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『まずね、その角を左に曲がって』
『そうすると、木箱が積み上げられてると思うんだ』
愛白
『4個くらいある?』
愛白
『合ってるよ』
『そこまでなるべく塀伝いに歩いて欲しい』
愛白
愛白
『僕が言った所まで行くと死角なんだ』
愛白
愛白
『勘が良いじゃん』
愛白
『万が一、ハッキングとかあったら怖いでしょ』
愛白
愛白
愛白
機械越しにリタの笑い声が微かに聞こえた
愛白
その時だった
不意にリタは大きな声を上げた
『……あ!誰か来る!』
『愛白サン、そこの鎧の陰に隠れて』
『死角になってるはず!』
愛白
ザッ
ザッ
愛白
愛白
愛白
愛白
愛白
愛白
愛白
…思わず、声が出そうになった
騎士達は火薬が積み上げられている荷台を
「なんで俺たちが」という
まるで理不尽に叱られた子供みたいな顔で
「倉庫」の前に、置いたのだ
愛白
愛白
騎士達は身軽そうに戻って行った
『───面倒なことになったね』
固唾を飲んで見守っていたリタが重々しく口を開いた
『アイツらも言ってたけど』
『証拠隠滅、かな』
愛白
愛白
『一理あるね』
『足早に調べちゃおっか』
愛白
『うん、見ておくよ』
重く頑丈なドアを開いて
恐る恐る、中を覗いた
電気は着いていないのか、暗く重い雰囲気だった
少し、埃が積もっているのが見える
愛白
愛白
愛白
更に中に入ると
何やら、「異臭」が鼻を突き刺した
愛白
『どうしたの?』
愛白
『臭い?どんな?』
愛白
愛白
『ここで燃やしたんだろうね』
『……死体は回収されたはずだから』
『安心してね』
愛白
愛白
『えぇ、なので資料が燃えていないか一応確認してくれますか?』
イヴィの声だ
愛白
『彼女も混乱していたのでしょうね』
『本当に必要なことだけ話されて戻って行ってしまいました』
愛白
愛白
愛白は袖で鼻を覆いながら、資料室へ向かった
資料室
愛白
愛白
愛白
『それは良かった』
『犯人にも良心がある様ですね』
愛白
『えぇ』
『きっと、これだけの資料をまとめる大変さを分かっている人でしょうね』
愛白
愛白
そうして、少し資料室を探索すると
愛白
愛白
きちんと整頓された大量の書類の中に
クシャクシャにまるめられた紙切れが目に留まる
愛白
愛白
そう思い、愛白は紙切れに手を伸ばそうとした時──────
バチンッ
──何かが切れる様な音がした時には
彼女の視界は
まるで曇天の夜空の様に
暗く、重いものとなっていた
愛白
愛白
ガチャッ…
愛白
反射でその身をドア付近の死角に隠した
愛白
愛白
ダンッ
ベリ……
愛白
愛白
愛白
愛白
まさか、黙って見てるの?
役たたず
私は、また何も出来ないの?
目の前で、誰かを死なせるの?
────ドンッ
『愛白サン?!』
『何やって……!!!』
後先だなんて
考えられなかった
ただ、また指をさされてしまうなら
私は、私だって─────
また、倉庫がぼんやりと明るくなる
目の前には、恐ろしくギラついた目で私を睨みつける
───1人の、騎士がいた
愛白
泣きそうな目で、睨み返した
怖い
もう、戻れない
彼の、殺意は────
たった今、私に向いたのだ