翌朝───
私は英貴を仕事に送り出した
しばらくすると玄関のドアが開いた
武谷 善子
おはよう
頼 倖菜
( なんで…
武谷 善子
なんで?って顔してるね
頼 倖菜
いえ…
武谷 善子
紬ももうすぐ来るよ
頼 倖菜
はい
武谷 善子
子供と連絡とってるの?
頼 倖菜
取ってますよ
武谷 善子
今は学校?
頼 倖菜
そうですね
武谷 善子
会いたいでしょ
頼 倖菜
まあ…
武谷 善子
帰りな?
頼 倖菜
えっ…
武谷 善子
バス代出すからさ!帰りなよ
頼 倖菜
でも…
武谷 善子
英貴には昨日の夜話して納得したから
頼 倖菜
( 昨日の夜?あの長電話でってこと?
武谷 善子
子供も待ってるよ?帰ってくるの
ガチャ──
紬姉も来た
武谷 紬
話した?
武谷 善子
今話してる
武谷 紬
ゆきちゃん!涼星と遊んでて思い出さない?
頼 倖菜
思い出す…
武谷 紬
会いたくなるでしょ!
頼 倖菜
うん…
武谷 善子
私も親だからさ、子供手放しちゃダメだよ?
2人に説得され帰ることを決めた──
それと同時に英貴に怒りを感じた
母親に言いくるめられ私を帰すと決め それを自分の口から言わず母親と妹を使って言うなんてと、
その日の夜───
英貴の母親にバス停まで送ってもらいバスを待った───
武谷 善子
英貴も見送りに来るって言ってたから
頼 倖菜
はい
しばらくして英貴が来た
武谷 英貴
ゆき
頼 倖菜
……
武谷 英貴
ごめん…
頼 倖菜
……親の言いなりになってれば?
腹が立って仕方なかった
武谷 英貴
ごめん…
すぐにバスが来て私はバスに乗り込んだ
早く英貴から離れたかった
夜行バスで新潟に帰る───
帰りのバスの中で和真にLINEをする
頼 倖菜
明日の朝迎えに来て?
頼 和真
何処に
頼 倖菜
いつものとこ
頼 和真
何時?
頼 倖菜
何時に来れる?
頼 和真
何時でもいいよ
頼 倖菜
じゃあ9時
頼 和真
わかった
頼 倖菜
うん
和真に迎え来てもらい家に向かった
頼 和真
帰らないんじゃなかったのか?
頼 倖菜
そのつもりだった…
頼 和真
帰ってきてんじゃん
頼 倖菜
美桜いるし…
頼 和真
ふーん
5日ぶりの我が家、何処が落ち着く
頼 美桜
ママおかえり~
頼 倖菜
ただいま
5日も家を空けたのに何も無かったように迎えてくれる娘───
私はこんなに大事な娘を置いて言ったんだと改めて後悔した
そして、帰ってきてよかったと思った
武谷 英貴
ゆき?
武谷 英貴
家着いたか?
英貴からLINE───
頼 倖菜
うん
武谷 英貴
ごめんな…
武谷 英貴
こうするしかなかったんだ
頼 倖菜
別に
武谷 英貴
別れたいなら別れてくれて構わない
頼 倖菜
別れたいなんて言ってないじゃん
武谷 英貴
うん