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カエデ

……ウソ

カエデ

どういう事なの、なんで!

カエデ

アイツの作品のコメント欄、アイツの擁護(ようご)ばっかりになってるの!?

カエデ

どうりで最近、皆の反応が悪いと思った!こういうことだったんだね!?

ももばの例の投稿から、3日後。

カエデを待ち受けていたのは、『元通り』になりつつある、本物の桔花のアカウントとその投稿だった。

それでいて、カエデの作ったなりすましアカウントのフォロワー達は、既(すで)に半分以下。 それどころか何人かは、アカウントごと消えている始末だ。

カエデ

なんでよ、せっかく上手くいっていたのに!

カエデ

まず、セラーノベルの有名作者達が、そろって桔花と仲直りしてるのがありえない!

カエデ

せっかく私が敵として用意してあげたのに!なんで潰し合わないわけ!?

カエデ

おかげですっかり調子乗ってるよ、アイツ!コメント返信まで復活させてるし!

カエデ

相変わらず人気者気取りで、マジでムカつくんだけど!

なによりカエデを苛立(いらだ)たせたのは、桔花の調子が戻ってきただけではない。

桔花フォロワー

このなりすましの人も可哀想だね

桔花フォロワー

ちょっと上手くマネが出来たからって、調子に乗って……歯止めが効かなくなっちゃったんだね

桔花フォロワー

いつかは自分がやっていた事がバレるのに、頭が回らなかったんだ?かわいそ

桔花フォロワー

こんな事をしたら嫌われるってこともわからないのかな

桔花フォロワー

他人を貶(おとし)めて、自分が繰り上げ式で上に立ったって、実力じゃないんだから、意味ないのに

カエデ

んぐぐぐぐ……っ!またお気持ちコメントが、私のなりすましアカウントに付いてる!

カエデ

マジで何勝手に哀(あわ)れんでるの、コイツら!

カエデ

人の事平気で決め付けられるくらい、アンタらって偉(えら)いわけ?

カエデ

しかも、私が必死にやったこと、全部台無しにしておいて!?そのセリフがよく吐けたよね!!

カエデ

こうなったら全員、この私を馬鹿にしたこと、絶対に後悔させてやる!

カエデ

まずは桔花のフォロワーで、愚(おろ)かにも堂々と私に敵対した、ももばからだよ!

カエデ

二度とSNSで文章を書くことが出来ないように、ボッコボコにしてあげるんだから!

カエデ

カエデ

ああ、安心して?偉そうなアンタらも、ももばの片手間で相手してあげるからさ

カエデ

メインディッシュの桔花は、ももばが潰れたらのお楽しみ!

カエデ

まずは作戦を立てるために、相手のことを調べないとね!

カエデ

さあて、ももばってどんなヤツなのかな〜?

相手のフォロワー数を削(けず)るのは、カエデの常套手段(じょうとうしゅだん)だ。

カエデは早速、ももばの投稿一覧を開いく。

この中でなにか攻撃出来そうな材料……誰かの悪口や不満があれば、それをやたら大袈裟(おおげさ)に、大事(おおごと)にして、周りに言いふらすのだ。

それだけで、信頼は揺(ゆ)らぐ。 カエデはそう信じて疑わない。

カエデ

『このももばと言うやつは、皆にああ言っていた裏で、人の悪口をこんな風に書くような人です!』

カエデ

『本当に、この人のことを信用していいんですか!?』って、私の本アカ……むぃぷるに言わせてみる?

カエデ

いいかもね、それ!

カエデ

こんなのが広まったら、ももばも慌てるでしょ!

カエデ

さて、それに使えそうな発言はあるかな〜?

カエデ

カエデ

ん?あれ?

カエデ

出てこないな……?

カエデ

相互フォロワー限定公開なのかな?

カエデ

だとしたら、桔花のなりすましアカウントで見れるはずなんだけど……うーん

カエデ

あの呼びかけの投稿と、コメントの返信でお礼を言っている以外、なにも出てこない

カエデ

え、不気味すぎる……

カエデ

カエデ

はっ!?そ、そういう事!?

カエデがふと、気付いた事。

それは、このももばのアカウントも、誰かのサブアカウントではないか?という事だった。

現にももばのアカウントは、アイコンこそデフォルトのものでは無いものの、プロフィール欄はデフォルトのまま。

明らかに、桔花の擁護の為だけに作られたアカウントである……のは、目に見えて明らかだった。

カエデ

だとしたら、意味ないじゃん

カエデ

いくらこれでももばを攻撃しても、アイツを黙(だま)らせても……

カエデ

別のアカウントを作れば、またやり直せる

カエデ

だって、他ならぬ私がよく知ってるもの

カエデ

通報されて、ペナルティとしてアカウントが消えても……

カエデ

セラーノベルは何のお咎めなく、垢転生できる

カエデ

それを知っているから、私はなりすましの手段に出たんだよ?

カエデ

でも、それを知っていたのは私だけじゃなかった!

カエデ

アイツだって、それを知って、同じことをしているんだ……!

カエデ

ならさ、私の本アカでももばを攻撃したら、逆に目立つよね?

カエデ

むぃぷるがなりすましアカウントの作成者……って、バレるかもしれないよね?

カエデ

だって問題の人を庇(かば)うなんて、その人の仲間にしか見えないもの!

カエデ

あっぶな、やらなくて良かった!

カエデ

もしもこのなりすましアカウントの『中の人』がむぃぷるだってバレたら……!

カエデ

私の方がセラー作家として終わる!

カエデ

カエデ

なら、このなりすましアカウントを、一旦消す?

カエデ

そんなの1番ダメ!

カエデ

そんな事をしたら、今までやって来たことが全部無かったことになる!

カエデ

そんなことは許せない

カエデ

なら、大人しく、騒動がおさまるまで待って……?

カエデ

いや、こんなことでビビってたらダメじゃん!?

カエデ

よく考えて、私!

カエデ

ももばとその本アカを削除できたら、まずは勝ちなんだよ?

カエデ

だったらもう少し慎重になって、準備万端(じゅんびばんたん)になったら仕掛けよう!

カエデ

でも、どうやって……?

カエデ

どうやって、ももばを倒そう?

カエデ

ももばには、誰かを攻撃するような書き込みが全くないのに?

カエデ

それに私はアイツに直接何かをされたわけじゃないから、通報しても嫌がらせとして処理されるに違いない

カエデ

何より、運営はろくに動かない!

カエデ

そうでなきゃ、これだけ私が好き勝手しているのに、なりすましアカウントが残っているわけがない!

脳裏(のうり)にチラつく、詰みの二文字。

だがカエデはそれを振り払うように首を振った。

カエデ

いーや、まだ諦(あきら)めないもんね!

カエデ

だって私ならできるはず!

カエデ

今までだって、桔花を相手にうまくいってたじゃん!

カエデ

こんな簡単に負けを認めちゃうなんて、私らしくない!

カエデ

大丈夫、必ずどこかに弱点はあるはず!

とは言うものの、事実ではあるのだ。

ももばに繋がる手がかりが、カエデの目の前にない、という事だけは。

カエデ母

かえちゃーん?

カエデ母

そろそろ学校に行かないと、遅刻するよー?

カエデ

うん……

カエデ母

カエデ母

どうしたの?元気ないね

カエデ母

昨日は普通だったのに……

カエデ

別に、なんでもないよ

カエデ母

カエデ母

でも、心配だな

カエデ母

かえちゃんのママにはかえちゃんのこと、なんでも話して欲しいって思うの

カエデ母

だから何か悩んでるなら話してみて?

カエデ母

私で良ければ相談に乗るから……

カエデ

うるさいな!もうほっといてってば!

カエデ

今日は学校行かない!

カエデ

勉強なら自分でやるから、ママは学校に連絡しといて!

ドア越しに叫ぶと、カエデはそれっきり何の音も立てなくなった。

普段(ふだん)とは違う様子の娘に、カエデの母は小首を傾(かし)げる。

カエデ母

かえちゃん、大丈夫かな……?

カエデ母

お昼にもう一度、聞いてみようかな

カエデ母

カエデ母

……いや、この場合、むしろ何もしない方がいいかもね?

カエデ母

あの子も年頃だし、親と話したくない、ってだけかもしれないもの

カエデ母

後は……受験のストレスかな

カエデ母

無理させちゃったんだとしたら、しばらく勉強はお休みにしないといけないね

カエデ母

カエデ母

さ、まずは学校に連絡しないと!

あっという間に気を取り直して、カエデの母親は朝の家事へと戻る。

まさか今、その扉の向こうで、我が子が震えている事に気付かぬまま……

カエデ

どうしよう……どうしよう!

カエデ

考えても考えても、何も浮かばないよ……!

カエデ

だってアイツら、ガチなんだもん!

カエデ

カエデ

ガチになって、私の本アカの特定を始めてる!

カエデ

本アカばかりじゃない、私の『個人情報』を探ってるヤツもいる!

カエデ

本当に何考えてんの!?

カエデ

私は別に、桔花の中の人まで、この世から消すつもりは無いんだけど!?

カエデ

なのにアイツらは、私を消す気満々じゃん!

カエデ

でもこのまま全てを放置したって、解決しない!

カエデ

何が何でも早く、何かを何とかしないと!

カエデ

もうセラーノベルの中だけじゃ、事が済まなくなる!これは確実に言える!

カエデ

でも……

カエデ

カエデ

でも、こんなこと相談できる人いないよ

カエデ

はぁ。どうしてこうなっちゃうかな?

カエデ

私ってそんなに、1番になっちゃいけないの?

カエデ

表彰なんてされなくても良かった

カエデ

賞状だって、トロフィーだっていらなかった

カエデ

自分も何か、ちょっとでいいから、他人に自慢できる何かが欲しかった!

カエデ

あの人が居なければ……桔花が居なければ!

カエデ

私が繰上(くりあ)げ式で1番になって、上手く行ったはずなのに!

カエデ

どうして私の邪魔をするの?教えてよ……

涙の伝うスマートフォンの画面を着け、セラーノベルの通知を開けば、かつての自分のコメントに対する『ガチ』の考察が現れる。

怒れる者

この人、例の被害者さんとの会話で『図工』って言葉を使ってるよね

怒れる者

中学生より上なら、教科名は『美術』に変わるから、これはおかしい

怒れる者

だって、桔花さんは高校生のはずだよね?彼女の受ける教科名も『美術』のはずだ

怒れる者

つまりこのなりすましは、最悪なことに小学生の可能性が高い

怒れる者

世も末すぎる

怒れる者

待って、雑談投稿の中の写真、見て!

怒れる者

多くはどこかのサイトからの無断転載だけど……

怒れる者

ほんの数枚、おそらくなりすまし本人が撮ったと思わしき写真がある!

怒れる者

これなら住んでる地域が特定出来るはずだ!

怒れる者

わかってると思うが、特定しても晒(さら)すなよ!

怒れる者

そうそう!法律違反(ほうりついはん)で、俺達が警察に捕まるからな!

怒れる者

あくまでも、次の被害者が出ないように、俺達で保管するだけにしろよ

こんな投稿が目に見えるにつれて、恐怖は膨(ふく)れ上がっていく。

カエデ

こんな時に、パパやママは全然助けてくれない……

カエデ

相談してって言うけど、全部そのまま話せるわけないじゃん

カエデ

全部話したら、どうせ私を見捨てるに決まってる

カエデ

1番でもなんでもない、私なんか……

カエデ

カエデ

そうじゃん、なんで忘れてたの?

カエデ

私はセラーノベルのモブ作家

カエデ

リアルでも表彰される皆を見つめるだけの、ただの脇役(わきやく)でしかないって

カエデ

でもね、脇役なりに頑張ったよ!

カエデ

誰かに認められるにはまず自分を磨(みが)かなきゃって!

カエデ

皆、揃(そろ)って言うから!

カエデ

それで成功した皆を見てきたから!

カエデ

だから私も、私なりに努力してきたんだよ!?

カエデ

自分だけじゃ、1番に輝けないのは分かってるから、その座を譲(ゆず)ってもらおうって!

カエデ

こういう駆(か)け引きだって、立派な努力でしょ!?なんで認めてくれないの!

カエデ

もう嫌だ!こんなの嫌だ!!

普段(ふだん)の態度とは異なる、悲痛(ひつう)な声が家中に響き渡る。

カエデ母

かえちゃん!?

カエデ母

どうしたの、なにがあったの!?

カエデは理解したのだ。

なりすましなんて、回りくどい事をしてまで得たかったものは、結局手に入らないと。

カエデ

もう誰か助けてよぉ……

カエデ母

うん、助けるから!何があったのか話して!

カエデ

助けて……たすけて……

カエデ

助けてっ……!

カエデ母

かえちゃん!!

カエデの母の懸命(けんめい)な声かけにも、返事は無い。

彼女の頭の中は、母の言葉と温もりよりも、インターネットの冷たい言葉が突き刺さっていた。

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