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りんね
りんねは、勢いよく瞳を開いた
車内。魘夢の術によって眠らされていたことを、ようやく思い出す。
りんね
体が震えていた。
でも、迷っている暇はない。傍らで、魘夢の血鬼術に囚われたままの乗客たち。
爆走する列車の中――柱、煉獄杏寿郎が指揮を執っていた
煉獄
全員
炭治郎と伊之助が、車両を駆け抜けていく。りんねもその背を追いかける。
りんね
りんね
りんねは音の波動で鬼の体内をえぐり、車両の骨のような肉片を振動で砕いていく。
りんね
月の弧を描く斬撃が空を裂いた瞬間、りんねの心に違和感が走った。
りんね
足を止めかけ、目を見開く。
りんね
刃は確かに自分が振るったもの。、
でも、動きも構えも、まるで誰かの記憶に導かれるようだった。
りんね
けれど、その疑問を断ち切るように、炭治郎の叫び声が飛んでくる。
炭治郎
りんね
今は考えている暇なんてない
ただ一つ分かるのは、この“呼吸”が――自分の中に確かに刻まれているということだった。
伊之助
伊之助
伊之助が獣の呼吸で突撃した。
伊之助
伊之助が鬼の肩を裂き、善逸の一撃が心臓近くを貫く。その隙を――
りんね
刃が爆ぜるように弾け、りんねの攻撃が決定打となって、鬼の首が地面に転がった。
魘夢の断末魔が響き、列車はついに脱線し、大地を切り裂いて停止した。
――だが、終わりではなかった。
まだ夜が明けない空。青黒く染まる空の下。
煙の中から静かに、しかし確実に、それは歩いてきた。
?
そう口にした男――猗窩座は、異様な静けさとともにそこに立っていた。
煉獄は即座に前へ出る。炭治郎、善逸、伊之助、そしてりんねを守るように、炎柱の風格で。
煉獄
りんね
りんねが震える声で言った
何かが違う。目の前の男からは、これまでの鬼とはまったく異なる“底知れなさ”があった。
猗窩座と煉獄の戦いが始まる。
その速さは、炭治郎たちには目で追うのがやっとだった。衝撃波が地面を裂き、炎と氷のような気配がぶつかり合う
煉獄の一撃は、まっすぐで、揺るがなかった。
煉獄
りんね
その姿が、夢の中で現れたあの男と重なった
りんねの中に眠る、月と音の呼吸。それが静かに、目を覚まそうとしていた。
たとえ体が傷つこうとも、彼の心は折れなかった。
りんね
りんね
煉獄
りんね
煉獄
その言葉は、炎のように熱く、しかしどこか、静かな覚悟を孕んでいた。
りんねが煉獄さんの元へ走ろうとした瞬間、
爆音が響いた
猗窩座の拳が、煉獄の腹を貫いた。
りんね
炭治郎
炭治郎が絶叫する
猗窩座
猗窩座は逃げた。光を嫌って森へと飛び去っていった。
残されたのは、深く座り込む煉獄杏寿郎。
膝の上に、鮮やかな血が流れていた。
りんね
泣きながらそう言う
煉獄
りんねは、ただその手を握った。
煉獄は微笑んだ。
煉獄
煉獄
炭治郎
煉獄はゆっくり首を振る。
そして、炭治郎、善逸、伊之助、りんねへとまっすぐな眼差しを向けた。
煉獄
その瞳は揺らがず、どこまでも温かかった
煉獄
煉獄の目が、一瞬、りんねに向く。
煉獄
りんねはハッと息をのんだ
りんね
煉獄はかすかに頷いた
煉獄
煉獄
と言って、りんねの涙を指で拭いた
りんね
そして、最後に――
煉獄
そう言い残し、煉獄杏寿郎は静かに、微笑みながら目を閉じた。
煉獄
空の彼方に昇る朝日が、煉獄の体を黄金に染め上げていった。
4人は、涙を流しながら、その場から動けなかった
炭治郎の声が、優しく胸に届いた
炭治郎
炭治郎
善逸は、涙をこらえきれずに嗚咽を漏らしながらも言った。
善逸
伊之助
伊之助が叫ぶ。だが、その声も震えていた。
伊之助
その言葉を聞きながら、りんねの胸に、どっと熱い何かが押し寄せた。
りんね
震える声で、吐き出すように言った
その瞬間、ぐらりと世界が揺れた。
りんね
足元がふわりと浮くような感覚。目の前の景色がぼやけていく
炭治郎
炭治郎が驚いて駆け寄る。
伊之助
伊之助の叫びも、遠くなっていく。
善逸
善逸の泣き声が重なる。
りんね
そう言いかけた言葉は、最後まで届かず、りんねの身体はふらりと崩れ落ちる。
炭治郎
炭治郎が抱きとめたその時、彼女の瞳は、そっと閉じられていた。
炭治郎
伊之助
炭治郎
炭治郎の声が、涙で滲んでいた。
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