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渡辺翔太
そんな事をぼんやり考えながら高校3年生なりたての春、廊下の窓から校庭を眺める。
校庭の桜は満開でその風に乗りながら舞っている。
桜は良いなぁ。
本当に羨ましいよ。
見た目は綺麗だし、沢山の仲間達が居て、そよ風が吹けば、好きな方角、好きな方向に飛んで行けて
渡辺翔太
渡辺翔太
危ない、危ない、持っていかなきゃ。
俺は濡れ雑巾を持ち教室へ向かった。
はぁ。
やっぱり。
これで何回目だろう?
俺の机の上には油性のマッキーペンやカラーペンでいつも通り落書きされていた。
机の上には
『馬鹿』
『キモイ』
『ブス』
『消えろ』
『死ね』
と口々に書かれていた。
もう、慣れてるんだけどね。
モブ
モブ
モブ
モブ
うるさいなぁ。
しょうがない。拭くか。
俺なんて………方が………かな?
当たり前だけど、助けてくれる人は居ない。
男子も女子も関係なく俺はイジメられてる。
言い返せも口も手も出せない。
情けないし、格好悪いよな。
俺は拭き終わると静かに席に戻った。
そんな俺の事をクスクスと嘲笑うのが聞こえた。
ここは屋上。
この気持ちでここに来るのは何回目だろう?
俺はフェンスに手を掛けた。
やっぱり校庭の桜は綺麗。
でも桜のように俺は誰からも「必要」とされていない。
むしろ俺の事を「不必要」と思う人しかここには、この世界には、この世界線には居ない。
誰かに助けを求めればって?
俺には居ないんだよ。
助けを求められる人も助けてくれる人も。
友達も、先生も、家族も。
俺の家庭は有名な家庭なんだ。
俺以外の家族は全員エリート。
幼稚園の頃から大学は俺以外は私立の有名な学園に通ってる。
その中で俺は試験に合格出来なかった。
幼稚園はともかく。
小学生、中学生、高校生と全部落ちた。
家族からは渡辺家の恥だとか嘲笑われて、避けられて、
家では手伝いというか、奴隷扱い。
だから、俺なんて
居ない方が良いんだよ。
みんなそれを願ってるんだよ。
俺だってこの世界から消えたい。
このつまらない人生とおさらばしたい。
だから、屋上に来た。
今からいわゆる「自殺」をする。
死ぬ。
消える。
死のうと思いここに来たのは何回目だろうな。
いつもはいざとなると怖くて、遠回しにしてきたけど。
今日こそはここから飛び降りようと思う。
誰も俺を「必要」とする人は居ないから。
俺はフェンスにぐっと近寄りフェンスを乗り越えようとした。
覚悟は決めた。俺は今から死ぬ!今から消える!
フェンスを乗り越えた。
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