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先輩も悪い人だと考えてしまう私…
先輩!
架恋
架恋
落ち着きを取り戻して きた私は、
ようやく顔を上げ、 ずっと寄り添ってくれている 先輩に、質問した。
苑原先輩は、私の背を 撫でる手を止め、 答えてくれる。
苑原
苑原
苑原
苑原
苑原
苑原
苑原
苑原
架恋
架恋
私は何気なく、そう返した。
苑原
しかし苑原先輩は、 ばつが悪そうに 目線を逸らしてしまった。
架恋
架恋
私はようやく、
自分の何気ない言葉が、 どういう意味を持って しまったのかを悟る。
架恋
苑原
沈黙を破ったのは、 開け放しのドアから 戻ってきた、警察の人だった。
彼らは拘束した山名先生を、
部屋の外へと連行して 行っていたのだ。
苑原
警察の人が署に向かうと 告げ、先輩が返事をする。
私は先輩の手を 借りながら、ベッドから 降り立ち上がった。
架恋
慌てて胸元をかき寄せる。
架恋
私のシャツは、前が はだけてしまっていて、
下着姿が露になって しまう……。
架恋
苑原
先輩が、私にかけてくれた 制服のブレザーの襟を 立てるようにして、
胸元を隠してくれた。
架恋
苑原
苑原
架恋
架恋
苑原先輩が優しい人 だって、私はもう、 わかっていたのに。
それなのに、忠告を 無視して危険な目に 遭った私を、
さらに気遣ってくれる……。
せつない気持ちが 胸に込み上げ、私は瞳に ふたたび涙をにじませた。
苑原
私の涙を見た先輩は、 心配そうに尋ねてくれる。
苑原
架恋
架恋
苑原
苑原
苑原
架恋
警官に促され、 覆面パトカーに乗り込んだ 私は、
そっと、隣に座る先輩を 見つめる。
――滑らかな頬のライン、 形のいいくちびる……。
思えば、今までまともに 先輩と向き合おうと しなかった。
イケメンでチャラ男だと、 遊び人だと言われている 苑原先輩だけれど、
繊細な気遣いに溢れる、
とてもとても、優しい人 ――……。
架恋
架恋
架恋
私は先輩をしっかりと 見つめ、微笑んだ。
――この人を、この優しい 先輩を、少しでも安心 させられますように。
少しでも――感謝の気持ちが 伝わりますように……。
苑原
そして、 私を見つめ返す先輩もまた、
眉を下げ、小さく微笑んで くれたのだった。