───声が
きこえる
声が……───
大丈夫?
見慣れない服だな
起き上がれる?
おんぶしよっか?
愛白
うぅ…ぅ……
愛白
?
愛白
?!
愛白
え
愛白
どこ……?!
起きた!起きた!
大丈夫そう?
怪我はない?
治療してあげるよ
どこから来たの?
愛白
え……えぇと…
ちょっとすみません
この方、私の知り合いなんです
なので私に任せてください
知り合いかぁ
なら大丈夫ですね
お大事にね
──大丈夫ですか?
愛白
あ…ありがとうございます
愛白
それで……
愛白
ここは…?
…?
あなたは旅人なのですか?
愛白
旅人……
愛白
じゃ…ないです
ここに来る前の記憶とかはありますか?
愛白
……前の…
愛白
……ぅうっ…
その様子だと、覚えていないようですね…
……何らかの影響で
ここに来てしまったと?
愛白
(怪しまれてる……)
愛白
恐らく…
愛白
私も、よくわかってないんですけど…
……ふむ
とりあえず、行くあてはないでしょう?
私はとあるお方の側近なのです
暫くはそこにいて大丈夫ですよ
愛白
え……
愛白
あ
愛白
本当…ですか?
愛白
め……迷惑とか…
全然ないですよ
では、行きましょうか
着いてきてください
愛白
わかりました……
愛白
…
あぁ、そうだ
名前、まだ教えていませんでしたよね?
愛白
あ、
愛白
…はい
私の名前は
イヴィ
イヴィ・ウォッチ
イヴィ
です
イヴィ
あなたは?
イヴィ
お名前、覚えていますか?
愛白
私は…
愛白
琴宮 愛白です
愛白
たしか…
イヴィ
愛白、ですか…
イヴィ
やはり、この辺りでは
イヴィ
聞かないお名前ですね
イヴィ
…ほら、ここを曲がれば着きますよ
愛白
え……
イヴィ
私も初めて見た時には驚きました
イヴィ
…大きいですよね
イヴィ
恐らく迷うと思うので
イヴィ
しっかりと着いてきてくださいね
愛白
は、はい…!
イヴィ
着きました
イヴィ
ここがエントランスホールです
愛白
(天井高い……)
…イヴィ
愛白
!?
イヴィ
?!
この子は誰だ?
愛白
(怖そう……)
イヴィ
…この方は
イヴィ
琴宮 愛白さん
イヴィ
原因も分からないまま
イヴィ
ここに迷い込んできてしまって
イヴィ
帰る宛てもないと言うので…
…
ここに住まわせるということか?
イヴィ
ええ、その通りです
……
愛白
…あの……
愛白
やっぱり迷
…住んでくれるのか?
愛白
…?!
本当に?
愛白
あ…
愛白
え……?
よっしゃぁあ!!
あまり人いなかったから寂しかったんだ!
歓迎する!
イヴィ
…
イヴィ
承認感謝致します…
イヴィ
ところで…
イヴィ
お名乗りした方が良いのでは?
…
あ
…名乗り遅れた
俺は
ロック
ロック・ハーレー
ロック
この城の
ロック
864代目当主だ!
愛白
は……はっぴゃく…?
ロック
ハーレー家はずっと
ロック
この城を管理しているんだ
ロック
それで、暫くは
ロック
ここに住むのだろう?
ロック
イヴィ
イヴィ
わかっております
イヴィ
愛白さん
イヴィ
歩きっぱなしで辛いとは思いますが…
イヴィ
部屋に案内しますね
愛白
…よろしくお願いします
バタン
イヴィ
こちらです
イヴィ
恐らくこの部屋が1番すごしやすいかと
愛白
わ……
愛白
ありがとうございます…
愛白
……あ、あの
イヴィ
?
イヴィ
なんでしょう?
愛白
…こんなに
愛白
良くしてもらってるのに…
愛白
何もしないの…あれ、で…
愛白
あの…
愛白
…
愛白
……なにか、私に出来ることありませんか……?
イヴィ
…おやおや……
イヴィ
優しいのですね
イヴィ
ふむ……
イヴィ
ならば…
イヴィ
私のお手伝いをして頂けませんか?
愛白
…お手伝い?
イヴィ
ええ
イヴィ
私はロック様の側近ですが
イヴィ
正直1人では厳しいところもありまして…
イヴィ
どうでしょう?
イヴィ
──色々な依頼なども受けているので
イヴィ
もしかしたらあなたのいたところへの
イヴィ
帰り方も分かると思いますよ
愛白
愛白
…是非お願いします!
イヴィ
…わかりました
イヴィ
これからよろしくお願いしますね
愛白
よろしくお願いします…!
愛白
…
愛白
(大変なことになっちゃったな……)
愛白
(大丈夫……かな…)
愛白
イヴィさん
愛白
明日は早いと言っていたし…
愛白
……少し、休もう、かな
辺りが
何だかモヤモヤしている
あぁ
そうか
夢……なのかな
かろうじて
見えるのは
人影……?
もう少しで顔が見えるところで
視界が暗転する
朝が
来たようだ