俺の名前は青山琉己。 久しぶりに会った姉貴と世間話で 盛り上がっている極道だ。
青山琉己
小峠華灘
青山琉己
言われなくても分かるこの感じ。 普通の抗争では無かったのだと 直感が言う。 ただ、それは触れてほしくない事のようだ。 敢えて聞かないことにした。 ふいに、姉貴が溜息をついた。
小峠華灘
青山琉己
小峠華灘
そう言う姉貴の表情は 陰っていた。 姉貴が困ったように笑いを浮かべる。
小峠華灘
空龍街で天羽組が貸し切っているビルの屋上。 そこは、誰も踏み入れる事がほぼ無く、 相談事などにはうってつけだった。
青山琉己
小峠華灘
単に話を聞いてほしかったんだよね
青山琉己
すると姉貴は一息ついてから 話し始めた。
小峠華灘
電話があってね。私、特に何も考えず電話に出たんだ。
青山琉己
小峠華灘
というかそれが話したいことなんだけどね。
青山琉己
小峠華灘
理由がね、工藤の兄貴が華太を庇ったことで亡くなったこと。病院から電話してきてたみたい。自分のせいで兄貴が亡くなったって…凄く悲しんでた。
青山琉己
責任感も相まって、余計苦しかったと…
小峠華灘
……それで、私ね。思わず言ったの。
『天羽組を抜けなさい』って。
青山琉己
小峠華灘
根は心優しい子だから…人を傷付ける事で精神も参ってたんじゃないかな。
青山琉己
小峠華灘
………俺は、普通じゃないから天羽組以外に居場所が無いって。
青山琉己
狂人揃いの天羽組の中で比較的常識のある ちゃんかぶの口からそんな言葉が出るのは 意外だった。 姉貴は少し悲しそうに笑う。
小峠華灘
小峠華太
凄く気持ち悪くなっちゃってさ…
だから、死がすぐ隣にあるような裏の世界が、居心地よく感じて…
小峠華灘
小峠華太
小峠華灘
小峠華太
小峠華灘
貴方は今すぐ天羽組を抜けなさい。
ただでさえ精神が不安定な状態なのに、
これ以上裏の空気に触れれば本当に……
壊れてしまう。親っさんには私が伝える。
だから…
小峠華太
小峠華灘
小峠華太
小峠華灘
小峠華太
見てて楽しい?
小峠華灘
小峠華太
小峠華灘
決まってるじゃない!
小峠華太
小峠華灘
小峠華太
普通の弟じゃなくて、ごめんね。
青山琉己
小峠華灘
そう言って、姉貴は苦笑いする。 けれど、俺には一つ疑問があった。
青山琉己
小峠華灘
青山琉己
小峠華灘
途端、姉貴の目つきが険しくなる。 俺は落ち着きながら話をする。
青山琉己
小峠華灘
青山琉己
小峠華灘
青山琉己
この話なら辻褄が合います。
青山琉己
小峠華灘
私は、あの子の事を思って…
青山琉己
小峠華灘
青山琉己
けれど、その行動が彼の心には寄り添えていないはずです。
彼の話の一言だけ…心の傷一つでも、汲み取ってあげてほしい。
姉貴は無言のまま、下へと繋がるドアを開けた。 そして、こちらを振り返りながら言う。
小峠華灘
理解している。私は正しいよ。
あの子へ対する行動も、言動も…
きっとあの子は分かってくれている。
私の弟だもの。
そうして、姉貴は 階建を降りた。 俺はその姿を苦い表情で見送った。 せめて、ちゃんかぶが壊れない事を 願うしかない。







