テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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銃口の先のエンディング

第141話 - 犬猿のコンビ

2025年02月24日

#一次創作

#ファンタジー

#冒険

#殺し屋

#人間関係

#日常

四阿朧

数年前、王宮。

ステイシー

ッチ…マジミスった。ぜってぇこんな王子に屈服したくねえ…！

ライアン

聞こえてる

背後から剣でつつかれ、ステイシーはビクッと揺れる

ステイシー

…あんだよ。必要以上に話しかけてくんな

ライアン

気分だ

そうしてライアンはステイシーがいるにも関わらず、そこに立ったままである

…どころか、椅子に深く腰掛けた

ステイシー

………

ステイシー

側居られると居心地悪いんすけど！！？

ライアン

だろうな

ステイシー

…変……ッ

ライアン

お前は弱いから周りをすぐ威嚇する

ステイシー

ウザ！！

ステイシー

つーか…ならなんで飼ってんすか

ステイシー

早く捨てりゃいーだろ

ライアン

拾ったのは俺だ。今更捨てない

ライアン

弱いが…お前のようなやつが、側に必要だ

ステイシー

ハ？どういう意味だよ

ライアン

表面上愛想はいいが、変で常識はずれで…でもお前は正直だ

ライアン

…

ライアン

お前は地位に興味がないだろうから言うが

ライアン

俺はいずれ、王を殺すつもりだ。

ステイシー

………………ハッ？

ライアン

別に本当に殺そうと言う訳じゃない

ライアン

社会的に…だ

ライアン

俺が王の立場を奪い、アイツのすべて否定し、国を変える

ライアン

あんな王…どうせ庶民にも恨まれてるだろ

ライアン

…お前は俺とアイツ、どっちが嫌いだ？

ステイシー

…俺は

ステイシー

王とは喋ったことねえ！テメーに決まってんだろ！！

ライアン

はは、それでいいんだ

ライアン

だからな───

ステイシー

…っ

ステイシー

（ああ、そんな、言ったくせに）

ステイシー

（俺は今でも…王子のことは、嫌いだ。）

ステイシー

（でも…最近はずっと、自分のことも嫌いだ）

ステイシー

（だってこんなムカつくやつが…）

ステイシー

（もしかしたら本当に、王に値する人物なんじゃないかなんて）

ステイシー

（国を、孤独な民を、救うんじゃないかって）

ステイシー

せっかくちょっとは…信じてもいいかもって、

ステイシー

（こんな嫌いなはずの男に）

ステイシー

（思ってしまうなんて…）

ムカつく言い回しに

ムカつく対応に、ムカつく笑い方

ぜんぶ、ステイシーが嫌いなライアンの特徴だった。

だが

ステイシー

（…っそれでも）

ステイシー

（俺を拾って生かしてくれたのは───。）

ステイシー

…っ

ライアン

…お前今、なんと言った？

ライアンは驚いたようにステイシーを見ていた

ステイシー

っ！

ステイシーはなんだか癪で、ライアンを睨んだ

ステイシー

テメェ…『俺が王になるまでに

ステイシー

お前が俺を信じるようになるなら俺は王になってもいい存在だ』とか…

ステイシー

ふざけたこと抜かしといて、簡単に諦めんなよ！

ライアン

…うん

ライアン

違うんだ

ステイシー

なにが────

すこぶる、調子が狂うのだ。

だって今日のライアンは、ずっと…真剣だ。

ライアン

（イライラした。）

ライアン

（俺に従わないやつに、ムカついた）

ライアン

（でもそれは…アッシャーと同じで）

ライアン

（俺は"血なんて関係なく"あの家の人間なんだと知った）

ライアンが王位を譲ってもらうことに固執していたのには、当然理由があった。

彼が王に"実の子のように育てられたにしても"、"妻であった女の不倫で産まれた"ということは

それは…ライアンを王の座につく者の候補から排除されることを優に示した。

ライアン

（そんな俺が平和な国を率いる王でいいのかと）

ライアン

（ずっと…思い悩んでいた）

ライアン

（だけど国を変えられるのは王で、だから俺が頑張るしかない）

ライアン

（…そう、王になれるのは俺しかいなくて）

ライアン

（それが例え…"王と繋がっていなかったとしても"──。）

ライアン

（悩みは、捨てた。）

ライアン

（だが）

ライアン

（王に挑まず、王座を譲るなんて馬鹿みたいな話を鵜呑みにして）

ライアン

（こうしてコイツらを追い詰めていること…）

ライアン

（正しいのか、分からない、また、分からなくなっている）

ライアン

（これではアッシャーの"実の娘である"アメリアの方が、よっぽど真っ当な人間だ）

ライアン

…ステイシー……

ライアン

俺はもしかしたら、お前になりたかったのかもしれない

ライアン

人当たりがよく、器用で、獣のくせに…俺より人間だ。

ライアン

あんな城で産まれ育ち外を知らなかった俺よりよっぽど…。

ライアン

（俺が敬遠され、媚びを受ける中、お前は）

ライアン

（…お前は、ずっと笑顔に囲まれていた）

ライアン

（宮の人間と打ち解け、慕われていた）

ライアン

ステイシー

…っ、なんだよ！

ライアン

お前のこと…嫌いだ、今でも。

ライアン

だから俺を…殺せ、どうせならお前が。

アメリア

！

ライアン

（…俺は王になれる器じゃなかった。）

ライアン

（そのことを思い知らされただけだ）

ライアン

（だから、表向きにこの国の王家の血は…ここで終わったと民に示す。）

ステイシー

…っ

ステイシーは剣を構えた

そして、ライアンの方へ駆けてくる

ライアン

…ふ

ライアン

（ヘタクソ）

ライアン

（また…教えたことを、守ってない）

そして、ステイシーはライアンの目の前に来、突こうと───体を動かし、腕を振り、

ステイシー

…っあ、ぁ…っ

そして、ライアンに刺さる直前、彼は剣を止めた。

ライアン

…なんだ

ライアン

殺したかったんじゃ、ないのか……こんな、ことさえ

ライアン

言われたことを…守らん

ライアン

最期まで王子に楯突くとは───…

ライアンは、ステイシーから剣をひったくった

ステイシー

！

そして

ライアン

…ッ、ふ、ゔ…っ

勢いよく、自分の腹に…突き刺した。

銃口の先のエンディング

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