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無機質な恋人 ④

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無機質な恋人 ④

1 - 無機質な恋人 ④

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2020年06月26日

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梓ーお待たせ

あ、来た!
ずいぶんゆっくり入ってたね〜
のぼせてない?お水飲む?

ありがとう、少し考え事しちゃってた。

浴室から出てきた彼に ペットボトルの水を手渡す。

私は飲みかけのジュースをテーブルに 置き、定位置である椅子に腰を下ろす。

彼もそのまま水を一口飲んでから、また いつもの定位置である席に座った。

先に口を開いたのは彼だった。

…ねぇ、梓。
別れ話じゃない…よね?

やはり勘違いをしていたようだ。

不安げな彼の頬をむにっと片手でつまむ。

そんな訳ないでしょ!
私、誠くんとずっと一緒にいたいと
思ってるんだよ。

良かった…!

心底安心したように息を吐く姿に、思わず笑ってしまう。

もー、心配性だなぁ〜

彼も釣られて笑っている。

これから大事な話をするというのに、彼といるといつもこうだ。 泣きそうだろうが怒っていようが、いつの間にか和やかな空気になってしまう。

こういうところが好きだなぁと 改めて感じた。

…あれ、じゃあ話したいことって…?

首を傾げる彼に、私は精一杯の 落ち着いた声で話した。

…私のこの

「頭部にある物体」

彼が息を呑むのが分かった。

誠くん、何だと思う?

え…被りものかなって…。
日によって、形が違ったりするけど
気分で変えてるのかなって思ってた…。

慎重に言葉を選んでくれているのが 分かる。

どこまでも優しい 彼だから、私は大丈夫だ。

…今日は私、どんな被り物してる?

…?

いつも通り白くて無機質だけど、今日は楕円形だよ。

彼は初めて聞かれた質問の意図が 分からずに困惑しているようだ。

そっか…

私は自分の「顔」を触った。

今日の私は楕円形なのか。 いつも自分の頭部の形など、彼に 確認したことは無かった。

…誠くん、私ね

確認する必要がないのだ。

初めから被り物なんて一度もしてないの

だって私は、彼に出会った当初から 何も被ってなどいないのだから。

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