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澤本君はあの発言をなんとも思っていないようでいつも通り
そりゃそうだ。だって澤本君は先輩の事がまだ好きなんだから
それにくらべてあたしはひよりちゃんたちのせいで変に気にしちゃって、多分変な奴になっている
それについて何も澤本君は触れてこないのが唯一の救いだけど
そんなこんなでバレンタインまで残り二週間をきりそうになっていた
ということはあたしが澤本君を変に意識して二週間もたったということ
すぐそんなの消えると思っていたのに消えるどころか、ますます気になってしまっている
なんでだ。あたしはこんなことなんてしている暇なんてないっていうのに
蓮
花奏
チョコレートを食べていたはずの澤本君の視線の先にはブレスレッドが
花奏
花奏
蓮
こういう話をしていると緊張しなくて済む
花奏
蓮
それつけている意味ある?なんてあきれて笑う澤本君
花奏
花奏
花奏
蓮
蓮
花奏
蓮
花奏
蓮
そうだった。忘れてた
うちの学校は学年末は一年分の復習のテストだから、一学期にやったことの思い出さなくてはいけない
それに点数があまりにひどいと留年にもなりかねない
花奏
蓮
蓮
このムカつくほどのきれいな笑顔にさらにイラっとする
だったら、あたしだって仕返ししてやる!
花奏
花奏
蓮
花奏
肘でほらほらーとつつくとだるそうによけてまたチョコを食べる澤本君
こんなことで先輩を出すなんてあたしも相当ひどい奴だな、なんて思うけど澤本君が優しくとらえてくれてよかった。なんて
蓮
ピシッ!!
こうしてせっかく緊張なんて忘れていたのに蓮の一言で、緊張レベルがMAXにあがった
今日は日曜日
澤本君にはいろいろお世話になっていたから、そのお礼ということでならチョコを渡せると思った。
よくよく考えてみたら、誕プレももらっているし
失礼な本は一応大切に本棚にしまっている
だって高校生活のうちに彼氏は欲しいから
街のあちこちにバレンタインの特設コーナーが設けられていていた
どこもかしこも赤色一色。そこに群がるのはいつも女の人ばかり
ほんとに男子ってずるい!
確か去年は澤本君たちは二桁も後半くらいもらっていたってひよりちゃんに聞いたけど、みんな律義にはお返しはしていなかったらしい
だって澤本君には先輩がいたしそれに、ひよりちゃんの事だからみんなのそういうことは意外と鋭いし
とりあえず特設コーナーに立ち寄りみんなが見ている手作りチョコの本を手に取った
澤本君のおかげで、料理の腕は大分上達したからどんとこいだ
パラパラとめくっていると隣で本を広げている女の人からふんわりといい匂いがした
やっぱり大学生のお姉さまは違うなあ
細い手足を私たちとはちがって見せびらかすわけじゃなく控えめにしているし、それでもわかるくらいスタイルのいい人
それにこの人顔もきれい…
花奏
そこで声が出た
その人がこちらに顔を向ける
橋本先輩
それは橋本先輩だった。学校での印象とは全然違って気づかなかったけど
私服になると大学生にしか見えない。 いつもきれいなストレートヘアーは緩く巻かれていてとてもきれいだ
橋本先輩
見とれているあたしに先生は恥ずかしそうに本を置いた
バレンタイン本ってことは…
花奏
浮気のほうじゃなくて本命の彼にですか?
橋本先輩
橋本先輩
花奏
今見ていたのは手作りチョコの本…
あたしの視線に気づいて先輩は慌てて言葉を付け足した
橋本先輩
先輩のそのはにかんだような、困ったような笑顔になぜか
なぜか…!
…胸がぎゅっと苦しくなった
橋本先輩
橋本先輩
先輩はバツが悪くなったらしく、赤い顔のままあたしに手を振っていなくなった。
あたし今どんな顔してる?
なんでこんなにも胸が苦しいの?
ひゅーっと強い風が吹いた
もしかして先輩は澤本君のことが忘れられていない?
それがたとえ浮気関係でも今もまだ先輩の心の中には澤本君が残っている
あたしは子供で恋もしたこともないから、別れたのは好きって気持ちがなくなったからとか浮気の罪悪感とか思っていたけど
2人のことはもっとあたしなんかが理解できないほどの事情があったのかもしれない
先輩と澤本君はどんな形であれ付き合っていた。浮気なんていつか絶対に終わらせなくちゃいけないってわかっていたはずなのに
それでも2人はともに過ごすことを選んだ
それくらい強い思いで結ばれた
でも……
きっと2人には特に先輩には先輩にしかわからない葛藤があって2人は離れ離れになってしまったのかもしれない
それでも2人は強く思い合っている?
蓮
開いていた小説の文字を見つめたまま、あたしは瞬きすらできずにいた
今日もいつも通り空き教室で座談会
今日は月曜日
バレンタインまであともう少し
それにテストも近づいてきている
花奏
顔は上げられないまま澤本君に返事をする
蓮
蓮
蓮
蓮
澤本君はあたしが元気ないときはすべてこの理由だと思っている
でも今はむしろ都合がいい
なんの関係もないあたしが二人のことで勝手に落ちこんでいるなんて知れたら、それは面倒だ
花奏
花奏
平然を装って口を尖らせた
蓮
澤本君は鼻からそういう
蓮
蓮
花奏
澤本君の何もかもをばかにしている感じ、あたし大っ嫌い
花奏
蓮
花奏
蓮
花奏
蓮
蓮
澤本君の声のトーンが低くなってあたしは生唾を飲み込んだ
しまった!
また口が滑って余計なことを言ってしまった
花奏
花奏
震える唇で言った
澤本君は目を伏せて
蓮
といっただけで、それから2人は会話はなかった
そして澤本君はそのまま倉庫に向かって行った