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『まずね、その角を左に曲がって』

『そうすると、木箱が積み上げられてると思うんだ』

愛白

…あれのことですか?

『4個くらいある?』

愛白

うん

『合ってるよ』

『そこまでなるべく塀伝いに歩いて欲しい』

愛白

塀伝い?

愛白

何か、意味があるんですか?

『僕が言った所まで行くと死角なんだ』

愛白

えっ?

愛白

…監視カメラでもあるんですか?

『勘が良いじゃん』

愛白

でも、リタ…くんが映像見てるんじゃ…?

『万が一、ハッキングとかあったら怖いでしょ』

愛白

愛白

ハッキング!?

愛白

3番隊ってそんなことも出来るんですか…

機械越しにリタの笑い声が微かに聞こえた

愛白

(怖すぎる……)

その時だった

不意にリタは大きな声を上げた

『……あ!誰か来る!』

『愛白サン、そこの鎧の陰に隠れて』

『死角になってるはず!』

愛白

えっ、はい…!

ザッ

ザッ

───あぁー、ダリィ……

愛白

愛白

(誰だろう…騎士団の人?)

───言われるがままに火薬運んでるけどよ

これ何に使うんだ?

…戦闘に備えて、とかじゃない?

でも、かなりの数あるぜ?

オーバーキルだろ……こんなの

証拠隠滅……

爆発四散ってか!

……ったく、ドロシー様とやらは何やってんだ…

イヴィ様を捕まえたんでしょ?

らしいな、それもドロシー様の仕業か

イヴィ様が拘束されるってかなりの大事だぞ

そこまで疑うかなぁ…

ドロシー様、容赦しないからね…

怖ぇな

まぁ、さっさと置いて行こうぜ

愛白

(火薬…?)

愛白

(言われてって、誰にだろう……)

愛白

(もしかして、ドロシー…さん?)

愛白

愛白

────!!!

…思わず、声が出そうになった

騎士達は火薬が積み上げられている荷台を

「なんで俺たちが」という

まるで理不尽に叱られた子供みたいな顔で

「倉庫」の前に、置いたのだ

愛白

(まさか……)

愛白

(爆破させる気?!)

騎士達は身軽そうに戻って行った

『───面倒なことになったね』

固唾を飲んで見守っていたリタが重々しく口を開いた

『アイツらも言ってたけど』

『証拠隠滅、かな』

愛白

…っていうことは

愛白

あの中に重要な証拠でもあるんじゃないでしょうか…?

『一理あるね』

『足早に調べちゃおっか』

愛白

…誰か来そうだったら言って欲しいです

『うん、見ておくよ』

重く頑丈なドアを開いて

恐る恐る、中を覗いた

電気は着いていないのか、暗く重い雰囲気だった

少し、埃が積もっているのが見える

愛白

愛白

(靴跡ついちゃった…)

愛白

(少し広げながら行かないと…)

更に中に入ると

何やら、「異臭」が鼻を突き刺した

愛白

!?

『どうしたの?』

愛白

何か…臭いがします

『臭い?どんな?』

愛白

愛白

「焦げ臭い」…です…!

『ここで燃やしたんだろうね』

『……死体は回収されたはずだから』

『安心してね』

愛白

(あ、安心だなんて……)

愛白

でも、使用人倉庫にもいくつか部屋があるんですね

『えぇ、なので資料が燃えていないか一応確認してくれますか?』

イヴィの声だ

愛白

えっと、ドロシーさんからは詳しく聞かされてないんですか?

『彼女も混乱していたのでしょうね』

『本当に必要なことだけ話されて戻って行ってしまいました』

愛白

……そうなんですね

愛白

(取り敢えず…臭いが酷い…)

愛白は袖で鼻を覆いながら、資料室へ向かった

資料室

愛白

(わ…広い…)

愛白

(ここは、臭いがしない…)

愛白

えっと、資料は無事みたいです

『それは良かった』

『犯人にも良心がある様ですね』

愛白

良心、ですか?

『えぇ』

『きっと、これだけの資料をまとめる大変さを分かっている人でしょうね』

愛白

まとめる…

愛白

(…そう言う問題じゃないと思うけど)

そうして、少し資料室を探索すると

愛白

────?

愛白

(何だろう、これ……)

きちんと整頓された大量の書類の中に

クシャクシャにまるめられた紙切れが目に留まる

愛白

(どうしてこれだけ…)

愛白

(き、気になる……)

そう思い、愛白は紙切れに手を伸ばそうとした時──────

バチンッ

──何かが切れる様な音がした時には

彼女の視界は

まるで曇天の夜空の様に

暗く、重いものとなっていた

愛白

─────!!!!?

愛白

(何で…電気が?!)

ガチャッ…

愛白

!!

反射でその身をドア付近の死角に隠した

─────ここは焼却所じゃないんだがな

「密告」なんて、しようとするからだぞ

愛白

(「密告」って……?)

愛白

(誰なの…?)

や、辞めてくださいっ!

こんなの……こんなの間違ってる!

……うるさいな

ダンッ

グゥッ……うぅ…

そんなにお喋りな奴だとは思わなかったよ

ベリ……

───!!!

助けを呼ばれちゃ困るんでね

愛白

…!

愛白

(まさか…口封じ…?)

愛白

(この人は……)

愛白

(殺される……の…?)

まさか、黙って見てるの?

役たたず

私は、また何も出来ないの?

目の前で、誰かを死なせるの?

───じゃあな

せいぜい、自分の愚かさを恨むことだ

─────!!!

────ドンッ

『愛白サン?!』

『何やって……!!!』

っ!!!

誰だっ、俺を押した奴は!!

後先だなんて

考えられなかった

ただ、また指をさされてしまうなら

私は、私だって─────

また、倉庫がぼんやりと明るくなる

目の前には、恐ろしくギラついた目で私を睨みつける

───1人の、騎士がいた

テメェ…タダで済むと思うなよ…

愛白

……っ

泣きそうな目で、睨み返した

怖い

もう、戻れない

彼の、殺意は────

たった今、私に向いたのだ

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