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世間は物騒だから
1人で山に来た
湊
ソロキャンプって
湊
誰もいないし
湊
自由で良いな…
昼間から酒を飲んでも
誰にも文句を言われない
そう思っていると
見知らぬ男
隣、いいですか？
湊
へ？
見知らぬ男に 声をかけられた
湊
どうぞ
湊
(金持ちそうだな…)
男は高そうな服を着ている
見知らぬ男
キャンプは…
見知らぬ男
初めて、ですか？
湊
ええ、まあ
湊
(こんな山に来るのに、スーツ？)
見知らぬ男
そうでしたか…
見知らぬ男
良ければ飲んでください
湊
どうも…
湊
(金持ちは違うな)
男は高そうなワインを 1本くれた
見知らぬ男
ひどい事件ですね…
湊
え？
見知らぬ男
あれ？
見知らぬ男
違いましたか？
見知らぬ男
てっきり、あの事件を気にして
見知らぬ男
1人で山に来たのかと…
湊
ああ
湊
実は、そうなんです
「あの事件」
それは…
全身を切りつけられ
舌を切り取られるという
凄惨なものだった
湊
ひどい事件でしたね
湊
無差別に殺されて
湊
舌を切られるなんて…
見知らぬ男
そうですね…
パチパチ
見知らぬ男
冷えますねえ…
湊
そうですね…
男は火をおこすと
保冷バッグから ピンク色の肉を取り出し
焼き始めた
湊
(食事には、まだ…)
湊
(早くないか？)
チラリと時間を確認する
PM 4:00
湊
(やっぱり…)
見知らぬ男
でも…
見知らぬ男
罪には、罰が必要だ
湊
は？
湊
(なんだよ、それ？)
見知らぬ男
嘘つきは…
見知らぬ男
泥棒の始まりですよ？
湊
…っ！！
背すじがゾクリとする
湊
(コイツ…)
湊
(ヤバいぞ！！)
湊
(カバンを盗もうとした事に、気づいてる！)
湊
用を思い出したんで
湊
帰ります！
見知らぬ男
嘘をついたら…
見知らぬ男
閻魔さまに舌を抜かれるって…
見知らぬ男
教わりませんでしたか？
チャキッ
湊
ひい！
男が首にナイフを 突きつけてきた
湊
な、何なんだよ！？
湊
お前は…！！
見知らぬ男
あなたは、嘘つきだ
見知らぬ男
あの事件が怖くて、ここに来た？
湊
そ、そうだよ！
湊
それの何が悪い！
見知らぬ男
悪いですよ…
湊
見知らぬ男
殺されたのは、私なのに…！！
湊
うっ！？
グサッ
湊
ぐ…っ！！
見知らぬ男
あなたは、本当にひどい人ですね？
見知らぬ男
殺した人間の顔を忘れるなんて…
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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