なんで私はこの身体なんだろう
手は軽い麻痺があって
声が出ない
そして耳が聞こえない
どうしてこんな風に生まれたんだろう
私は今までずっとこの身体を憎んでた
"今まで"は
おはよう
私は教室に入り指文字で挨拶をする
半数は私の為に覚えてくれた
こういう所は付いているんだなーって思う
でも喋れない
私にいくら友達がいても
その会話には混ざれない
その笑顔の刃が私を襲う
でも全員が友達ではなくて
私が耳が聞こえないことをいいことに
私の愚痴や友達の愚痴をこぼしてくる人もいる
私がいくら耳が聞こえないからって
言ってることが全部分からない訳では無い
聞こえなくても
愚痴を聞けば
私に言葉の刃が降り注ぐ
でも、私にも"恋"をする時が訪れる
耳が聞こえなくても、声が出なくても 手に麻痺があっても
心は変わらない
うれしいという感情もあって 悲しいという感情もある
そしていずれ私も恋がしたくなる
喋れないから『好き』という気持ちが伝わらない
たったその2文字だけで
私がどれだけ苦しめられたか どれだけ悲しんだか
私は好きという気持ちを伝えたくて
喋れるようになる方法や 薬も全て試した
けど効かなかった
私がどうしたらいいんだろうって
悩んでた時に
私が1冊の本を落とした
落とした本のページに写っていたのは
○○の意味
私はとてつもなく気になって
○○の意味のページを全部読み出した
その時に花言葉
というページがあった
そして私は思いついた
これなら彼に気持ちを伝えられるんじゃないか…と
恋の願いが叶うかも!そう思った私は
この本を家に持ち帰った
この花なら…伝えられる!
そう思って私はその花を買いに行った
が
売れ切れていた
また諦めないといけないって思った時
毎回諦めていては意味が無いよ
そう聞こえた気がした
私は顔を自分でパァンと1発叩いて
お菓子その花を作り伝えればいい
そう思った
そして冷蔵庫から小麦粉や薄力粉
卵や砂糖を取り出して
早速取り掛かった
私が作ったのはクッキー
生地作りまでは順調!
あとは形を整えるだけ!
でも
この右手が邪魔をして形が汚い
チューリップをイメージしたのに
ギザギザの紙の切れ端みたい
諦めていては意味が無いよと言われたのに
諦めたくなる
また振り出しだよ
そう聞こえた気がして
フラッシュバックする記憶
お前なんか出来ないんだよ!
障害者はこの世にいらない
ここで諦めてまたバカにされるの?
そう考えると怒りにも似たやる気が出てきた
そうして何時間も、何日もかけて出来たのは
花はギザギザがいらないところまでギザギザしてて
くきはへなへな
葉っぱはぐにゃぐにゃしてて
見た目は汚かった
けどこれが私の中での最高傑作
こんなに汚くても
不味そうに見えても
思いは変わらない
私はこのクッキーを彼に届けに行った
友也
私は友也くんの机に紙を入れ
屋上に呼び出した
そして渡すのは
汚くて醜くて
不味そうなチューリップのクッキー
友也
すると友也くんはクッキーと私を見て
ニコッて笑ってくれた
いいよって紙に書いてくれた
目から水が出てくるのがわかる
諦めて、挫けて、時折挫折したけど
やっと伝えられた
きっとこの喜びをこの世に表せる言葉はない
友也くんは私のクッキーを食べてくれた
チューリップの意味は
愛の告白
コメント
1件
初コメ失礼します! 赤のチューリップですね! いい話だな·····