〝この出会いは偶然だったのか〟
〝それとも運命だったのか〟
〝馬鹿馬鹿しいけど、僕は〟
〝運命なんじゃないかと思った〟
〝貴方に出会ったことで〟
〝信じてみようと初めて思えた。〟
葉山
おはようございます、三国さん
三国
おはようございます
三国
初めてですね。
葉山さんの方から声を掛けてくれたのは。
葉山さんの方から声を掛けてくれたのは。
三国
嬉しいです
葉山
いえいえ、そんな
葉山
……今日は、三国さんに訊きたいことがあって来ました
三国
……なんでしょう
葉山
ずっと気になっていました
葉山
なぜ、初めて会ったとき、僕の名前を知っていたのか
葉山
僕のことを、そんなに知りたがるのか
葉山
僕が書いた小説を読んでいる貴方が
葉山
偶然、ナンパをしたなんて思えませんでした
葉山
三国さん、教えてくれませんか
葉山
貴方は──僕のことを知っていましたよね
三国
……やっぱり、無理でしたね
三国
私の演技、詰めが甘すぎでした(苦笑)
そこまで分かってしまっているのなら、
話すしかありませんね。
そこまで分かってしまっているのなら、
話すしかありませんね。
三国
…葉山さんがおっしゃる通りです
三国
私は以前から、葉山さんのことをよく知っていました
三国
小説家としての葉山さんのことも
一人の男性としての葉山さんのことも
一人の男性としての葉山さんのことも
葉山
──どこかで、会ったことが?
三国
はい。私と葉山さんはずっと昔からの知り合いです
三国
あの日が初対面ではなかったんです
三国
葉山さんは、
事故をきっかけに一部の記憶を失っています
事故をきっかけに一部の記憶を失っています
三国
それも、私の存在だけをさっぱりと
葉山
僕が、忘れている……。
三国
私たちが出会ったのは──15年も前のことです