香坂仁は殺人犯だ。
それも、連続殺人犯。
少なくとも十人以上殺している。
普通じゃない。
しかも殺す理由が
”殺すのが好きだから”
などとあけすけもなく言い放つ。
おまけに、
女子大生としての生活を楽しんでいるから
私を殺さないとか、
誰かを殺してこの生活を壊したくないとか言っている。
つまり、
この生活に飽きたら私は殺されるし、
私になった香坂仁は
誰かを殺す、ということだ。
私を殺して誰かを殺す分には構わない
と言ったら無神経かもしれないが、
もし、
誰かを殺した状態で
何らかのタイミングで元に戻ったら、
私は
殺人犯となり、
警察に追われる身となるわけだ。
それだけは絶対に避けなければならない。
元に戻るなら、
私になった香坂仁が殺人を犯す前、
そして出来れば、
香坂仁を拘束した状態で入れ替わりたい。
(希余)香坂 仁
問題があるとすれば、
香坂仁が殺人を行ったという証拠、だろうか。
本人は捕まってもいいなどと言っていたが、
実際、彼が犯人であるという
確固たる証拠が……。
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
あと、犯人と結びつく証拠と言ったら何だろうか…。
被害者との関係はほぼ皆無。
全員、初対面だと思われる。
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
毎回、不思議に思っていた。
記憶はいつも突然始まるから、
前後の記憶は無いのだが、
彼が廃墟に行くとそこにはもう被害者がいたり、
真っ暗な廃墟の中で
被害者が拘束されているという状態が多い。
被害者を呼びだすにしても、
あんな人気の無い場所に
見知らぬ人物から呼び出されて
ホイホイ出向くだろうか。
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
車を持っていたとしても、
完璧を好む彼のことだ、
毎回違う車を使っていたり、
被害者の車を使っている可能性がある。
(希余)香坂 仁
彼を捕まえて警察に連行したところで、
彼が殺人鬼だという明確な証拠が無い。
私が書いたモノだって、
裏を取るには時間がかかるだろうし、
大切なところが抜けているんだ。
大した証拠にはならないだろう。
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
その方法が無いから、
彼はあのとき嘲笑ったのだ。
捕まるはずはないと、
捕まっても犯人であると証明できないと、
わかっていながら
捕まってもいいと言ったのだ。
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
・
・
【翌日】
私はいつものように見送りをしたのち、
仁の後を付けることにした。
慣れた様子で電車に乗り、
大学の最寄りの駅で降りる。
中村 怜子
駅で声をかけてきたのは、
友人の中村怜子(なかむら りょうこ)だ。
高校時代からの友人で、
この大学も怜子が行くから受験した。
(仁)瀧澤 希余
中村 怜子
(仁)瀧澤 希余
中村 怜子
(仁)瀧澤 希余
中村 怜子
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
中村 怜子
中村 怜子
中村 怜子
(仁)瀧澤 希余
中村 怜子
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
私が入れ替わったなどと
疑うことも無いだろう。
そのまま楽しそうに喋りながら
二人は大学の門を潜る。
(希余)香坂 仁
私はちらりと警備員を見る。
こちらは見ていない。
そして、周りを見る。
誰も私の存在に気付いていないような気がする。
(希余)香坂 仁
腹を括って歩みを進めたが、
警備員はけして私の後を追いかけて来ることはなかった。
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
離れていく二人の後ろ姿を追いかける。
驚いたことに、
学校内を歩いていても
誰も見向きもしないし、
講義室にこっそりと入っても
講師すら
私の存在に気付いていないようだった。
(希余)香坂 仁
声や音を発しない限り、
誰も気づかない。
気付いて貰えない。
自分が透明人間になったような感覚だった。
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
だが、その記憶は
いくら考えても出てこない。
真面目に講義を聞く瀧澤希余の身体に入った香坂仁。
休憩時間には友人と談笑し、
お昼にはいつものメンバーで集まって食べている。
(希余)香坂 仁
そこには、
紛れも無い瀧澤希余がいた。
(希余)香坂 仁
立ち居振る舞いは、
自分でも見てわかるほど綺麗で
どこぞのお嬢様かと思うほどだ。
でも、
話し方や話す内容、
笑うタイミング
笑い方、
ツッコミを入れるタイミング、
ボケる内容。
その全てが
瀧澤希余そのものだった。
(希余)香坂 仁
記憶があるからあそこまで成りきれるのか。
例え、記憶があったとしても
自分では香坂仁になりきれる自信がなかった。
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
ふと、光明のようなものが見えた。
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
楽しそうに私の友人たちと談笑する香坂仁。
もしかしたら、
今、話しをしている友人たちの誰かを
殺す可能性もあるのだ。
野放しにすれば、きっと。
(希余)香坂 仁
これは、私と私の友人を守るための行動なのだ。
元に戻れるかどうかは、
神のみぞ知ること。
だが、
何もしないよりかは
何倍もマシなはずだ。
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
(希余)香坂 仁
私は踵を返して、
帰路についた。
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コメント
4件
キヨの考えが危険な方向に!!友達のためでも、そんな事をしたら自分も犯人になってしまうのに💦 (登場人物の名前が数字になっていました)