テラーノベル
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ここは、人々が生まれつき能力を持つ世界。
この世には、病を持つ《患者》、そうでない《健常者》、そして《患者》の病の進行を遅らせたり病を治療したりする能力を持つ《医者》が存在している。
《患者》は生まれた時から特有の病を持ち、 それは《医者》にしか治せない特別なものである。
《患者》は病が進行すると人々を無差別に攻撃してしまう怪物と化し、そうなると《医者》の力でも治すことが不可能である。
時に病を周囲に振り撒いてしまうこともある《患者》は煙たがられ、逆に病を治す能力を持つ《医者》は人々から尊敬された。
そうして、それらによる身分が作られたのである。
これは、病に抗う者達とその戦いの話。
──会議室。
秒針の音だけがやけに大きく聞こえるここで、 一人の男はある者と話し合っていた。
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル。《医者》の男だ。 部下からとあることについて聞かれたのだが、同僚に聞いてくれと突っぱねようとしたのだ。
部下の男は意思が弱そうで、強く言えば何も言わなくなるとミュトスは考えたのだが──。
部下
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル
どういうことか、変なところで粘り強いその男は、未だにその件についてミュトスから聞き出そうとしている。
かれこれ10分ほどはここで格闘しており、もうここまで来ると諦めたらいいのではとミュトスも思ってしまうのだが。
部下
ミュトス・アーテル
部下
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル
あまりにもしつこい男に嫌気がさして、ミュトスが嫌味のひとつでも言ってやろうかと思った時。
ガチャッ……
ノア・アンダンテ
ノア・アンダンテ
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル
部下の男を探して会議室を訪れた青年──ノア・アンダンテが、部屋の中を覗いてから苦笑した。
ノア・アンダンテ
ノア・アンダンテ
部下
部下
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル
男が取り出した書類を一通り眺めたノアは、またもや苦笑しながら話を続ける。
ノア・アンダンテ
ノア・アンダンテ
ノア・アンダンテ
ミュトス・アーテル
ようやくこのやけに粘り強い男から開放されると思ったミュトスは、一人で拳をぐっと握りしめた。
その様子を、男がおかしなものを見るような目で見つめる。
部下
部下
ミュトス・アーテル
部下
ノア・アンダンテ
目の前でとある案件について会話している二人を見ながら、ミュトスはふうっと息をついた。
これで、目の前にあった面倒事は片付いた。
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル
ノア・アンダンテ
部下
諦めの悪い部下に頭を悩まされることにはなったが、何とかあの場からは解放された。
ミュトスが廊下を歩いていると、一人の青年とすれ違った。
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル
ディール・エース
ディール・エース
ミュトスがすれ違ったのは、赤と黒の瞳と燃える炎のような赤い髪が特徴的な青年、ディール・エースだった。
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル
ディール・エース
ディール・エース
ディールは意気揚々といった様子でウインクをしている。
ミュトスはディールに熱狂的なファンが居ると聞いたことがあるのだが、確かにその通りだな、と心の中で頷いた。
ディール・エース
ディール・エース
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル
ミュトスがそう言うと、ディールは笑いながら首を横に振って否定した。
ディール・エース
ディール・エース
ミュトス・アーテル
ディール・エース
ミュトスとディールは、そんな他愛もないことを言い合っていた。
その時──
コツ……コツ……
ミュトス・アーテル
ディール・エース
ミュトス・アーテル
ディール・エース
ディール・エース
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル
先程までの楽しげな空気は一変し、二人の間には張り詰められたような空気が漂う。
コツ……コツ……
コツ……コツ……
廊下のずっと向こう、ほとんど明かりのない暗闇の中に蠢く影を、ミュトスは視界に捉えた。
ディール・エース
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル
ディール・エース
ミュトス・アーテル
ミュトスはショットガンを構えながら、そう淡々と零す。
ディール・エース
ディール・エース
ディール・エース
ミュトス・アーテル
バンッ!
襲いかかってくる怪物に向けてミュトスは発砲した。 弾は怪物に当たり、脳天が撃ち抜かれる。
病に侵され、自我すらも失ってしまった《患者》。それらを楽にするのも《医者》の役割のひとつである。
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル
ミュトス・アーテル
冷静に分析をしながらもミュトスは攻撃を続ける。 怪物達を、これ以上建物の中に入れさせないように。
ミュトスが突然建物に侵入してきた怪物と戦っていたその一方で。
ノアは、会議室で男ととある案件について話し合っていた。 ……そう、ミュトスが先程「管轄外だ」と言っていたあの案件についてだ。
部下
ノア・アンダンテ
ノア・アンダンテ
ノア・アンダンテ
ノアは男にそう微笑みかける。 しかし、男はどこか納得していないような様子だった。
部下
ノア・アンダンテ
ノア・アンダンテ
部下
ノア・アンダンテ
ノア・アンダンテ
ノア・アンダンテ
そう呟くノアの声色はとても優しいもので、その優しさを見た男は一瞬言い淀んでしまう。
部下
部下
ノア・アンダンテ
ノア・アンダンテ
ノア・アンダンテ
──バタンッ!
ディール・エース
ノア・アンダンテ
ノア・アンダンテ
突然会議室の扉が勢いよく開き、肩で息をしているディールが現れた。
そのらしくない彼の様子を見て、心配になったノアは何があったのかを問う。
ディール・エース
コメント
2件
患者…身分……重そうな世界観…めっちゃ好き🫶 怪物…患者のなれ果てとかだったりするのだろうか…🤔真宵さんの小説大好きなので続き楽しみにしています!無理ない程度に頑張って下さい🙌😘