタが置かれていて
映像が映し出されていた
井川静(じん)
井川かすみ
井川静(じん)
井川静(じん)
あすみさんの姿が映し出されているモニタに
静さんの背筋が凍る
それが隠しカメラによる映像だと理解はできたが
戸惑う気持ちを隠すことができなかった
そんな静さんにかすみさんは平然と言い放つ
井川かすみ
井川かすみ
井川静(じん)
かすみさんの氷のように冷たい表情に
静さんはとてつもない恐怖を感じた
妹の部屋にカメラまで仕掛けて
母は一体、何をしようとしているのか
井川静(じん)
井川静(じん)
井川かすみ
井川静(じん)
井川かすみ
井川かすみ
冷たい視線をモニタに映るあすみさんに向けながら
かすみさんは淡々と続ける
井川かすみ
井川かすみ
沢田マリカ
沢田マリカ
井川静(じん)
井川静(じん)
井川静(じん)
井川静(じん)
沢田マリカ
かすみさんの非情な言葉の数々に
静さんは抵抗しその場から逃げようとしたが
井川かすみ
井川かすみ
ほんの一瞬、微笑んだ母の顔が
今でも頭に焼き付いて離れないと言う
当時の静さんにとって
一家離散はそこまでの問題ではなかった
何よりの恐怖は母の殺意と
それが真っ直ぐに妹へ向けられていることだった
井川静(じん)
井川静(じん)
井川かすみ
井川かすみ
井川かすみ
母から息子へ下された恐ろしい命令
静さんは恐怖のあまりその場から動けなくなり
再び動けるようになるまでに30分もかかった
言うことを聞かなければ妹は死ぬかもしれない
静さんは覚悟を決めてあの部屋へ
井川あすみ
井川あすみ
静さんがあすみさんの腕を掴むと
あすみさんは腕の痛みに顔を歪ませる
井川あすみ
井川あすみ
井川静(じん)
母の魔の手から妹を守るため
静さんはかすみさんの暴挙に荷担する道を選んだ
全てはあすみさんを守るため
その様子は全て隠しカメラによってモニタに映し出され
常にかすみさんが監視できる状態になっていた
悔しさから溢れる涙を必死に堪え
静さんはあすみさんの身体を何度も殴打し
包帯の上から何度もナイフで切りつけた
井川あすみ
井川あすみ
井川静(じん)
井川静(じん)
刻まれた傷に静さんの涙が滲む
全身が血だらけになって
やっと静さんは手を止めた
井川静(じん)