2167年 某所
リン博士
ついに…ついにできたぞ!
リン博士
人々がSFの中でしか実現出来なかったタイムマシンを!
助手
開発から20年…ようやくですね
助手
最初は馬鹿げていると周りから指を刺されていましたが、今となっては彼らの反応が楽しみです。
リン博士
これから性能を高める為にどんどん開発を進めていくよ
助手
ところで先生
助手
このタイムマシンはどのような仕組みで時間を操作するのですか?
リン博士
元々時間は一定に流れるものではなく、物体の人の速さや動きで微妙に変わるんだ
リン博士
これを応用したのがタイムマシンでね、光速に近い速さで瞬間的に動く事によって時空を行き来するのだよ
助手
そうなんですねぇ
リン博士
あぁ…これで生涯の目標が達成出来る!
助手
その目標は確か…
リン博士
戦争の撲滅だよ
リン博士
今は科学至上主義だからねぇ、どんどん技術は進んで行った
リン博士
人々はますます豊かになりたいと思い続けて周りの環境を破壊し尽くした。当然ながら水や草、大気はことごとく汚染されていった
リン博士
資源の枯渇に悩んだ各国家は他の国から奪うしかないと思った矢先、行ったのは激しい戦争だった
助手
先生の両親もそれで亡くなったのですよね…
リン博士
そうだ
リン博士
だが私は親を殺した奴は憎まない。代わりに悪を憎み、戦争を無くして平和な世の中にするのだ
リン博士
その為に私は今までずっと研究を続けていったのだ
リン博士
これで世界を平和に出来る!
数ヶ月後
リン博士
いよいよだな…
リン博士
リョウよ、準備は大丈夫か?
助手
はい!
助手
しかし、どうやって目的を果たすのでしょうか?
リン博士
過去を変えるのだ
リン博士
今から100年程前、核兵器を威力を上回る新たな兵器が開発された
リン博士
その後、この兵器の開発をきっかけに科学技術はうんと伸びて科学至上主義の世の中になったんだよ
リン博士
だけど、この風潮が現在の戦争の元凶となるものでね、長い間沢山の人間が死んだ
リン博士
だから私達はこれから新兵器の開発を阻止するのだ
助手
阻止って事は…
リン博士
研究室にある兵器の設計図を焼き払う
助手
えぇっ!
助手
焼くってことはそこにいた人々はどうなるんですか!?
リン博士
安心しろ
リン博士
100年前と言えどセキュリティは厳重だ
リン博士
例え焼き払った所で大事にはなるまい、直ぐに鎮火されるであろう
リン博士
あの兵器は偶然の産物らしい、だから設計図を焼くだけで十分だ
助手
そ、そうですか
助手
(何だか平和主義の先生にしては大胆な行動だな…)
リン博士
では、行くぞ!
リン博士
100年前の世界へ!
僕達の乗るタイムマシンは唸るようにして起動した
助手
うぅ…
助手
ここは…
リン博士
当時の新兵器開発研究施設の中だな
助手
え?ということは…
助手
僕達無事にタイムスリップ出来たんですね!やったー!
リン博士
しっ!
リン博士
見つかったらどうする!
助手
す、すいません…
リン博士
とにかく例のブツを焼くぞ
助手
はい…
リン博士
あった、これだ
助手
案外早く見つかりましたね
リン博士
周りに人がいなかったのが運が良かった
リン博士
何せこの日の為に当時の資料や情報を入念にかき集めたのだから
リン博士
もし他の人に見つかったら大変だ、早く燃やそう!
助手
はい
僕達は大量の設計図にガソリンをかけた、そして
リン博士
着火するぞ、急いで離れるんだ!
リン博士
(これで…)
リン博士
(未来を、変える…!)
先生はお手製の時限式発火装置を研究室に放り投げた
リン博士
爆発するぞ、逃げろ!
助手
分かりました!
リン博士
さあ、早く乗るんだ!
助手
はい!
リン博士
ええと行先は…
リン博士
2167年…
ドゴォォォン
研究者
何事だ!?
研究者
A棟で爆発だ!
助手
不味い、研究室が爆発した!
リン博士
分かってる!
リン博士
さあ、行くぞ!
こうして僕達の乗るタイムマシンは元の時代へと帰った
リン博士
よし元の時代に帰れた…
リン博士
リン博士
ここは…!?
周りは当たり一面焼け野原だった
リン博士
何故だ?
リン博士
間違って違う時代に来てしまったのか…
助手
いいえ、今は2167年で合ってますよ…
リン博士
リョウ?
リン博士
リン博士
ど、どうしたんだ!?
助手の体は色付きセロハンのように透けていた
助手
先生……
助手
僕の祖父は
助手
兵役時代に新兵器を使った戦地で祖母と出会ったんですよ……
助手
言うなれば、新兵器を使わなければ僕は生まれなかったんです…
助手
だから新兵器の無い世界になってしまっては
助手
僕の存在は
リン博士
リョウ!
リン博士
でもどうしてだ!
リン博士
新兵器が無くなったということは…
リン博士
長年続いた戦争も無くなったのではないか!?
リン博士
なのにこの惨状は一体
助手
確かに新兵器は僕達が焼いた事で無くなりました
助手
しかし、きっと…それに成り代わるような事件や、兵器が、次々と出てきたのでしょう……
助手
きっとこの惨状も…
リン博士
そんな………!
リン博士
い、いやだ
助手
せ、せんせい…
助手
いままで
助手
ありがとう、ござい…
ブツッ
リン博士
!!!
長年連れ添った助手の姿は一瞬にして消滅した
リン博士
リン博士
う…うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
リン博士
過去を!過去を変えても!
リン博士
何も変わらないって言うの!?
リン博士
何故!?
リン博士
私のやった事は一体何だったんだよ!
リン博士
いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!
リン博士
リン博士
はぁ…
リン博士
………過去を変えても良い未来になるとは限らない
リン博士
私はそれを見落としていた
リン博士
悪い未来になる可能性も秘めているのに
リン博士
そのせいでリョウは消えてしまった…
リン博士
やはり未来を変えるには
リン博士
今を変えるしかないのね
リン博士
今から出来ること、何かしら?
リン博士
リョウのためにも何かしなくちゃ
リン博士
早く行動を起こさな…
ブツッ