~人形の館~ 異空間
夜桜猫
アマリス
遠く離れた的に向かって 銃を打っていたが、的には あまり当たってないようだ。
夜桜猫
上手く撃てない。)
夜桜猫
当たるんだけど…)
アマリス
アマリス
これだけじゃ
厳しいな。
夜桜猫
持てたけど、
振れなくて無理
だったしね。)
アマリス
投擲武器系か。
アマリス
得意かい?
夜桜猫
夜桜猫
あまりないんだよね…)
夜桜猫
3m未満しか
飛ばないし、)
夜桜猫
アルティメットは
得意でしたね。
夜桜猫
投げるやつ…
アマリス
アマリス
あれがいいかも
しれない。
夜桜猫
アマリス
ないから作るよ。
アマリス
完成させて
事務所に連絡する。
アマリス
投げる練習しといて。
夜桜猫
夜桜猫
なんだろう?)
夜桜猫
任かせて私は
投げる練習をしよう。)
夜桜猫
腕力もね。)
第35話
『思い出』
~???~
PM15:30
四葉
ありがとう。
猫船
急についてきて
ごめんね。
四葉
2人は 小鳥の埋葬を 終えた所だった。
猫船
ここ綺麗な場所だね。)
猫船
咲いてる。)
森が円状に開けた場所に ひとつの湖があり、 周りには色鮮やかな 花が咲いている。
猫船
凄い綺麗…)
湖の水は青く澄んでおり、 神秘的な雰囲気が 感じ取れる。
猫船
綺麗だね。
四葉
その水がここに
溜まってるみたい。
猫船
猫船
この水は
湧き水なんだ。)
四葉
場所なんだ。
四葉
花が咲いてて
四葉
植物や生き物が
元気なんだ。
猫船
猫船
生き物は
いるかな?)
四葉
四葉は池を観察する 猫船の後ろで何かを持ちだし、
上着のポケットから 静かに銀色のナイフを 取り出した。
四葉
猫船
猫船は声を かけられて振り向く。
猫船
四葉
四葉は左手に林檎、 右手に銀のナイフを 持っていた。
猫船
四葉
切った方がいい?
猫船
そのままでいいよ!
猫船は 四葉から林檎を受け取った。
そして、 地面に三角座りで座り 林檎を1口かじった。
猫船
猫船
猫船
りんご好きなの?
四葉
大好きなんだ~。
四葉
昼食後のおやつで
持ち歩いてて、
猫船
四葉
大丈夫だった?
猫船
四葉はまた鞄から 林檎を取り出し、銀色のナイフで 素早く8等分に切り分ける。
そして、 それを墓石代わりの石の前に 長細い葉っぱを置き、 林檎を並べた。
猫船
四葉
四葉
来た時、よく
あげてたんだ…
四葉は少し 俯くようにして言った。
猫船
四葉
いつか必ず
死んでしまう。
四葉
亡くなった悲しみは
…慣れないな。
四葉
いいんだけどね…
猫船
猫船
四葉
猫船
悲しいって
思っていい。
猫船
悲しいって
悪いものじゃないもん。
猫船
そう思えるから
その大切さを感じる。
四葉
猫船
私のおばあちゃんが
言ってたんだけど、
猫船
繋がっていてね、
猫船
心の悪いものも
流してくれるんだ。
猫船
泣きたい時は
泣いてもいいの。
猫船
四葉
四葉
四葉
死を受け止めないと
いけない。
四葉
四葉は納得した様に呟き、 顔をゆっくり上げ、 空を見上げた。
猫船
天国で元気に
してるといいな。)
四葉
帰らないとね。
猫船
お化け出るもんね!
四葉
猫船
猫船
凄い怖い顔してるでしょ…
四葉
テレビの心霊番組は
そうだね。
猫船
お化け大丈夫?
四葉
大丈夫かな?
四葉
出てきたら驚くよ。
猫船
苦手なのある?
四葉
猫船
四葉
真っ暗な場所に落ちて、
足怪我したんだ。
四葉
動けないから
長時間暗闇にいる事に
なったんだ。
四葉
色んな音も色々して
凄く怖くて…
猫船
猫船
四葉
真っ暗な所が
苦手なんだ。
猫船
暗くなる前に
早く帰らないとだね!
四葉
四葉
帰ろうか。
猫船
四葉はまた黒い鞄から 林檎を取り出し、 地面に座った。
そして、二人は楽しそうに 話をしながら、 林檎を食べるのだった。
~猫船の家~
PM17:30
青影
青影は夜桜との 料理の指導を終え、 リビングで一人座っていた。
青影
今日の晩御飯、
どうしようか。)
青影
青影
カレーにしようか。)
青影
肉じゃがだな。)
青影
難しいかったし…)
その時、 青影の手元に何かが当たった。
それは 「おとぎ話集」と書かれた 分厚い本だった。
青影
懐かしい…。)
青影は 分厚い絵本を手に取り、 ページをめくり軽く見る。
青影
色々な話を
1冊にまとめてるのか。)
青影
よく寝る前に
読んでもらってたな。)
清子
幸せに暮らしました。
清子
青影の母親
青影 清子 (あおかげ きよこ)
青影
清子
もうこんな時間
だったわね。
青影
おかあさん。
清子
青影
かっこいい
おはなしききたい。
清子
今日のは
面白くなかった?
青影
清子
清子
恋物語はまだ
難しいわね。
青影
清子
大好きよ♪
清子
それは、 母親自身が作った絵本。
人魚と人間が出会い、 恋に落ち、色んな困難を超え、 幸せに暮らすまでの恋物語。
青影
清子
確かに人魚姫に
似ているけど、
清子
別のお話。
清子
人魚の実話よ。
青影
清子
人魚さんの
話って事。
青影
しってるひと?
清子
どうかしら~♡
清子
もう寝ましょうね。
清子
朝起きれなく
なっちゃうわ。
青影
清子
青影
夜桜
青影
いつの間にか 夜桜がリビングに来ていた。
青影
すいません!
青影
勝手に触ってしまった。)
夜桜
読むのか?
青影
全く読みません。
青影
よく読んでもらった
ぐらいです。
夜桜
青影
夜桜
青影
夜桜
桜が読んでる姿を
見る程度だ。
青影
青影
この本は
猫船さんのか。)
夜桜
夜桜は青影に 白い袋を渡した。
夜桜
おかずが
それぞれ入ってる。
青影
夜桜
大事だからな。
青影
いいんですか!?
青影
青影
夜桜
夜桜
その分、事務所で
しっかり働け。
夜桜
しない程度にな。
青影
青影
青影
申し訳ないな。)
青影
しっかり働こう。)
夜桜
温める時も
弱火からな。
夜桜
中火にしたら
底が焦げるぞ。
夜桜
真っ黒なのは
それが原因だからな。
青影
火が弱いかなと
思うんだよな。)
青影
青影
失礼します。
夜桜
青影
青影
ございました。