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徹
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朝日
朝日が少し意味深に呟いた。
櫻子
6月に入るまで、私たちはただ二人で仲良く過ごしていた。
何気ない日常がただひたすら続いていると、すぐ近くまで近づいている死を忘れてしまいそうになる。
最近、朝顔が芽を出し、少しずつ大きくなってきていた。
朝日
朝日がベランダにある朝顔を見ながら呟いた。
朝日
櫻子
朝日
しばらく会話が続かなかった。朝日がこうやって黙るときは何かを隠している時だ。
私はため息をつくと、朝日に話しかけた。
櫻子
朝日は黙っていた。きっとあんまり言いたくないんだろう。
でも私は口を止めなかった。後から知っても手遅れになってしまうかもしれない、それだけは絶対に避けたかった。
櫻子
私は朝日のところに向き直り、朝日の手を強く握った。
私はまっすぐ朝日の目を見た。朝日は一瞬驚いたような顔をしてから、ふっと笑った。
朝日
櫻子
朝日の顔を改めて見ると、目の下にクマができていた。そして、心なしか少しやつれているような気がする。
朝日
朝日が重い口をやっと開いた。
朝日
私は驚かなかった。ただ静かに聞いていた。
朝日
朝日
私は朝日を抱きしめていた。今度ば私が彼女を支える番だ。
朝日
櫻子
紛れもない本心だった。
櫻子
櫻子
私は朝日を包んでいる腕にもっと力を込めた。
櫻子
朝日は目に涙を溜めていた。私は泣きそうになるのを堪えながら、決め手となる言葉を放った。
櫻子
朝日は溜めていた涙を一気に流した
そして、嗚咽を漏らした。
きっと彼女は今、今までに、溜まってきたドス黒い不安を吐き出しているのだろう。
私は静かにその様子を見守っていた。
部屋に静かさが戻ってきた頃、朝日はすっきりとした顔でこう言った。
朝日
櫻子
櫻子
いつも朝日に支えられてばっかりの私からの精一杯の、恩返しだった。