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誠
梓
誠
浴室から出てきた彼に ペットボトルの水を手渡す。
私は飲みかけのジュースをテーブルに 置き、定位置である椅子に腰を下ろす。
彼もそのまま水を一口飲んでから、また いつもの定位置である席に座った。
先に口を開いたのは彼だった。
誠
やはり勘違いをしていたようだ。
不安げな彼の頬をむにっと片手でつまむ。
梓
誠
心底安心したように息を吐く姿に、思わず笑ってしまう。
梓
彼も釣られて笑っている。
これから大事な話をするというのに、彼といるといつもこうだ。 泣きそうだろうが怒っていようが、いつの間にか和やかな空気になってしまう。
こういうところが好きだなぁと 改めて感じた。
誠
誠
首を傾げる彼に、私は精一杯の 落ち着いた声で話した。
梓
梓
梓
彼が息を呑むのが分かった。
梓
誠
慎重に言葉を選んでくれているのが 分かる。
どこまでも優しい 彼だから、私は大丈夫だ。
梓
誠
誠
彼は初めて聞かれた質問の意図が 分からずに困惑しているようだ。
梓
私は自分の「顔」を触った。
今日の私は楕円形なのか。 いつも自分の頭部の形など、彼に 確認したことは無かった。
梓
梓
確認する必要がないのだ。
梓
梓
だって私は、彼に出会った当初から 何も被ってなどいないのだから。