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じいちゃんのタイムマシーン

じいちゃんのタイムマシーン

「じいちゃんのタイムマシーン」のメインビジュアル

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第百十話:不完全なタイムトラベル

♥

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2022年08月27日

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ギュィィィィィィン!!

ドンッ!!

明日夢

いってー!!

パソコンに入力した日付は俺の誕生日の前日

行き先に指定した場所は俺の部屋

のはずだった……

でもそこにはベッドも机もなく

明日夢

そうか……

明日夢

まだ何もないんだ……

そこはまるで物置で

無数の段ボールが並べられていて

俺はその段ボールの上に落下したようだ

やはりあのタイムマシーンは不完全だったのか

こんな風に落下したのは初めてだった

明日夢

背中、痛い……

随分と派手な音を立てて落下したのに

誰かが様子を見に来る気配はなく

明日夢

誰もいないのかな?

明日夢

いるけど気づいてないとか?

恐る恐る部屋を出てみたが

家の中は静かで人の気配が全くしない

明日夢

出掛けてるのかな?

そのまま居間へと向かう

ここは未来とほぼ同じ

一部の家具がまだ新しくて綺麗なところを除けば

いつもの俺の家と変わらない

壁掛けのカレンダーの位置も同じ

違うのは年代だけ

明日夢

2014年7月……

予定通り俺は過去に飛ぶことができた

じいちゃんの力を借りずに自力でここまで来たんだ

後は母ちゃんを探して事故現場に行かないように伝えるだけ

カレンダーは19日の所に印があって

数字の下に「入院日」と記載されている

母ちゃんは計画分娩で入院するため病院に行く予定だった

でもその日に予期せぬ陣痛が起きてしまい

駐車場に向かう途中で転倒し車道に倒れた

そこにトラックが……

明日夢

絶対に阻止しなきゃ……

そう思いつつ辺りを見渡す

明日夢

えっと……

明日夢

今日の日付は……

確認のためテレビを付ける

流れていたのは初めて見る情報番組

キャスター

7月19日、こちら江の島のお天気は雨となってしまいましたが

キャスター

土曜日の今日はたくさんの観光客で賑わっています

明日夢

え……

キャスター

東京も明日以降、木曜日まで曇りが続く予報となっていて

キャスター

晴れマークが出るのは金曜日!

血の気が引いていく

明日夢

なんで……

俺は確かに日付を7月18日に設定した

明日夢

なんで!?

それなのに

明日夢

19日って……

タイムマシーンが不完全だったからなのか

実際にたどり着いたのは俺の誕生日

母ちゃんが事故に遭う当日だった

だからこの家には誰もいなかったんだ

明日夢

母ちゃん!!

テレビを消し玄関に走った

エコバッグから靴を取り出し玄関の鍵を開ける

ポケットから取り出した鍵で施錠をして

門を出た所でじいちゃんに出会した

作造

おい!!

作造

今、何をやってた!?

明日夢

じいちゃん!!

明日夢

母ちゃん達は!?

作造

何を言ってる!?

作造

隣の家にどうやって侵入したんだ!?

明日夢

何で……

明日夢

あ……

じいちゃんはまだ何も知らないんだ

十七年後にタイムマシーンが完成することも

今日、生まれてくる俺が

十七年後にそのタイムマシーンを使って

何度も過去に飛ぶことも

琴音

あなた

琴音

そちらどなた?

琴音

お知合いですか?

作造

たった今、隣の家から出てきた

琴音

え!?

琴音

お隣から出てきた!?

作造

鍵を盗んだのか?

まずい……

これじゃあ俺はただの不審者だ

いったいどうすれば……

琴音

とにかく警察に!

作造

今すぐ連絡して!

明日夢

ちょっと待って!!

明日夢

あの……

明日夢

タイムマシーン……

明日夢

作ってますよね?

琴音

タイム……マシーン……?

作造

な、何を言ってる!

明日夢

全部、知ってるんだ

明日夢

だって俺は……

明日夢

じいちゃんのタイムマシーンでここに来たんだから

作造

君は……

作造

いったい……

明日夢

明日夢です

明日夢

中崎明日夢

琴音

明日夢って……

作造

そうか……

作造

君は……

明日夢

母ちゃんはどこにいるの!?

おばあちゃんはずっと驚いた様子で俺を見ていた

でもじいちゃんは黙って頷いて

作造

駐車場に向かった

明日夢

ありがとう!!

握りしめていたキーホルダーをポケットに入れて

駐車場に向かって全速力で走った

琴音

ねぇ、あなた……

琴音

今の男の子が持っていたキーホルダー

琴音

愛紗ちゃんが持っていたのとそっくりだったわ……

琴音

それにあの子の顔……

琴音

タイムマシーンって何なんですか?

作造

そうだな……

作造

何から話せばいいのか……

初めて通る十八年前の道

でも見た目は俺の時代と変わらない

殆どの家は十八年後も残っていて

俺は毎朝この道を通って学校に通うことになるのだ

そんな道の途中……

明日夢

(父ちゃん!!)

家の方に向かって走る父ちゃんとすれ違った

何か忘れものでもしてしまったのか

明日夢

だから母ちゃんが一人に……

明日夢

急がないと!!

駐車場に向かって再び駆け出す

焦る気持ちをぐっと堪え

俺は走るスピードを速めた

じいちゃんのタイムマシーン

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