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るるくらげ
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空に唱えてみる
しかし返事はない
初めてあの魔法使い
鷲尾祐也に会ったのは 私が高校生になりたての時だった
眩しかった
あの魔法使いは
と言っても
彼は 綺麗なドレスは出せない
札束の山も 豪華なお城も出てこない
ファンタジーな魔法使いとは 根本的に違う
ただ彼は私を 幸せにすることができるんだ
辛い時は悲しみを 半分こにしてくれる
嬉しい時は その嬉しさを分け与えてくれる
困った時はさりげなく 救いの手を差し伸べてくれる
そして
私を毎回笑顔にする
でも彼は
私も魔法使いだと 言ってくれた
辛い時はお前から いつも助けられている
嬉しい時は もっと嬉しくなる
世界に色がついて 沢山のまだ見ぬ世界を見れた,と
…やっぱりダメだ
何度唱えても 彼は蘇らない
事故で帰らぬ人となって これで1年が過ぎる
私は誕生日だった
でも…彼がいないと 私は色が抜けてしまった花のよう
一緒に悲しみも 嬉しさも 楽しさも分かち合う人がいない
なんだろう… この紙切れ
よぉ
まずは誕生日おめでとう
高校1年で クラスが一緒になった時
最初は 「陰気な女だ」
なーんて思ってたけど
今じゃお前なしじゃ俺は 生きれないよ
もう気づいているかもしれないけど 俺はアルツハイマー認知症です
なんで誕生日の日にいうの!? って感じだよね ごめん
でもお前となら 乗り切れるんじゃないか?って
勝手に思ってたんだわ すまんせん(笑)
でもね
やっぱり忘れるものは忘れるし 覚えられないものは覚えられない
でも大丈夫
根拠はない
でも俺には魔法使いがついてるから
瞳
どうかこれからも よろしくお願いします
PS プレゼントは瞳の部屋の ベッドの下
わたしは自分の名前が 瞳ということまで忘れていた
急いでベッドの下を見ると
真紅に染まった ルビーの指輪があった
魔法なんて使えないし 使わなくていい
だからお願い
生き返って…
コメント
7件
悲しいお話でした。
切なくて優しい物語ですね
読みました! お互いが魔法使い、確かにその通りだなぁと思いました🤔 そして最期まで、彼は魔法をかけ続けたんですね... とても良いお話でした!